2014年の4K:YouTubeとNetflixの採用によって超高解像度が普及する?

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YouTubeとNetflixは2014年に4Kコンテンツを導入すると明言している。しかしこの超高解像度技術は標準化に向けた準備ができているのだろうか。

2014年のCES(Consumer Electronics Show)のタイミングに合わせ、サムスン、LG、ソニーなどが、4Kをサポートした最新の大型テレビをリリースする準備を整えた。4Kとは、全米家電協会(CEA)によって2012年10月に「Ultra High-Definition」または「Ultra HD」と定義された超高解像度のことである。

標準的な1080pの4倍の解像度を持つ4Kディスプレイは、過去数年に渡ってCESのメインアトラクションの中に多数登場している。しかしこれまで、この次世代ディスプレイはコンテンツ・プロバイダーの不足に苦しんでいた。

先週、YouTubeは4Kビデオを初めて2014年のCESで披露する計画を発表した。YouTubeの4Kビデオは、グーグルの新しいVP9ロイヤリティ・フリーのビデオ・コーデックでストリーミングされる。YouTubeのグローバル・ディレクターを務めるフランシスコ・バレーラによると、このコーデックはビデオ・ストリーミングの質を高め、いずれは19社を超えるメーカーのハードウェアで利用できるようになるという。

Netflixもまた昨年10月後半に7台の4Kビデオを同社のカタログに追加してUltra HD対応を匂わせており、昨年のCESでも4K関連の発表をいくつか行っていた。カリフォルニア州ロスガトスを拠点とする同社は、2014年前半に4Kストリーミングを提供することを既に発表している。

YouTubeやNetflixの4Kコンテンツ強化によって、2014年はUltra HDが一般ユーザーに普及する年となるのだろうか?

何が4Kの勢いを止めているのか

4Kのフォーマットは確かに時代の先端を走っている。しかし全てが順風満帆というわけでもないのだ。

参考までに、4K(Ultra HD)ディスプレイは3840ピクセル×2160ラインの解像度があるものとして定義されている。もし1080p HDTVでも十分に綺麗だと思えるなら、4Kディスプレイはその2倍のピクセル数を持っているため、思わず息を呑むようなさらなる視覚的体験を得ることができるだろう。興味があれば、ぜひ近くの家電量販店に行って実際にこの違いをチェックしてみてほしい。

4Kをサポートするテレビはまだ一般的でないため、決して安くはない。SEIKI Digital(中国発の新興メーカー)であれば50インチの4K LEDテレビを769ドルで提示してくれるかもしれないが、サムスンやLGといった有名なメーカーのUHDTVは大多数が約3000ドルからスタートする。サムスンの新しい85インチのスマート4Kテレビといった特別なハイエンドモデルともなれば、4万ドルという途方もない値段となる。さらに同じくサムスンの110インチモデルに至っては15万2000ドルという、もはやパニックを起こしてもおかしくない値がつけられているのだ。

4Kにはもう一つマイナス要素がある。この超高解像度なディスプレイは超高速なハードドライブと超高速な回線を必要とするという点だ。ノーマルのHDMIケーブルでは映像が不安定になるかもしれない。したがって、安定した映像を見るために消費者はHDMI 2.0ケーブルを購入したいと思うだろう。このケーブルであれば4Kを非常に滑らかな60フレーム/秒で再生できる。しかし残念なことに新しい基準が発表されたのはわずか4か月前であるため、市場に出回るにはある程度の時間がかかってしまうだろう。

そしてもちろん、コンテンツの問題もある。NetflixとYouTubeは2014年に本格的な4K用コンテンツの拡充に取り組むことを試みている。しかしコンテンツ制作者達はすぐに、4K用のビデオカメラが非常に高価だということに気付くだろう。更に、今のところ4K専用カメラで撮影された映画やテレビ番組というものは存在しない。当面の解決法は既存のコンテンツを4K用にアップスケールすることである。しかしこのやり方は映像を拡大して足りないピクセルを埋めるだけであり、結果的にきめの粗いざらざらした映像になってしまうのだ。

4Kが標準になるのはいつ?

今年のうちはまだ、4KテレビがHDTVより多く売れることはないだろう。しかし次の2つが実現すれば、Ultra HDは10年以内に標準となり得るかもしれない。1つ目はコンテンツ・プロバイダー(特にテレビ局)が十分な量の4K用コンテンツを作成すること。2つ目は、Ultra HDTVのサイズと価格の幅がもっと広がることだ。新しい技術が普及するためには、消費者にとって手頃であることが不可欠である。今の時点では、4Kのテレビは高価で非実用的なぜいたく品なのだ。

IHS iSuppliによれば、平均的なフラットパネル・テレビの価格は2012年に1224ドルとなった。これは、画面サイズと拡張機能の豊富さに後押しされた結果である。しかし平均価格が1000ドルを超えているにも関わらず、同年にAlphawiseおよびモルガン・スタンレー・リサーチが行った調査では、すべての年齢層と人口統計を通じて人々は現在所有しているテレビに平均800ドルから900ドルしか払っていないという回答が得られている。

CESの外側の一般世界では、Ultra HDに対する準備がまだできていないようだ。しかし、今年4Kがブレイクするかもしれないという希望もまだ残されている。「GoPro Hero3 Black Edition」は、比較的手頃な4K対応のビデオカメラであり、その価格はなんと399ドルだ。またポラロイド社(そうあのポラロイドだ)も、50インチの4Kテレビをたった999ドルで販売するという計画を発表している。

トップ画像提供: Dan Rowinski

Dave Smith
[原文]