フランス代表が9日のルーマニア戦、12日のルクセンブルク戦に向けて合宿に入っているが、アシスタントコーチのアラン・ボゴシアン氏が5日付レキップ紙のインタビューで、W杯開催中に起きたチームの問題について振り返った。ボゴシアン・コーチは、ドメネク前監督時代から留任した唯一のスタッフだが、いまだW杯での出来事に対する後悔があるという。

 コーチの後悔は、とくにメキシコ戦のハーフタイムにドメネク監督を罵倒したことがきっかけで“追放”処分を受けたアネルカについてだ。「彼を恨んでいる。彼が雰囲気をぶちこわしにした。しかし自分自身に対する後悔もある。金曜日に(メキシコ戦の翌日に)彼の部屋へ行って『とにかく謝っておけ。あとはそれからだ』と言っておくべきだった」と語る。

 しかし実際はそうしなかった。「レイモン(・ドメネク)同様、誰もがアネルカがまず謝りに来ると思っていた」からだ。監督をはじめとするスタッフはひたすらアネルカを待ったが、ついに来なかった。この「待ったことが高くついた」とボゴシアン氏は振り返る。

 そして翌朝、アネルカに帰国命令が下されたのは周知の通り。主将のエヴラ、フランスサッカー連盟のエスカレット会長、ドメネク監督が集まり、アネルカに対して公に謝罪することを求めたが、アネルカがこれを拒否したためだ。

 ボゴシアン氏はこのあとに「第2の失敗」があったと悔やむ。「アネルカは追放が宣告されたあとすぐに宿舎を発つべきだった。しかし土曜日の夜、彼はまだ残っていた。選手たちといっしょに食事をとり、夕飯後の“集会”に参加していたんだ」と明かした。この“集会”が翌日の練習ボイコットにつながる空気を生んだ可能性があるというわけだ。

 W杯での“事件”を忘れてユーロ2012の予選に集中することが望まれる時期に、現アシスタントコーチがこのような告白をした真意は測りかねるが、少なくともこのインタビューからは、ブラン監督がボゴシアン氏の留任を選んだ理由のひとつが見えてくる。つまり、いまなお選手たちの心に残る傷、後悔をスタッフの立場で共有できる人物が必要ということなのだろう。