平均2年弱かかる難民申請の審査、AI導入で3分の1以下に…「強制送還逃れ」対策にも期待
出入国在留管理庁は来年度から、難民申請の審査にAI(人工知能)を導入する方針を固めた。
AIに出身国情報の収集・分析を任せることを通し、1人当たり2年弱を要している審査期間を最終的に3分の1以下まで短縮させる。不法滞在の外国人が帰国を遅らせるために申請を悪用している状況の改善を目指す。
難民認定は、母国で人種や宗教などを理由に迫害される恐れがある場合などに適用される。審査は現地の政治情勢や内紛状況などを精査した上で、申請者の申告内容と照らし合わせて行う。AIは、インターネット上で現地のニュースサイトや当局発信の情報などを収集し、分析して翻訳までを行う。
現地情報の収集や分析は現在、入管庁の難民調査官が手作業で行っている。海外情勢は日々の変化が大きく、外国語の資料収集や分析には多くの時間が必要で、昨年の平均審査期間は約1年10か月に上った。入管庁はAIなどの活用により、2030年までに審査期間を6か月まで短縮させたい考えだ。
AI導入後、調査官はAIが分析した情報の再検討と、申請者との面談や最終判断などを担う。入管庁は27年度予算の概算要求に関連経費約16億円を計上しており、秘匿性が確保されたAIを導入する方針だ。
難民申請は不法滞在者の強制送還逃れに悪用されている。犯罪行為などで強制送還が決定しても、審査が終わるまで処分が一時停止となるためだ。申請中は就労制限が緩い在留資格「特定活動」も付与されるため、不法滞在の外国人が難民申請を行う例が後を絶たない。入管庁によると、昨年の難民申請者数は1万1298人で、認定者数は187人だった。
入管庁は来年度以降、難民申請書類の電子化も行う。手書きの申請書類を業者に翻訳してもらう手間を省き、AI翻訳などを活用することで審査期間短縮の目標達成につなげる。難民申請者は観光目的などで入国するケースが多く、大半がスマートフォンなどを所持しているといい、電子申請に対応可能と判断した。
