シャークはBJ戦以来5カ月ぶりのファイト。BJ戦がトラウマになっていなければ良いが――

写真拡大 (全4枚)

カンファレンス・デーを終えた『UFC90 SILVA vs COTE』。10月25日(土・現地時間)、米国イリノイ州シカゴのオールステート・アリーナで行われる同大会では、開催を目前に控え、メインとセミに出場する4選手が記者会見を行ったが、今回の“カウントダウンUFC”は頂点不在のライト級から興味深いマッチアップに注目したい。

王者BJ・ペンがウェルター級王者GSPと戦うことを5月に決定して以来、トップ不在のなかで熾烈なサバイバルウォーが繰り広げられているライト級。8月のケニー・フロリアン×ロジャー・フエルタ、9月のUFNで実施されたネイト・ディアズ×ジョシュ・ニアーなど、ハイリスク・ローリターンのライト級戦線では、今大会より王者不在の生き残り戦も、二順目を迎えるファイターが出てきた。

PPVカードにラインナップされているライト級戦は2試合。ショーン・シャーク×タイソン・グリフィンとリッチ・クレメンティ×グレイ・メイナードという、4人の米国人による顔合わせだ。

PPVオープニングマッチとなるシャーク×タイ・グリ戦は、トップ集団同士の潰し合いというシビアな一戦。前世界王者シャークと、4連勝中のタイ・グリは、ともにライト級を超越したフィジカルの強さを誇る。肉体の強さ、無類のスタミナがベースとなる両者には、テイクダウンに強いという共通点があり、打撃を見せてテイクダウン、さらにパウンド&エルボーで判定勝ちをするといった印象までもが似通っている。

ただし、それは両者がこれまでもタフな対戦相手と戦い続けてきた証であり、実力に開きが見られれば、シャークはこれ以上ない多彩なポジショニングと、関節技のコンビネーションを持っている。

一方のタイ・グリも、本来は足関節を使いこなすほどのオールラウンダー。仮にシャークがテイクダウンを奪い、タイ・グリがガードを取るような展開になれば、これまでにあまり見られることがなかった両者の戦う様が見られるかもしれない。

また、35歳のシャーク、24歳のタイ・グリと年の差は実に11歳。MMAは進化し続け、習得する技術も多いので30歳を過ぎて強くなる選手だらけだが、問題はいかに身体を酷使してきたか。シャークは、私生活から体を苛め抜く、驚異のトレーニング量を誇るだけに、BJ・ペン戦で垣間見せた肌艶の悪さが、やや気にかかる。

そして、もう一つのPPVカード、クレメンティ×メイナードはスウィングバウトとして行われる見込みが高い。ウェルター級&ライト級を行ったり来たり、プロモーターの要望に応える振り幅の広さで活躍の機会を得ているクレメンティにとって、この試合は実にキャリア53戦目となる。その一方でメイナードは、これが8戦目。クレメンティは7倍近いキャリアを誇っているのだ。

タイ・グリ同様エクストリーム・クートゥアー所属のメイナードは、オールアメリカン・レスラーでショーン・トンプキンス指導の下、テイクダウンだけでなくスタンドで強力な威力を持つパンチの持ち主。これまでの勝利のようにクレメンティを圧倒するようなことがあれば、メイナードのトップ集団入りは確実となる。

その他、もう一つのライト級は、旧師弟関係にあったマーカス・アウレリオとエルミス・フランカのブラジル人対決。7月にフランク・エドガーに敗れているフランカに、同じく7月にタイ・グリに遅れをとったアウレリオ。プロとして、UFCでトップを狙うために、負けられない私闘になりそうだ。

また、まるでインドのビール会社キングフィッシャー社をイメージさせるスペンサー“ザ・キング”フィッシャー=UFC戦績6勝3敗のシュアな打撃が売りの彼は、UFC2戦目のシャノン・グジェティと対戦する。

■全対戦カードは次ページへ