東日本大震災後の景気を展望する際、民間住宅投資がどれだけ落ち込むかが心配された。ところが、直近4月分までの住宅関連指標を見る限り、意外と住宅投資が底堅く推移していることがわかる。

 まず全国ベースでの住宅投資を見てみよう。新設住宅着工は震災前の2月が年率87.2万戸であったが、3月同80.7万戸、4月79.8万戸と減少した(図表1参照)。2月から3月にかけて▲7.5%と大きく減ったのに対し、4月は1.1%の減少に止まった。4月の減少幅は想定よりも小さく、むしろ底堅さがうかがえる。



 今後の住宅着工を展望する上で、着工に先行する受注統計が注目される。実はこの受注が震災後も実に底堅く推移している。大手50社ベースの住宅建設工事受注(季節調整は当社)は、3月に前月比+80.3%、4月に+11.3%と増加した。

 もともと月ごとの振れが大きい統計であることから、3ヵ月移動平均を取ると、その堅調さがよりはっきりとする。なお、ここでの住宅建設工事受注には、民間だけでなく公共機関(国、独立行政法人など)からの受注も含まれる。

 しかし、たとえば直近4月分では受注額の98%が民間であり、民間住宅投資に結び付けて解釈しても問題はないであろう。

震災後の民間住宅投資(2)震災地域では持家を中心に大きく減少

 全国ベースでは底堅さが見て取れるが、被災地域に限ると住宅投資は大きく落ち込んでいる。岩手県、宮城県、福島県、茨城県の4県を代表的な被災地域としよう。同地域の住宅着工は、震災前の2月が年率4.4万戸であったが、3月同4.0万戸、4月3.2万戸と下げ足を速めた。

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