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GitHubが様々な用途で利用できるコラボレーション・ツールであることを証明する7つのプロジェクト

「GitHub」はコーディング・プロジェクトのためのツールとしては良く知られているが、その他様々な用途に対しても非常に有効な手段であることは忘れてられてしまいがちだ。

GitHubの核心は2つのコラボレーション機能、「フォーク」と「ブランチ」である。これらはコーディング専用の機能という訳ではない。フォークとは、他の誰かが作業したデータの別バージョンを作成するために、クローンを生成することを意味する。ブランチは、グループで共同編集を行う際に各人用の一時的なクローンを作成し、更新結果を再びグループ・プロジェクトにプッシュバックする手法だ。

GitHubの機能の多くは複雑なバージョン管理言語である「Git」についての知識を要求されるが、フォークとブランチはどちらもGitHubアカウントといくつかのクリック操作で簡単に利用できる。またGitHubにはリベラルな利用規約という付加的なメリットがあり、ユーザーは自分がアップロードするものすべてに対して完全なコントロールを持つことができる。(GitHub利用規約のFセクションを参照)
 
フォークもブランチも、共同作業プロジェクト向けの計り知れない利用法を備えており、これらを利用できるのはプログラマーだけとは限らない。以下に、様々なプロジェクトにおいてGitHubが有効に活用されている7つの例を紹介しよう。

旅行ログ

ディラン・イーガンは世界中を旅して回っている。問題は彼が一人ぼっちのため、各国でのベストな宿泊先、レストラン、観光ポイント等を知る手段がないということだ。そこで彼は去年から、自分の旅行をGitHub上でクラウド・ソーシングすることにした。

あなたはイーガンが今後訪れる予定の土地をチェックして、宿泊施設や食事、アクティビティを提案することができる。後日イーガンは、テキサスのオースティンに訪れたときのログのように、実際にどのように過ごしたかを記録して写真をポストするのだ。
彼がテキサスのオースティンに訪れたときのこのログのように、後日彼は実際にどうしたかを記録し、写真をポストする。ちょっとオタクっぽいかもしれないが、旅行には有効なやり方ではないだろうか。

楽曲のアレンジ

1940年代に書かれた「Nova Organi Harmonia」というグレゴリオ聖歌は2008年に著作権が切れ、誰もが自由に使えるようになっていた。今年の初めに教会音楽ディレクターのアダム・ウッドがGitHubにアップしたため、今ではフォークして自由にアレンジすることができる。

ウッドはWIREDに、教会の会衆達が自分たちでも演奏可能な楽器用に聖歌をアレンジできる可能性を感じたと語った(オリジナルの楽曲はオルガンを想定して作られている)。GitHubには音楽を編集するためのビルトイン機能がないが、ウッドは他のエディターとの互換性はあると言っている。彼はまた、他の教会は既にキーの変更等の編曲を行っていると語った。

レシピのアレンジ

誰でも自分の料理には多少のアレンジを加えたいものだ。ある人はよりスパイシーに、ある人は塩気を強く、またある人はもっと甘く、等等。名コックというものは、オンラインで見つけたレシピに何かしらの変更を施したくなるものである。

GitHubベースのレシピサイト「Fork the Cookbook」はまさにそのために作られたものだ。レシピをフォークして、自分好みの変更を加えたバージョンを作り、誰もがそれを見られるようにするのだ。アレンジされたレシピはベースとして使ったオリジナルのレシピにリンクバックされる。テクノロジーを活用したクッキングの好例である。

オープンソースのフォント編集

もっとクリエイティブな用例もある。「The League of Movable Type」はオープンソース・フォントのコミュニティーだ。美しく魅力的でしかも無料のフォントを、世界中の共同制作者の手によって作成することを目的としている。

GitHub上ではフォントを編集することができない。しかしユーザーはフォント・ファイルをフォークして自分のエディターにデータをコピーすることができる。この団体は人海戦術によって、ウェブサイトをより魅力的に見せるための創造的なフリーフォントを作成しているのだ。

ジャーナリストのためのデータ可視化

ジャーナリストはコーディングを学ぶべきだろうか。これはメディア業界においてしばしば議論の的となるやっかいな問題である。しかし既に基礎的なCSSやHTMLを知っているジャーナリストには近道が用意されている。「Sheetsee.js」は、ジャーナリストが簡単にマップ、図表、チャートおよびその他のウェブサイト用画像を、専門技術がなくても作成できるJavaScriptライブラリーだ。

開発者兼デザイナーであるジェシカ・ロードのこの発明によって、元となるデータは持っているがビジュアル化用の開発チームを持たない小規模なニュース編集部は、コーディングをより手軽に行えるようになった。Sheetsee.jsは今回紹介する用例の中では最も技術的なものとなる。しかしジェシカ・ロードのチュートリアルとサンプルは、平均的なコーディング・プロジェクトに比べたらずっと分かりやすい。

執筆とブログ

ブログやサイトのホスティングを行っているGitHubの派生サービス、「GitHub Pages」の存在を知らない人も多いかもしれない。一番有名なユーザーはオバマ大統領だろう。彼の開発チームはここに大統領のキャンペーン・ブログを開設している。ブログ全体をコードレベルで編集できる機能も一応あるが、GitHub Pagesを使用するにあたって特に難しいコードを知っている必要はない。

例えば書籍のような、もっと本格的な執筆プロジェクトに従事している人でも、複数の著者やエディターの共同作業が必要な場合にはGitHubのテキスト編集機能を活用することが可能だ。作家JJ メレロは、彼のSF小説「Hoborg」を完全にGitHub上で「出版」している。誰もがそれを読めるし、編集を提案したりすることもできる。GitHubには「Zen Writing Mode」という編集モードもあり、(禅のマインドで)集中して書き物をすることも可能だ。

法律書類

多くのスタートアップがソフトウェア開発を基幹事業とする時代において、GitHubはスタートアップ企業同士をつなぐハブであるとも言えるだろう。法律家達は、この潜在的なクライアント・グループがいずれ必要となるであろう法律関係の書類にすぐアクセスできるようにしている。

この分野の先駆者はツイッターの弁護士ベンジャミン・リーだった。かれは会社の特許の契約書をGitHubにポストし、それを分析、編集、コピーできるようにしたのである。今年の初めにはFenwick & West(シリコン・バレーのトップ法律事務所のうちの1つ)が、スタートアップがベンチャー資金の調達時に使用する30ページにおよぶ法律書類のセットをポストした。スタートアップが使用する法的資料が、彼らが作成するソフトウェアと同様にオープンソースであるというのは実に道理にかなっていると言えるだろう。

GitHubのCEOトム・プレストン・ワーナーは、このサービスは本来開発者を念頭に置いたものだと語っている。しかし、開発者ではない人達がこのように様々な目的で使用し始めたとしても彼は驚かないだろう。今日のGitHubユーザは、Gitに精通している必要などないのだ。皆さんもGitHubを使ってみたくなってきたのではないだろうか?

Lauren Orsini
[原文]