〈横浜・パワハラ前市長が出直し選出馬〉「加害者だからできる対策がある!」部下への暴言は忘れても「私は自分を十分理解」と3週間で再起に挑戦

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部下を「人間のクズ」などと罵倒したことが確認され横浜市長を辞職した山中竹春氏(54)が10月4日告示の出直し市長選に出馬すると表明した。公約を達成するためだといい、自分はパワハラ加害者なので再発防止策を立てる適任者だと主張している。その再選戦略は、SNSや兵庫県政関係者から斎藤元彦・兵庫県知事との類似を指摘する声も上がっている。

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「パワハラは辞職の理由なのか?」と尋ねると…

「ポンコツ」「人間のクズ」「脳みそが筋肉」などと言い放ち、気に入らない部下は市長室への入室を許さず、人事権をかさにあからさまな脅しを言い立てる--。

横浜市が設置した第三者調査委員会は7月30日に公表した報告書で、山中氏がこうしたパワハラを「日常的に、かつ継続して行なっていた」と断定している。

それでも市長職を手放すまいと抵抗した山中氏だったが、自民党など市議会主要3会派に退陣を求められ、議会の不信任議決が確実になると辞意を表明。9月7日に市議会が全会一致で辞職に同意した。

当時は「今後についてはまだ考えられる状態ではありません」と言って出直し選出馬の意向を明かさなかったが、3週間後の9月28日に出馬すると後援会で表明。29日の記者会見で

「(市民から)お叱りや厳しいお言葉もいただきました。しかし温かいお言葉もいただきました。先般には市民団体の皆様から出馬のご要請をいただきました。その中で皆様とお約束をした政策をやり遂げること、その責任があると思いました」と理由を話した。

だが、パワハラ問題は何も解決していない。山中氏は第三者委が認定したパワハラを「深く反省」すると言いながら、辞職の理由には「市政に混乱を生じさせてしまっていること、また市民の皆様からの信頼に影響を与えたこと」の二つを挙げるだけで、パワハラの責任を取り辞めると言及したことはない。

そこで集英社オンラインは9月29日の会見で、パワハラは辞職の理由なのか、と尋ねた。

すると山中氏は「今回私のパワハラの問題によって、そのこと自体も反省を続けなければなりませんし、またパワハラの問題によって深く市政の混乱に至りました。そのことに対する辞職であります」と答えた。

この態度を市関係者は「パワハラではなく“市政の混乱”の責任を取って辞めたので混乱が収まれば市長の資格はある、と言いたいのでしょう」と分析する。

「今回の問題の本質を心の底から理解し、そして自分を変え続けています」

会見で「当選すればパワハラの責任は解消されると考えているのか」と聞いてみると、山中氏は「パワハラに対する私が起こした過去のこの過ちに関して、生涯許されるものではないと思います」と答えた。

だが、それほどの責任があると言いながら、パワハラは清算されたとはいえない状態だ。山中氏は最初にパワハラを告発した当時の人事部長、久保田淳氏(現こども青少年局企画部長)らに直接謝罪した。

だが久保田氏は9月3日、公用車の運転手が山中氏から怒鳴られるなどのパワハラを受けストレス障害になっていたが、個人が特定される恐れがあるため第三者委の報告書ではこの被害は言及されていないと公表。久保田氏によれば被害は「全ての職位の人間」に及んでおり、第三者委調査では全容は分かっていないという。

加害者がまた市長になったら、どうして再発を防げるのか、との当然の疑問が会見では続いた。すると山中氏は「私がハラスメント加害者であり、そしてなぜこの問題が起こったのかを理解しているから行なえる対策があります」と主張。“加害者ならでは”の対策を講じられると言い始めた。

山中氏はその理由について、第三者委報告が出た後「(自分は)今回の問題の本質を心の底から理解し、そして自分を変え続けています」と説明する。

だが第三者委は報告で、山中市長が人事権を振り回す際に「粛清」との言葉を使ったと指摘しているが、山中氏は、同委報告の内容は受け入れると言いながらも「私がそういう発言をしたかどうかについて私自身は記憶がありません」と言う。

被害者の記憶に刻まれた脅しの言葉を忘れながら、“問題の本質”は理解しているというのだ。

さらに山中氏は会見で「市民団体の皆様からご要望をいただいてから、私、出馬を決断いたしました」と説明した。9月25日に市民団体「市⺠のための横浜市政を進める会」から出馬を要請されたことを指すとみられるが、地元記者はこの説明に疑問を口にする。

「山中氏は9月11日から数日間、鉄道の駅で通勤客にあいさつをする『駅立ち』をしていたのが目撃されています。ひたすら謝罪の言葉を言っていたようです。これは選挙を意識した行動ではないでしょうか」(地元記者)

「斎藤知事に山中氏はあやかろうとしたのではないでしょうか」

この動きがSNSで伝えられると遠く兵庫県で関心を呼んだ。

「斎藤元彦・兵庫県知事がやったことと同じです。斎藤知事は2024年、パワハラや“おねだり”などをしたと県の元西播磨県民局長に告発され、これが背景となり県議会で不信任が全会一致で議決され失職しましたが、その直後から朝の駅立ちを始め、出直し知事選で再選されています。自分と同じようにクビが飛んでも再選を果たした斎藤知事に山中氏はあやかろうとしたのではないでしょうか」(兵庫県議会関係者)

横浜市長選には他に⾃⺠党市連と国⺠⺠主党県連、維新市議団が推薦し公明党市議団が支持する弁護⼠の原澤敦美⽒(59)や、⽴憲⺠主党県連が⽀持する前衆院議員の中⾕⼀⾺⽒(43)、参政党推薦の会社経営、福⼭敦⼠⽒(37)、共産党県副委員⻑の浅賀由⾹⽒(46)、市⺠団体代表の藤川祥⼦⽒(51)が出馬する見通しだ。

2021年の市長選から支えた立民と共産、2025年の選挙から応援に加わった自民党も、今や山中氏に見切りをつけた。山中氏は政党の支援なしに、兵庫県知事選のような復活劇を見せることができるだろうか。

「兵庫県の出直し知事選では、政治団体NHK党代表の立花孝志被告=名誉棄損罪で起訴、勾留中=が斎藤氏にプラスになる選挙運動を行う意向を公言して出馬し、斎藤知事を告発した後自死した元西播磨県民局長や議会で疑惑を追及した県議らをSNSも駆使して誹謗中傷し、斎藤氏を助ける“2馬力選挙”を展開しました。

これが得票にどの程度影響したのかは検証が難しいところですが、斎藤知事の再選につながった可能性があります」(在阪記者)

だが今回横浜市長選では、山中氏は知名度は高いが立花被告のような存在はいない。パワハラ首長出身者が“2馬力”の応援なしでも返り咲けるのか。結果が注目される。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班