えっ!? 消防隊が火を消してくれない! アメリカの信じられない消防制度

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(イラスト/たけしたてつお)
燃えさかる家を放置した消防隊 アメリカ・テネシー州で9月29日、ちょっと日本では考えられない騒動が起きました。ある家が火事になったのに、地元消防隊が「故意に」消火活動を行わなかったため、その家は為す術もないまま、結局全焼してしまったというのです。
 消火活動をしてもらえなかったのは、テネシー州・オビオン郡サウスフルトン市のジーン・クラニックさん宅。クラニックさんは火事が起きたとき、911(日本の119番)をしたものの、応じてもらえませんでした。為す術がないまま、ジーンさんの隣家にまで火が燃え移ったとき、ようやく消防隊は消火にやってきたのです。
 ところが、消防隊が消火活動を行ったのは、隣の家だけ。ジーンさんの家にはなんの消火活動もしてもらえず、ただ家が燃え落ちるのを呆然として眺めているしかできなかったのです。
「お金払うから!」と懇願するも… なぜこんな事が起きてしまったのでしょう。それは、このサウスフルトン市の消防システムに原因がありました。そのシステムとは、「“消防サービス”を受けるために、市に毎年75ドルを支払う」というもの。ジーンさんは、実はこれを滞納していたのです。そのため、消火活動を行ってもらえなかった、というわけでした。
 ちなみに、火事が起きたとき、ジーンさんは「いくらでも払うからとにかく来てくれ」と頼んだそうですが、返事は「今さら遅い」と言われてしまい、出動すらしてもらえなかったのです。一方、隣の家はちゃんと支払っていたため、消火してもらえたわけです。
 この件に関して、サウス・フルトン市のデヴィッド・クローカー市長はこうコメントしたといいます。
「消火活動は、市が提供するサービスですから、そのサービスを受ける受けないは住民の自由。払えと強制するわけではないです。もちろん払わないとサービスは受けられません」
 こういった市の態度に、隣人とジーンさんの友人たちは、こんな都市政策は無慈悲で危険だと憤慨しています。また、ジーンさんの家族は「消防士は自分の仕事をしたまで」と消火活動をしなかった消防士を非難しないものの、それを指揮した担当者については非難しています。
日本の常識は、必ずしも世界の常識ではないのです こんな事が日本で起きたら、それこそ社会問題になってしまいますが、つまりアメリカでは、消防や救急も「有料市民サービス」の一環にすぎない地域もあるので、時にこんな事態が起こりうるのです。極めてドライで冷淡な発想だと思ってしまいますが、それが「合衆国」アメリカのリアルな姿であり、ベーシックな発想だということを、この騒動は端的に表していると言えるでしょう。
 現代日本のように、ほぼ社会のシステムが完成し、全国に統一的に法や同じ制度が通用するようになっていることを当たり前と考えて、他国のことを測ることはできません。特にアメリカという国は、さまざまな制度や法律など、各州によって独自のものがあり、また連邦としての法・制度もあるので、その全てを知ることは困難。一枚岩ではない社会構造がそこにあるということを、知っておくべきでしょう。
【文/NANIO】



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