■万吉:
先日ポーランドで行われたブラジルとの親善試合は僕も見たが、やっぱり世の中そんなに甘くは無かったな。フランス戦で勝ったのでブラジル相手でもやれるだろう、と思ったのは素人の幻想だったか。

★珍蔵:
まあ結果から言うと幻想だったが、それにしても少々予想外だった。もう少し競るかと思っていたのだが。特に序盤、点を入れられるまでは日本が非常に良いサッカーをやっていたので、「こりゃあひょっとしてブラジルからも金星かも♪」と思っていたら突然予期しないミドルシュートが決まり、様子があやしくなってしまった。その後PKで2点差になり、ブラジルは余裕を持ち始めた。タダでさえ南米気質の彼らに(というか南米の人達だが)余裕を持ってサッカーをやられてしまうと、日本はどうしようもなくなってしまう。

その後は気合ばかりが空回りし、結局ブラジルにいい様にいなされてしまっていた。特に後半は組織も何もなく、ただ個人個人が挑戦して玉砕していた感じになった。試合は面白かったが、こういう状態での打ち合いは個人の能力差がもろに出てしまう。

■万吉:
「ああそうか、ブラジルは格上だったな」と、思いしらされたよ。誰だよ、ブラジルが弱くなったなんて言っていたのは。皆やたらに上手いじゃないか。まあ当たり前か。

★珍蔵:
地力の差がはっきりと出てしまった試合だ。本来、それをハッキリと出させないようにやらなければいけなかったのだが。ブラジルの様な強豪とやる時は、先制点が絶対条件だな。リードされて引かれると、まだ日本の力ではどうにもならん。

■万吉:
しかし本来どうにもならなくなった時、メンバーチェンジに依って打開するのは監督の仕事のはずではないのか。野球と違ってメンバーチェンジが限られているから、采配は監督の腕の見せ所だと思っていたが、何だかハンで押したようなメンバーチェンジしかしないのは少々疑問だった。いつも通りといえばいつも通りなのだが、状況が異なる中で「いつも通り」とは、どうなんだろうね。先生期待の宮市が90分に出たが、90分からじゃあな。

★珍蔵:
フランスは日本との親善試合の数日後に行われたワールドカップ予選のスペイン戦で引き分け、キチンと結果を出した。日本戦はスペイン戦への調整ということで、後半メンバーを替えてバランスを崩していたが、そのあたりの割り切り方は流石だった。フランスのマスコミは日本に負けた事を叩いていたが、そんな事は全く気にせずデシャン監督はプランを貫いたわけだ。ザッケローニ監督も、親善試合ぐらいはもっと新戦力を試して欲しいのだがね。

それにしても日本のメデイアやサポーターは皆やさしいな。一部の評論家を除いては、今回の試合後も概ね「まだまだこれからだ、がんばれニッポン」みたいな感じだった。僕もその中の一人なのだが、他国だと袋叩きかもしれない。日本が守りに入らず、あくまで攻めた姿勢を評価しているのかもしれないが、ザッケローニ監督はこの環境に甘えず、危機感を持って期待にこたえてもらいたいね。

■万吉:
まあ日本人の国民性だろうな。僕みたいな野球ファンが見ると、実際は7-0ぐらいで負けたとしてもおかしくなかったので、言われている事とは逆に「点差以上に実力差があったのでは?」と思ってしまうのだが。

ところでブラジルというのは何故サッカーが強いのだろうね。彼らのプレーぶりを見ていると、生まれながらのサッカー選手という感じがする。プレーに迷いが無い。何処へ走ればよいのか、何処へボールを運べば効率的か、などを考えではなく、本能的に分かっている様な感じがする。歴史の差ということになるのかな。

★珍蔵:
19世紀前半に行われていたイングランドのパブリックスクールにおけるフットボールが、ヨーロッパ大陸に国内リーグが誕生するほど普及したのは19世紀末から20世紀初頭のことだ。