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東京都福生市の駐車場で男子高校生を殴打し重傷を負わせた“ハンマーおじさん”として一時SNSを騒がせた被告人(45)の第二回公判が9月2日に東京地裁立川支部(中島経太裁判長)で開かれた。

手荷物を預けたうえ、所持品検査を経て入った法廷には、傍聴席の四角に警備員が立ち、ものものしい雰囲気。バーの向こうに座る被告人は官品とおぼしき黄緑色の作業服を着用し、傍聴席をキョロキョロと見回していた。

この日は3件の追起訴について起訴状が読み上げられたが、被告人は「今はまだ何も言えません」と答え、弁護人も認否を留保。

続けて行われた冒頭陳述では、被告人が今年2月に同じくハンマーを用いて店舗に侵入し窃盗に及んでいたことや、逮捕後にも留置担当の警察官に暴力を振るっていたことが明らかになった。(ライター・高橋ユキ)

●“ハンマーニキ”の情報酌量を求め、2万人が署名

今年4月29日に発生した男子高校生殴打事件で被告人は、自宅近くの駐車場に集まっている男子高校生のうちひとりの左側頭部をハンマーで複数回殴打し、左目付近の骨折など全治1か月半の重傷を負わせたとされる。

帰宅後、駆けつけた警察官らにナイフを示した末に逃走。警察が自宅に突入したがすでに姿はなかった。裏口から逃走した被告人を警視庁は殺人未遂容疑で全国に公開手配。5月1日に潜伏先の千葉県習志野市内のアパートにて身柄を確保した。

この逮捕直後からSNS上では被告人を“暴走族の騒音から町を救ったヒーロー”と見る向きが広まり、“ハンマーおじさん”、“ハンマーニキ”などの名称も用いられるようになる。

暴走族の騒音行為の厳罰化と被告人の情状酌量を求める署名は、22,711(2026年9月20日現在)筆にのぼる。しかし今回の高校生らが、騒音により地域に迷惑をかけていた暴走族メンバーだったという確たる情報はない。

●警察官へのスプレー噴射事件

第二回公判では、そんなSNS上でのヒーロー像とは程遠い余罪が明らかになった。

まず一つは、ハンマー殴打事件に関連する“警察官へのスプレー噴射事件”である。

冒頭陳述や起訴状によれば4月29日、自宅に駆けつけた警察官らに対し被告人は「入ったらやるぞ」とナイフを示した。警察は身柄の確保を考えていたが、自宅内に被告人の母親がいたため「危ないから外に出るように」と呼びかけたという。

しかし母親は「何で何で」と拒否。最終的に警察が母親の体をつかみ、自宅外に引きずりだしたところ、これに腹を立てた被告人が警察官らに接近し、カプサイシン系の液体を噴霧。警察官らが怯んだ隙に、車で逃走したという。

さらに逮捕後の6月28日、勾留中だった被告人は負傷し病院に搬送された。

診察を受けたのち「トイレに行きたい」と訴える。これを受けて留置担当の警察官が付き添い、トイレに赴いた。用便後、被告人がよろけて倒れてしまったところを、支えようと近づいた留置担当の警察官が近づいた。すると被告人は警察官の股間を右膝で蹴り、首を絞めたとされる。

●343万円相当の窃盗

ハンマー事件と関連のない別件でも起訴されている。

被告人は今年2月の夜中、氏名不詳者の共犯1名と車で店舗に向かい、ハンマーでガラスを叩き割り中に侵入。ショーケースも同じく叩き割り、中からバッグ9点、時価総額343万2000円相当を持ち去ったとされる。

ハンマー殴打事件の逮捕後、現場に残された血痕3点のDNAが被告人と一致したうえ、自宅の捜索時に店舗で販売されていたシャネルのバッグが発見されたという。

罪状認否から留保しているため、証拠調べなどは次回に持ち越され、15分程度で閉廷した。傍聴人らが法廷を出るなか、傍聴席最前列に座る高齢女性をじっと見つめ、立ち上がって笑顔で深々とお辞儀をしていた。