話題のファッションTVCM 2010秋編

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 ファッションブランドのCMが続々と放映されている。近年「CHANEL(シャネル)」や「Christian Dior(クリスチャン・ディオール)」など大手メゾンが口紅や美容液などのCMを打ち出したり、ムックの売れ行きの良い宝島社や「non-no(ノンノ)」を出版する集英社など出版社のCMも目立つようになってきた。



 ファッションブランドにおいては、これまで雑誌などでのビジュアル広告が主なメディア戦略とされてきたが、TVCMがその新たなツールとして浮上している。そんなファッションブランドTVCMのなかでもこの秋話題の5社をピックアップ。

■歌う女優にノックアウト「earth music & ecology」

 「ヒマラヤほどの消しゴムひとつ〜」と大きな声で歌っている女優・宮崎あおい出演で話題となった「earth music & ecology」。ブランドイメージにぴったりの大自然のロケーションにナチュラルな服。ただひとつ、パンクロックバンド「THE BLUE HEARTS(ブルーハーツ)」の名曲「1001のバイオリン」を大声で歌っている姿がインパクトを与え、メディアにも大きく取り上げられたり、原曲が「着うたフル(R)」・「着うた(R)」 サイトの「レコチョク」ランキングで1位になるなどの話題となった。

 「あした何着て生きていく?」をテーマにCMを開始したのは2010年3月。これまでに「歩く」「野球」「鉄棒」などのタイトルで春、夏とアイテムを展開してきた。現在放映中の新CMでは真冬のニュージーランドで撮影した「ロバ」「木のぼり」で秋の一押しアイテムを展開し、楽曲も「情熱の薔薇」にチェンジしている。CM内では「earth music & ecology」の新レーベル、violet label(バイオレットレーベル)をメインに、ミネトンカやカンゴールとのコラボアイテムなどを着用。CM開始後、特にミネトンカとのコラボブーツは問い合わせが多く、人気アイテムとなっている。次回作も近日中に放映される予定だ。

■「H&M」はシンプル演出×1アイテムフィーチャーの絶対効果

 9日に大型ショッピングモールららぽーとTOKYO-BAYに出店した「H&M(エイチ&エム)」
。大阪の「戎橋」、福岡博多の期間限定店に続き、今年に入ってからはショッピングモールへの出店が目立つ中、この秋、日本でのTVCMを開始した。

 現在公開されている「H&M」のTVCMは、ウィメンズとメンズの2バージョン。白バックの背景の中、三面鏡のように3方向からモデルをキャッチ。モデルが鏡を見直すかのように自分の着こなしをチェックするというシンプルな20秒のショートCMだ。「バックの音楽は誰の曲?」とネット上で話題のようだが、米国のブルース・シンガー、ギタリストのMuddy Waters(マディ・ウォーターズ)の楽曲をR&BシンガーのErykah Badu(エリカ・バドゥ)が歌った未発表曲だとか。

 「H&M」は、以前博多の期間限定店オープンの際にローカルで一度CMを流したことがあるが、今回は関東圏を中心に大々的に放映されている。ワンアイテムに注目してつくられており、世界でも同様のCMを放映中。日本では、お店のラインアップと合わせて放送しているため、CMを見て来店する人も多いという。

 「H&M」は、「Lanvin」とのデザイナーコラボレーションの発表を日本上陸後初めて動画で行っており、映像を使用したメディア戦略に意欲的だ。11月の「Lanvin for H&M」の発売の際は、デザイナーコラボを絡めたCMが流れる可能性も。なお、全CM&動画は公式サイトでも見ることができる。

■ナチュラル→大胆丸見えCMへ「NATURAL BEAUTY BASIC」

 サンエーインターナショナルが打ち出した「NATURAL BEAUTY BASIC(ナチュラルビューティーベーシック=NBB)」のCMは、お姉さんブランドのイメージが強かった「NBB」から一転、テクノポップユニットPurfume(パフューム)を起用し新たな「NBB」の魅力を見せることに成功している。

 

 1作目ではPurfumeのイメージに合わせるというよりもブランドのイメージに合わせたナチュラルなPurfumeが印象的なCM。Purfumeの「ナチュラルに恋して」をバックに、テクノポップを歌う"未来形"ファッション&ダンスが特徴的なPurfumeとは異なる雰囲気を演出した。しかし、10月から放映されている新作CMでは、新曲「ねぇ」にのせてファッションモデルのポージングを組み合わせたPurfumeらしいダンスを披露。360°着用した服が見えるユニークな"仕掛け"を盛り込んだ。

 また、公式サイト&店頭ではそこでしか見ることのできない限定CMを用意。店頭ではアイキャッチ効果により若年層女性の来店が増えた他、独自に打ち出していたフェアとの相乗効果で着用アイテムのまとめ買いが続いているという人気ぶりだ。

■109発のハイセンス「SHEL' TTER WEB STORE」


 挿入歌に世界的に活躍するビッグ・ビートユニットBOOM BOOM SATELLITES(ブンブンサテライツ)の楽曲を使用したのは、「moussy(マウジー)」や「SLY(スライ)」などが揃う公式通販サイト「SHEL' TTER WEB STORE(シェルター ウェブストア)」。第1段として9月26日まで放映されていたCMでは、「SHEL' TTER WEB STORE」を架空のAirportに、そこにやって来るジェット機を同社が運営する各ブランドに例え、それぞれのブランド機から降り立ったファッショナブルなモデル達がパーティーを始めるというストーリーのCM。

 クラブミュージックをバックに、各ブランドの最新アイテムをバロックジャパンリミテッド カンパニー クリエイティブ・ディレクター兼SLYクリエイティブディレクター植田みずきのスタイリングで見せ、ブランドらしいイメージをアピールした。

 「SHEL' TTER WEB STORE」のWEBマガジンではCMの裏側を公開。公式通販サイトへの誘導はもちろん、同時に発売された"買える"ムックとの連動で認知度の拡大に繋がっている。前作は公式通販サイトにて公開中。次回作は11月中旬より放映をスタートする予定だ。

■「UNIQLO」が選んだ"演じる"キャスト

 「UNIQLO(ユニクロ)」のビッグキャスティングが発表されたのは9月。15日からは女優Charlize Theron(シャーリーズ・セロン)が今秋イチ押しのアイテム・レギンスパンツを身につけて登場する「in her car」。続いて、日本初のグローバル旗艦店であるユニクロ心斎橋店オープン日より放映されているのが俳優Orlando Bloom(オーランド ・ブルーム)によるヒートテックのCM「Orlando Bloom」編。ともに「UNIQLO」史上初のハリウッド女優&俳優を起用したTVCMが放映中だ。

 「MADE FOR ALL」を掲げ、1年間世界に向けて「UNIQLO」を発信するべく選ばれた2人は、ともにかなりの"演技力"の持ち主。彼らをキャスティングしたのは、世界に向けてアピールできる人物であること、ブランドの世界観やイメージを30秒のCMで伝えることができる人物という点を考慮したことから。結果、その映画のような一コマに仕上がっている。 

 「UNIQLO」は、Charlize Theron、Orlando Bloomをグローバル広告キャストとして、店舗はもちろん世界規模で広告を展開。2人とともに、ユニクロが目指す"国籍、年齢、職業、性別など、人を区別するあらゆるものを超えた、あらゆる人々のための服"を世界に向けてアピールし、名実ともに世界ブランドを目指す。