11日(水・現地時間)、米国サンノゼのhpパビリオンで開催されるUFC Fuel04「Munoz vs Weidman」。メインはアンデウソン・シウバVSチェール・ソネンの王座戦が終わったばかりのミドル級の一戦、マーク・ムニョスVSクリス・ウェイドマンが組まれている。

現在4連勝中のムニョスはUFCミドル級のトップコンテンダーであり、王座挑戦が目前に迫っているといっても過言ではない。そのムニョスにMMA戦績8戦8勝、UFC戦績4戦4勝のウェイドマンが挑む図式の一戦だ。WECを経て、UFC参戦当初はテイクダウン一色のファイトスタイルだったムニョスは、勢いや積極性こそ感じさせるものの、荒い打撃の穴をつかれてマット・ハミルにKO負けするなど、決して完成度の高いファイターではなかった。

しかし、2010年8月に岡見勇信に敗れて以来、自らの城=レイン・MMAと、キングスMMAの相互トレーニングをスタートさせてからは、そのイメージが一変する。スタンドの打撃では大振りのパンチ主体からロー・ハイキックを織り交ぜたコンビネーションをスムーズに使うようになり、CBダラウェーには潜りスイープを決めて、デミアン・マイアのガードポジションからのアタックをしっかり潰し続けるなど、柔術ムーブを試合の随所で有効に使うようになった。

それでいてクリス・レーベンとの一戦では力強いテイクダウンとパウンドでレーベンを流血によるドクターストップに追い込み、かつての長所も忘れてはいない。荒削りな打撃と柔術的なテクニックという穴を埋め、その上で最も自分の強さを発揮できるレスリングを軸にして試合を組み立てる。

UFCでの戦いにおいてムニョスは着実に成長し、コンプリートファイター、そして王座挑戦への階段を上ってきた。しかし、今回の対戦相手であるウェイドマンはそんなムニョスのポジションをこの試合で一気に奪いかねない存在だ。オールアメリカンに2度選出されたD-1レスラーでありながら、マット・セラから柔術の手ほどきを受けてフロントチョーク系の技を得意としている。

スタンドの打撃に関しても、レスリング出身の選手にありがちな腰を落としてパンチと強打でプレッシャーをかけるというものではなく、細かいステップとパンチ、前蹴り、ロー、ミドル、ハイといった蹴り分けも出来る。ムニョスがキャリアを積み重ねて作り上げてきたファイトスタイルを、MMAキャリアわずか8戦で身につけ無敗をキープ、さらなる潜在能力を秘めているのがウェイドマンだといっていい。

ファイトスタイルで考えれば、似通ったもの同士の対戦だが、フィニッシュという部分ではムニョスがパウンド、ウェイドマンがフロント系の絞め技という違いが見えてくる。レスリング勝負となれば、大きな実力差もなく、どちらも容易にテイクダウンを奪うことは出来ないはず。

そこでムニョスがパウンドアウトを狙うのであればスタンドの打撃で主導権を取ること、もしくはタックルに入ってからの動きの量で競り勝った上で、ウェイドマンを寝かせ続ける必要がある。

逆にウェイドマンが打撃で優位に立った場合、ムニョスがテイクダウンのアプローチをかけてくればカウンターのフロントチョークという必殺パターンがあり、もしウェイドマンがテイクダウンを奪えばパウンドアウトはもちろん、ムニョスのスイープにフロントチョークを合わせることも出来る。

スタンドの攻防で差が出なかった場合に生まれるテイクダウンの攻防、そこでムニョスがテイクダウン・トップキープに成功するか? それともウェイドマンがフロントチョーク系の技を駆使してムニョスをコントロールするか? テイクダウンから両者が狙う異なるアプローチの仕方に注目したい。
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