皆様こんにちは。2010年第3クールのテレビアニメも全て出揃いましたので、各番組の特徴を簡単に見ていきたいと思います
皆様のアニメライフにとって何らかのお役に立てば幸いです。尚、個々の作品に関する詳細なコメントについては、今後、本連載で追い追い披露していきたいと思います。

 『セキレイ〜Pure Engagement〜』
東京メトロポリタンテレビジョン日曜深夜11時半〜他
原作・極楽院櫻子(スクウェア・エニックス『ヤングガンガン』連載)、シリーズ構成・吉岡たかを、キャラクターデザイン・友岡新平、音楽・佐野広明、監督・草川啓造、アニメーション制作・セブン・アークス、製作委員会・アニプレックス/セブン・アークス/ムービック
出演者・立花慎之介/早見沙織/井上麻里奈/花澤香菜/遠藤綾/大原さやか/ゆかな/甲斐田ゆき/生天目仁美/他

<コメント>2008年第3クールに放送された『セキレイ』の続篇。女性キャラクターが着衣の乱れも気にせず敵と戦うバトルアニメで、シリーズ構成を務めた吉岡たかをは、同趣旨の『一騎当千』シリーズや『クイーンズブレイド』シリーズも手掛けた脚本家です。

 『オオカミさんと七人の仲間たち』
千葉テレビ放送日曜深夜12時半〜他
原作・沖田雅(アスキー・メディアワークス『電撃文庫』)、キャラクター原案・うなじ、シリーズ構成・伊藤美智子、キャラクターデザイン/総作画監督・飯塚晴子、音楽・大橋恵、監督・岩崎良明、アニメーション制作・J.C.STAFF、製作委員会・メディアファクトリー/アスキー・メディアワークス/マーベラスエンターテイメント/AT-X/flyingDOG/GENCO
出演者・新井里美/入野自由/伊藤静/伊藤かな恵/野島裕史/堀江由衣/川澄綾子/こやまきみこ/他

<コメント>監督岩崎良明、制作J.C.STAFFという組み合わせは『ハヤテのごとく!! 2nd season』『スカイガールズ』『ゼロの使い魔』『極上生徒会』『せんせいのお時間』と同様の体制。キャラクターデザインを務めた飯塚晴子は『うみものがたり 〜あなたがいてくれたコト〜』『ウエルベールの物語』のキャラクターデザインを務めた人物。ストーリーは童話をモチーフにした学園ものであり、その作劇手法は藤子不二雄アニメをモチーフにした学園もの『いちばんうしろの大魔王』と通じるところがあります。そして本作最大の特徴は、新井里美による大量のナレーションでしょう。登場人物にツッコミを入れたり登場人物から文句を言われたりしつつノンストップで喋りまくりますが、その根底には登場人物を温かく見守る優しさが満ちています。

 『世紀末オカルト学院』
テレビ東京月曜深夜1時半〜他
シリーズ構成・水上清資、キャラクター原案・麻生我等、キャラクターデザイン/総作画監督・千葉崇洋、音楽・Elements Garden、監督・伊藤智彦、アニメーション制作・A-1 Pictures、製作委員会・アニプレックス/テレビ東京
出演者・水島大宙/日笠陽子/茅原実里/小林ゆう/花澤香菜/子安武人/他

<コメント>『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』『閃光のナイトレイド』に続く、原作なしのオリジナル枠「アニメノチカラ」の第3弾。ストーリーは2012年の世界から、青年が1999年の世界にタイムスリップするというものです。1999年に流行った文物が次々と登場し、1999年を懐かしく思う世代をターゲットにした懐古趣味アニメとなっています。

 『ぬらりひょんの孫』
讀賣テレビ放送月曜深夜1時44分〜他
原作・椎橋寛(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)、シリーズ構成・高橋ナツコ、キャラクターデザイン・岡真里子、妖怪デザイン・田頭しのぶ、音楽・田中公平、監督・西村純二、アニメーション制作・スタジオディーン、製作委員会・集英社/東宝/読売テレビ/ポニーキャニオン/BS11/読売広告社/博報堂DYメディアパートナーズ
出演者・福山潤/大塚周夫/安元洋貴/鳥海浩輔/櫻井孝宏/杉田智和/中田譲治/堀江由衣/平野綾/前田愛/他

<コメント>夏ということでオカルト関係のアニメが何本もありますが、本作もその中の1本。キャラクターデザイン岡真里子、制作ディーンによる妖怪アニメには『地獄少女』という前例がありますね。本作に登場するぬらりひょんは妖怪の総大将という設定ですが、これは20世紀になって新たに流布した説だそうで、1980年生まれの原作者もこの説にどっぷり浸かっていたと考えられます。因みにぬらりひょん役の声優大塚周夫は『ゲゲゲの鬼太郎』の初代ねずみ男です。

 『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』
テレビ神奈川火曜深夜1時45分〜他
原作・佐藤大輔/佐藤ショウジ(富士見書房『月刊ドラゴンエイジ』連載)、シリーズ構成・黒田洋介、キャラクターデザイン/総作画監督・田中将賀、音楽・和田貴史、監督・荒木哲郎、アニメーション制作・マッドハウス、製作委員会・ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント/ショウゲート/AT-X
出演者・諏訪部順一/井上麻里奈/沢城みゆき/檜山修之/喜多村英梨/福井裕佳梨/他

<コメント>ゾンビが溢れ返る中、繰り広げられるサバイバルを描いたホラーパニック。キャラクターデザインは『とらドラ!』で知られる田中将賀。製作委員会にはジェネオン・ユニバーサル・エンターテインメント、ショウゲート、AT−Xが出資していますが、かつて電通の子会社だったジェネオンと、博報堂DYメディアパートナーズの子会社であるショウゲートが共同でテレビアニメの製作委員会に出資するのは、2007年第4クール〜2008年第1クールに放送された『灼眼のシャナ?』以来2年数箇月ぶりです。
 
 『ストライクウィッチーズ2』
テレビ埼玉水曜深夜1時半〜他
原作・島田フミカネ/Projekt Kagonish、キャラクターデザイン・高村和宏、メカニックデザイン・寺尾洋之、総作画監督・山川宏治/倉嶋丈康/寺尾洋之、音楽・長岡成貢、監督・高村和宏、アニメーション制作・AICスピリッツ、製作委員会・角川書店/角川映画/クロックワークス/AIC/NTT docomo
出演者・福圓美里/世戸さおり/田中理恵/名塚佳織/小清水亜美/沢城みゆき/斎藤千和/園崎未恵/野川さくら/門脇舞以/大橋歩夕/日野聡/麦人/郷田ほづみ/他

<コメント>2008年第3クールに放送された『ストライクウィッチーズ』の続篇。同作は、文化庁メディア芸術祭で審査委員会推薦作品に選ばれた実績があります。ストーリーは第2次世界大戦時に実在したパイロットをモチーフにした女の子キャラクターが、空を飛び回る装備を身に付けて戦う軍事アニメ。原作者・島田フミカネは同趣旨の『スカイガールズ』(OVAは2006年、テレビアニメは2007年)でもキャラクター原案を務めています。アニメ版のキャラクターデザインを務めた高村和宏監督は、2009年のアニメ『クイーンズブレイド』で最も高い人気を集めたキャラクター・アイリ(声・伊藤かな恵)のキャラクターデザイナーでもあります。ところで、『ストライクウィッチーズ』1作目の製作委員会にはGDH(当時のGONZOの親会社)が出資し、GONZOが制作していましたが、諸般の事情により、『ストライクウィッチーズ2』からはGONZOは撤退しています。

 『屍鬼』
フジテレビジョン木曜深夜1時15分〜他
原作・小野不由美(新潮社『新潮文庫』)、シリーズ構成・杉原研二、キャラクターデザイン/総作画監督・越智信次、音楽・高梨康治、監督・アミノテツロ、アニメーション制作・童夢、製作委員会・アニプレックス/フジテレビジョン/集英社/電通/ダックスプロダクション
出演者・内山昂輝/大川透/興津和幸/戸松遥/GACKT/悠木碧/高木渉/他

<コメント>『ノイタミナ』枠の新作。同枠は前クールから2本立ての1時間枠となりましたが、今クールでは前半が特撮ドラマ『もやしもん』、後半がアニメ『屍鬼』となりました。『屍鬼』の原作は1998年に出版された小説です。ストーリーは山奥の村で事件が起きるというもので、1970年代、国鉄がディスカバージャパンキャンペーンを実施していた頃に公開された各種サスペンス映画を彷彿とさせるものです。この構図は、1995年のゲーム『魔女たちの眠り』や2002年のゲーム『ひぐらしのなく頃に』(アニメは2006年)等でも見られます。

 『黒執事?』
毎日放送木曜深夜1時20分〜他
原作・枢やな(スクウェア・エニックス『月刊Gファンタジー』連載)、シリーズ構成・岡田麿里、キャラクターデザイン/総作画監督・芝美奈子、音楽・岩崎琢、監督・小倉宏文、アニメーション制作・A-1 Pictures、製作委員会・アニプレックス/スクウェア・エニックス/博報堂DYメディアパートナーズ/ムービック/毎日放送
出演者・小野大輔/坂本真綾/櫻井孝宏/水樹奈々/平野綾/藤村俊二/田村ゆかり/他

<コメント>2008年第4クール〜2009年第1クールに放送された『黒執事』の続篇。ビクトリア王朝時代の英国(ビクトリア女王役は川澄綾子)を舞台に、貴族と執事の活動を描くものです。番組放送開始前の宣伝では、主人公が交代すると伝えられ、前作の主役であるシエル・ファントムハイヴ(声・坂本真綾)とセバスチャン・ミカエリス(声・小野大輔)ではなく新キャラクターのアロイス・トランシー(声・水樹奈々)とクロード・フォースタス(声・櫻井孝宏)が主役であると告知されましたが、実際はシエル&セバスチャンが主役を続投しました。2008年のアニメ『喰霊―零―』と同様に、視聴者に主役を誤解させる戦略だったと言えます。

 『アマガミSS』
TBSテレビ(東京放送)木曜深夜1時25分〜他
原作・エンターブレイン、シリーズ構成・平池芳正、キャラクターデザイン・合田浩章、音楽・大森俊之、監督・平池芳正、アニメーション制作・AIC、製作委員会・ポニーキャニオン/AIC/ムービック/TBS
出演者・前野智昭/伊藤静/佐藤利奈/今野宏美/ゆかな/新谷良子/名塚佳織/他

<コメント>2007年第4クール〜2008年第1クールに放送された『キミキス pure rouge』に続いてエンターブレインの恋愛シュミレーションゲームをアニメ化。本作では月替わりでメインヒロインが交代する構成となっており、ゲームの世界をアニメの形態で再現しています。劇中の描写はぶっ飛んだギャグアニメ調のシーンが多く、視聴者を楽しませています。

 『伝説の勇者の伝説』
テレビ東京木曜深夜2時15分〜他
原作・鏡貴也(富士見書房『富士見ファンタジア文庫』)、原作イラスト・とよた瑣織、シリーズ構成・吉村清子、キャラクターデザイン・島沢ノリコ、音楽・仲村美悠、監督・川崎逸朗、アニメーション制作・ZEXCS、製作委員会・ティー・オーエンタテインメント/SK INDEPENDENCE/メディアファクトリー/角川コンテンツゲート/ランティス

<コメント>剣と魔法の世界を舞台にした王道的ファンタジーアニメ。監督は『鋼殻のレギオス』『レンタルマギカ』で知られる川崎逸朗、キャラクターデザインは『乙女はお姉さまに恋してる』『ダ・カーポ?』でお馴染みの島沢ノリコ。主題歌歌唱者はオープニングが結城アイラ、エンディングがCeuiで、即ち『sola』のOP&EDと同じ組み合わせです。ストーリーは基本的にシリアスな戦争ものではありますが、たまにギャグアニメ調のシーンが挿入されます。これについて、6月26日に開催された試写会では福山と小野Dが「昭和の演出が一周回って新しい演出になっている」と指摘していました。

 『祝福のカンパネラ』
東京メトロポリタンテレビジョン金曜深夜1時半〜他
原作・ういんどみる、キャラクター原案・こ〜ちゃ、キャラクターデザイン・藤田まり子、総作画監督・古賀誠、音楽・Elements Garden、監督・ウシロシンジ、アニメーション制作・AIC、製作委員会・マーベラスエンターテイメント/メディアファクトリー/AIC/AT-X/ランティス
出演者・岡本信彦/門脇舞以/こやまきみこ/今井麻美/水橋かおり/藤原啓治/他

<コメント>男性主人公が多くのヒロインに囲まれつつ、緩いストーリーが繰り広げられるという典型的なUHFアニメ。毎クール、必ずこういうアニメがありますね。監督は『おまもりひまり』の監督を務めたウシロシンジ、キャラクターデザインは『ロザリオとバンパイア』『けんぷファー』のキャラクターデザインを担当した藤田まり子。

 『あそびにいくヨ!』
毎日放送土曜深夜1時58分〜他
原作・神野オキナ(メディアファクトリー『MF文庫J』)、キャラクター原案・放電映像、シリーズ構成・高山カツヒコ、キャラクターデザイン/総作画監督・森島範子、音楽・菊谷知樹、監督・植田洋一、アニメーション制作・AIC PLUS+、製作委員会・ポニーキャニオン/AIC/メディアファクトリー/クロックワークス/ランティス/AT-X
出演者・田村睦心/伊藤かな恵/戸松遥/花澤香菜/井上喜久子/豊崎愛生/寿美菜子/高垣彩陽/他

<コメント>地球にやってきた猫耳宇宙人の少女を中心に、ほのぼのしたコメディーと激しい軍事アクションをミックスした1本。舞台が沖縄であることから、琉球朝日放送でも放送されます。キャラクターデザインの森島範子は『明日のよいち!』のキャラクターデザインを務めた人物で、お色気描写は本作でも絶好調。メインヒロイン役の伊藤かな恵は前クールの『迷い猫オーバーラン!』ではキツイ口調で喋っていたのに対し今クールの『あそびにいくヨ!』及び『オオカミさんと七人の仲間たち』では柔らかい口調で喋っており、本作ではかなり恥ずかしい台詞も発しています。

 『みつどもえ』
中部日本放送金曜深夜2時〜他
原作・桜井のりお(秋田書店『週刊少年チャンピオン』連載)、シリーズ構成・あおしまたかし、キャラクターデザイン/総作画監督・大隈孝晴、音楽・三澤康広、監督・太田雅彦、アニメーション制作・ブリッジ、製作委員会・アニプレックス/ランティス/秋田書店/AT-X/コスパ
出演者・高垣彩陽/明坂聡美/戸松遥/下野紘/斎藤桃子/三瓶由布子/山本和臣/斎藤千和/豊崎愛生/大原桃子/葉山いくみ/他

<コメント>小学生と教師が繰り広げるドタバタ劇を描いたギャグアニメ。エピソードごとのテーマについて、限界など設けずにとことん突っ走る展開は凄まじい。

 『生徒会役員共』
テレビ神奈川土曜深夜12時半〜他
原作・氏家ト全(講談社『週刊少年マガジン』連載)、シリーズ構成・中村誠、キャラクターデザイン/総作画監督・古田誠、音楽・森悠也、監督・金澤洪充、アニメーション制作・GoHands、製作委員会・明記されず
出演者・浅沼晋太郎/日笠陽子/佐藤聡美/矢作紗友里/下田麻美/小林ゆう/他

<コメント>UHFアニメ界でも屈指の歴史を誇るスターチャイルド枠が復活。同枠は千葉テレビ放送日曜深夜11時半、テレビ神奈川土曜深夜12時半、テレビ埼玉日曜深夜1時、東京メトロポリタンテレビジョン月曜深夜1時半等で放送される枠(テレ玉は高校野球シーズンは30分遅れになるが)で、古くは2003年の『ダ・カーポ』に端を発する枠ですが、2006年第2クールの『ひまわりっ!』から現在の形となりました。しかし2009年第4クールの『アスラクライン2』を最後に枠が断絶。この度、半年の間隔をおいてスターチャイルド枠が復活致しました。それが本作です。ストーリーは、元々女子高であったが共学化した高校を舞台にした学園もの。女子生徒数に対して男子生徒数が圧倒的に少ないという状況は『おれは男だ!』と同じであり、『会長はメイド様!』とは逆パターンとなっています。前クールの『聖痕のクェイサー』で恥ずかしい台詞を連呼した日笠陽子が、本作でも恐れを知らずに下ネタを連発。本作の監督を務めた金澤洪充といえば、前作『プリンセスラバー!』の予告篇で登場人物が下ネタを発していたことも記憶に新しい。

 『戦国BASARA弐』
毎日放送日曜夕方5時〜他
原作・CAPCOM、キャラクター原案・土林誠、シリーズ構成・むとうやすゆき、キャラクターデザイン/総作画監督・大久保徹、音楽・澤野弘之、監督・野村和也、アニメーション制作・Production I.G、製作委員会・松竹/ポニーキャニオン/Production I.G/ムービック/電通/フライング・ドッグ/毎日放送
出演者・中井和哉/保志総一朗/玄田哲章/置鮎龍太郎/森川智之/石田彰/子安武人/石野竜三/中原茂/朴璐美/坪井智浩/他

<コメント>2009年第2クールに放送された『戦国BASARA』の続篇。実在した戦国大名が、史実を無視した活躍を見せる奇想天外な時代劇です。大名の地元自治体と協力した町おこしアニメでもあります。尚、前作の製作委員会に出資した中部日本放送が本作では外れています。

■ライター紹介
【コートク】

戦前の映画から現在のアニメまで喰いつく、映像雑食性の一般市民です。本連載の目的は、現在放送中の深夜アニメを中心に、当該番組の優れた点を見つけ出して顕彰しようというものです。読者の皆さんと一緒に、アニメ界を盛り上げる一助となっていきたいと考えています。宜しくお願いします。



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