地元ハンター「緊急銃猟の意味がない」…八王子でワナにかかったクマ、駆除まで3時間の「異常事態」の理由
駆除されたのは、発見から3時間も経った後
「このままでは、いつか本当に取り返しのつかない事故が起きますよ」(八王子市で獣害対策を担う地元ハンターの男性A氏)
9月28日、東京・八王子市小津町の畑で、ワナにかかったツキノワグマ1頭が見つかった。その後、自治体の判断で発砲できる「緊急銃猟」によってこの個体は駆除された。
けが人は出ておらず、一件落着--と思いきや、発見から発砲までの対応をめぐり、地元のハンターの間で疑問と怒りの声が上がっているという。A氏が当時の状況を語る。
「午後2時半頃、地元の農家から『イノシシ用のくくりワナに、クマがかかっている』と知らせを受けました。駆けつけてみると、体長1メートルほど、体重70キロくらいの若いクマです。すぐに110番しましたが、そこから先は、何もさせてもらえずただ待たされるばかりでした」
八王子市などの発表によると、通報を受けた高尾署から市に情報が伝わったのは3時30分頃。市は5時過ぎにツキノワグマ対策本部を立ち上げ、5時13分に市長が緊急銃猟を承認した。結局、クマが駆除されたのはA氏が連絡を受けてから約3時間後の5時29分のことだった。
「銃を発砲したのは市から委託されている業者です。ワナを仕掛けた当事者とはいえ、私たちには、撃つ権限は与えられていないんです。
今回クマがかかったのは、もともとイノシシを捕るための小さなものです。いつ外れて逃げられてもおかしくない、非常に危険な状況でした。近くには川があり、人家もある。地元住民も『なんで撃たないの?』と恐怖を訴えていました。
すぐに駆けつけられる我々のような地元のハンターに発砲許可があれば、その場で駆除したほうがよかったはずです。即座に対応するための『緊急銃猟』のはずなのに、どう考えてもおかしい。これは大問題ですよ」(A氏)
入札によって委託業者が決まる
なぜ、地元のハンターには撃つ許可が与えられていないのか。東京都の猟友会に所属するベテランハンターの男性は、こう指摘する。
「駆除の委託は入札で決まります。自治体からは相当なお金が出ていて、入札で仕事を取れるだけの資金力がものを言う。
だから、地域を良く知っていてすぐに動ける地元のハンターは撃つことができず、よそから来る業者を待つしかない。目的とやり方が矛盾していますよ」
市から委託されていない猟師が勝手に発砲すれば、法律違反に問われかねない。たとえ現場に駆けつけた警察官が「撃て」と言ったとしても、許可がなければ引き金は引けないのだ。
「もう八王子市にクマが出ることは明らかです。『都内初の緊急銃猟』ばかりが話題になっていますが、こんな仕組みは一刻も早く変えなければいけません」(A氏)
八王子市は9月16日、高尾山の登山道付近で8月20日にツキノワグマが確認されていたと発表したばかりだ。人命にかかわる事故が起きる前に、「仕組み」を整えるべきだろう。
【もっと読む】『危険な「人慣れクマ」ついに高尾山→八王子へ侵攻開始か、地元ハンターが明かした「侵入経路と遭遇リスク」』
