現役人事が語る! 「新卒社員」を受け入れる上司・先輩の心構え8(″ナメられたら終わり″視点)

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4月1日を迎えました。日本全国どこの企業でも新卒社員が入社する会社は、大抵入社式が開かれ、フレッシュな顔が揃っていることでしょう。そこで今回は、新卒社員を受け入れる側のつまり会社や上司、先輩側の心構えを「ナメられたら終わり」視点で語ります。

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■1.敬語が使えなかったら、ただちに直立不動で立たせ、3分間説教する。

新卒学生は基本的に「敬語」を知りません。なぜなら使う機会がなかったからです。学校を出ているのだから、敬語くらいをしっかり使えると思ったら、大間違いです。先輩に向かって、「ご苦労様です!」なんていうのは当たり前。なぜか警察関係では、「ご苦労様です」が敬語ですが、民間企業では「お疲れ様です」が目上に対する慰労の言葉。もし間違ったら、ただちに新入社員を立たせて、「言葉遣いが違うだろ。どこが違うか言ってみろ」と詰問しましょう。

もちろん立たせる側もなぜ「ご苦労様です」が悪いのかを知っていなければ、単なるいじめになりますから、知っておきましょう。「ご苦労」というのは、その人の能力の限界まで発揮しなければならない苦しむ労力のことをいいます。つまり、普通の仕事で使うと、「あなたの全力を尽くしたことに敬意を表します=普通の仕事も能力の限界でやらないとあなたはだめなんですね」といっていることになります。つまり大変失礼な発言なのです。

これを知らないで、新卒社員を説教しても、「なぜですか」に反論できず、タダのいじめで終わってしまいます。これを機に先輩・上司の方も敬語の意味を再勉強すべきです。また、この指導は3分間にとどめましょう。あまりやり過ぎると、単なる嫌がらせとしか捉えられません。

■2.研修講師になったとき、全員がだらだらしているようだったら、人事を呼び出して「どういうことだ」と詰問する。

これは実話です。ある人が自社の主力商品について新入社員に使用方法や効果など説明をしているときに、新入社員は話を聞かず、そっぽを向いていたり、「その商品にどんな価値があるんですか?」とふざけた質問をした場面がありました。当然講師だったその人は激怒。研修終了後に人事に詰め寄り、「どんな奴らを採ったんだ。どういう採用基準なんだ!」と詰問しました。

人事担当は右往左往。顛末を聞いた人事部長が大変厳しい人だったので、研修中の新入社員全員に対して、「話を聞きたくない人。自分の入社した会社の商品について知りたくない人は、帰ってよろしい。明日から来なくてよろしい。うちの会社に必要ない」と言い切りました。当然研修会場は騒然としましたが、それから新入社員は真剣に話を聞いてメモをしっかりとるようになりました。

■3.態度の悪い新入社員は裏に呼び出す。

どうしても、新入社員はつい先日まで学生だったためか、態度が学生のままであったり、上司や先輩に対して、不遜な態度をとったりします。その場合、先輩・上司はにこにこしていてはいけません。すぐに別室か他の人に見られない場所に呼び出して、さっきの態度は何なんだと、やはり詰問しましょう。

一番やっかいなのは、「自分が失礼な態度をとっていることに気づいていない」ことです。しっかり社会常識をたたき込むのは、新卒から3ヶ月間が限度と考えましょう。それを過ぎたら、もう直りません。また衆知の前で詰問するのはパワハラになる可能性があるので、かならず個室でおこないましょう。

■4.お客様気分をたたき直すのは、「人事」の役目である。

よくいるのが、内定者気分のまま入社してくる新入社員。これがまたやっかいです。なにせ内定式や懇親会で、ご飯まで食べさせてもらっているくらいですから、会社に歓迎されていると勘違いしている状態です。そのような新入社員に対して、人事は4月1日に必ずこのように言うべきです。

「あなた方は昨日まではお客様でした。しかし今日からは同僚であり、後輩であり、今日から会社で一番下の社員です。お客様扱いなどは一切しないので、そのつもりで。」

これが言えない人事担当は、自分で異動願いを出すべきでしょう。人事は受け入れ役としか考えていないなら、人事失格です。自分で採用しておいて、4月1日になったら、現場に送り込むだけの人事なんて必要ありません。

■5.同期会の結成は防止できない。それなら会社の利益団体にしてしまえ

大抵の会社では、同期同士が結束して、同期会を結成します。これが百害あって一利なしなのです。やれあの先輩にこう言われた。部署間で待遇に差があると、不平不満を言う。同期飲み会と称して、なかば新卒労働組合になることも。いままで一度も同期会というもので、会社によいことが起こったというものを聞いたことがありません。

しかし同期会の結成を防ぐのは至難の業です。そこで一手をうち、同期会を会社主導で結成してしまうのです。そして、一ヶ月に一度程度、各部の部長職が講義したり、新卒社員にアイデアを出させたりするのです。そうすると、会社にとって利益を生む同期会になります。不平不満のはけ口としての同期会が結成される前に、会社は早急に手を打つべきです。ひょっとしたら、内定者会がすでに結成されているかもしれません。

■6.質問されたことには正確に・親身になって回答・教育しろ。

新入社員は、研修で受けたことしか知らない「ひよこ」のようなものです。もしそんな新入社員から、仕事に関する質問を受けたり、「私はこの会社には向いていないんじゃないか」という相談を受けたら、親身に時間をかけて相談に乗ってあげて下さい。この時こそ、新入社員が学生の延長線から社会人に踏み出す転換点なのです。これが5月病というひともいますが、4月に発生することもあります。

先輩・上司はここで面倒くさいと思うと、もうその新入社員は質問してきません。次に出てくるのは退職願です。この初めての質問・相談に丁寧に答えることこそ、不安で無防備になっている新入社員の心に深く、「ああこの会社は話を聞いて、アドバイスをくれる」と刻み込まれるのです。

■7.厳しいけど、頼りになる先輩・上司を目指せ。

さんざん怒られて、さんざんクレームを受けて、新入社員は育っていきます。そして最初の社外からのクレームが発生したとき、先輩・上司は全力でフォローしてください。ある先輩は、新入社員が起こしたクレームに対して、先方に出向き、土下座までしたそうです。しかし、その後先輩は、新入社員に一言。「相手に土下座したんじゃない。おまえが起こしたミスはもともと俺の教育が悪かったから、おまえに対して詫びの気持ちで土下座したんだ」と言い切りました。

土下座の是非はありますが、かっこよくキメる必要はありませんが、新入社員にとって、自分がミスしてもこの先輩・上司がいてくれると思われる存在になりましょう。といいつつ、私も何回もお客様に土下座しているような気がしますが、まあそれはおいておきましょう。

■8.それでもダメなら、溶かすしかない。

ここまで教育しても、本当に改善の余地がない新入社員も存在します。日本はあまり新入社員を解雇することはありませんが、試用期間中に改善が見られない場合、会社は解雇の決断をすべきなのです。

もちろん試用期間中の行動や、試用期間が終わる一ヶ月前に改善勧告を出して、このままでは本採用できないことを本人に告知するのを忘れずに。ただし能力面の成長は大器晩成という言葉もありますから、じっくり見定める必要があります。あくまで社会人としての気構えについての評価です。

最後が後味が悪くなりましたが、いいこいいこしているだけでは、新卒社員は一切育ちません。そして会社が嫌になって辞めていくか、ろくに戦力にならないか、たんなる駒になるか。最近大企業の新卒社員の早期退職率が高くなってきているのも、「頼りになる先輩」がいないからではないかと疑っています。

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