室内練習場で汗を流した阪神・佐藤輝明

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 海を渡るなら、重視すべきは契約条件だけではないようだ。セ・リーグで3冠王を狙う阪神・佐藤輝明内野手(27)について今オフのメジャー移籍が取り沙汰される中、移籍先の「街」まで慎重に選ぶべきだとの異例の声が米球界から上がっている。一体、どういうことなのか--。

 29日のヤクルト戦(甲子園)は悪天候とグラウンドコンディション不良で中止。28日終了時点で打率3割1分5厘、37本塁打、100打点はいずれもリーグトップと、佐藤は歴史的なシーズンを走っている。早ければ今オフにもポスティングシステムによるメジャー移籍が注目される中、契約条件や球団事情とは別の〝落とし穴〟が浮上した格好だ。

 米球界関係者やOBらが挙げるのは、フィラデルフィア、ピッツバーグ、クリーブランドの3都市。「米国居住経験のない日本人がいきなり行くには慎重になった方がいい」という。理由は野球ではなく、治安や生活環境への適応だ。都市ごとに事情は異なるが、3都市にはもちろん日本人会や日本語補習校などの受け皿もある。それでもロサンゼルスやニューヨークほど選択肢が多いわけではなく、生活面まで含めて移籍先を吟味すべきだというのが関係者の主張だ。

 過去に当地で暮らした日本人選手の夫人からも「最後は慣れなんだけどね。子供の事も考えると、あの街は厳しかったと言わざるを得ないよね」との声が漏れる。長期遠征が続くメジャーだけに、本人だけでなく家族が生活する場合の環境も決して軽視できない。

 もっとも、3都市とも日本人選手には無縁ではない。フィリーズでは田口壮氏(現侍ジャパンヘッドコーチ)が2008年にワールドシリーズ制覇を経験。パイレーツでは筒香嘉智(現DeNA)が21、22年にプレーし、ガーディアンズでも福留孝介氏(現野球評論家)ら5人の日本人選手がメジャーの舞台に立った。

 大前提として、ポスティングは阪神が認めなければ成立しない。球団側も今季開幕前に「ポスティングは球団の権利」と明言している。しかも今オフはMLBの現行労使協定が12月1日(日本時間2日)に失効予定で、新協定がまとまらずロックアウトとなれば移籍交渉が凍結される可能性もある。ゴーサインが出た場合には、例年以上に早い段階から条件を整理しておく必要がありそうだ。代理人を通じ、野球面だけでなく生活環境を含めた希望をあらかじめ伝えておくべきだという指摘には現実味がある。

 夢の舞台で力を出し切るには、グラウンド外の土台も重要になる。本人には大きなお世話かもしれないが、移籍先の〝住みやすさ〟まで見極めることも、海を渡るための準備の一つとなりそうだ。