「ボディサイドを取っ払ったミニ」 クレイフォード・モヒート 往年のブランドが復活 高すぎないEV版も開発中 町行く人の誰もが気に入る?
マクマラン家の承諾を得てブランド名が復活
雨の少ない別荘地などでの利用を想定した、クレイフォード・モヒート。BMC時代のミニをレストアし、ドアパネルを外しただけ、といえばその通りだ。
【画像】クレイフォード・モヒート オリジナルと最新のミニ レストモッド版と電動モークも 全139枚
もしクレイフォードという社名をご存知なら、かなりのミニ通。1970年代に、同じ名前を掲げた企業が、ミニをコンバーチブルへ改造していたから。メルセデス・ベンツ CEクーペやモーリス・マリーナも、コンバーチブルにしていたが。

クレイフォード・モヒート(英国仕様) ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)
当時の経営者、デビッド・マクマラン氏は1980年代に引退。その後、アメリカ・ロサンゼルスで高級車ディーラーを営むポール・オズボーン氏によって、ブランド名は復活を遂げた。マクマラン家の承諾を得て。
「基本的には、ボディサイドを取っ払ったミニです」。オズボーンが、モヒートを要約する。レストアは費用がかさみがちで、ベース車両は状態の良いものを選ぶという。再生産されるヘリテージ・ボディは、お値段が高すぎる。
僅かに低域トルクが増したAシリーズ・エンジン
恐らくクレイフォード社の技術者は、グラインダーでボディを切り取るのだろう。ドアは降ろされ、ヒンジ部分は新しいパネルで覆われる。サイドシルは持ち上げられ、開口部にも新たな部材が溶接される。切除部分は、荷重を受け止める構造ではないという。
欧州の規制を満たすため、ドアがあった部分にはロープを張れる。シート後方へバーを追加し、3点式シートベルトを装備することもできる。試乗車は、腰部分だけだったが。

クレイフォード・モヒート(英国仕様) ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)
パワートレインなどの変更は最小限。「できるだけ、オリジナルに近い状態を保ちたいと考えました」とオズボーンが続ける。それでも1.0L 4気筒のAシリーズ・エンジンは僅かに低域トルクが増やされ、フロントにはディスクブレーキが組まれている。
あえて特段の仕上がりは目指さず抑えた価格
インテリアは、ヨットに用いられる素材で仕立て直される。フロアは、フレキシチーク社によって、合成チークウッドのパネルが貼られる。キャンバストップの素材は、アメリカ製で完全な防水ではないそうだが、モヒートなら問題ないだろう。
ダッシュボードには、オリジナルのスイッチ類などがそのまま残る。価格を抑えるべく、あえて特段の仕上がりを目指してはいない。

クレイフォード・モヒート(英国仕様) ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)
ポルシェ911のレストモッドを手掛ける、シンガー社と同じ品質でレストモッドしても、ミニに同等の金額を支払う人は殆どいないと、オズボーンは理解している。「その値段なら1台買おう、という水準を目指しています」
別荘での移動やパートナーのために注文し、道を走るのは気候が優れる期間だけ。3万7500ポンド(約780万円)なら、気前の良い人は納得するかもしれない。ちなみに試乗車は、1986年式のオースチン・ミニがベースになっている。
通りを歩く人の誰もが気に入ってくれる
走らせた感覚は、オリジナルのミニらしい。全長は3mほどで、全幅は1.5mに届かず、現代のクルマに慣れていると驚くほど小柄。脚を曲げて、ステアリングホイールを膝の上辺りで握る運転姿勢だが、開放的だから窮屈さはない。
ステアリングにアシストはなく、反応は驚くほど正確でスムーズ、ダイレクト。乗り心地も想像以上に良い。若干跳ね気味ながら、大きめの凹凸などは巧妙に均してくれる。車重は、当初の650kg前後から殆ど変わらないようだ。

クレイフォード・モヒート(英国仕様) ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)
4速MTの長いシフトレバーは、傾けるのが楽しい。トルクが太く感じられるのは、車重が軽いからだろう。そして、通りを歩く人の誰もが気に入ってくれる。アウディQ7に乗るマッチョな紳士が、興味を示して近寄ってきた。
身体は外界へ多少さらされた印象ながら、浜辺の道なら気にならない。高速道路を走ろう、という人はいないだろう。MTだから、乗りたいと思う人も限られそうだ。
EV版の登場までは最も魅力的なレストモッド
「ATは扱いが難しいんですよ」。オズボーンが苦笑いする。そもそも、新車時はオプションで提供数が少なく、性能もイマイチだった。他方、バッテリーEV化は避けられない選択だと、彼は考えている。
「EVこそ未来でしょう。クルマを普段運転しない人でも、欲しがる可能性はあります」。秋が終わってガレージにしまい、翌年の春に再び乗ろうとして、古いエンジンは調子良く始動すると限らない。ただし、EV化するための部品は一般的に高い。

クレイフォード・モヒート(英国仕様) ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)
「最近、電動のミニ・モークへ並ぶ性能を叶える、お手頃なキットを見つけました」と彼が付け加える。それなら、5万ポンド(約1040万円)以下で販売できるという。
オズボーンによれば、既に少なくない人がEVだと勘違いするのだとか。電動版のモヒートは、試作が進んでいるそうだ。それが完成するまで、英国で最も安価なレストモッド・モデルのモヒートが、この手のクルマで最も魅力的な1台ということになる。
クレイフォード・モヒート(英国仕様)のスペック
英国価格:3万7500ポンド(約780万円)
全長:3054mm(参考:オリジナルのミニ)
全幅:1410mm(参考:オリジナルのミニ)
全高:1346mm(参考:オリジナルのミニ)
最高速度:120km/h
0-100km/h加速:20.0秒(予想)
燃費:14.2km/L(予想)
CO2排出量:-g/km
車両重量:650kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒998cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:40ps
最大トルク:6.6kg-m
ギアボックス:4速マニュアル/前輪駆動

クレイフォード・モヒート(英国仕様) ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)
