プロテインでもサラダチキンでもない…栄養士も納得したスーパーで買って調理なしで食べられる栄養フード1位

■「バランス良いつもり」が一番危ない
「今日の食事、まあまあバランスよく食べられたかな」--そう感じている人ほど、実は要注意かもしれません。
AI食事管理アプリ『あすけん』の就労中のユーザー4492人を対象に行った「働く人の『隠れ栄養不足』実態調査」(2026年7月17日~21日実施)では、自分の食事を記録してはじめてたんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が「実は足りていなかった」と気づいた人が74.1%にのぼりました。さらに興味深いのは、調査前に「栄養は足りている」と思っていた人のうち、74.2%が何らかの栄養素の不足に気づいたという結果です。つまり、自己評価と実態には大きなギャップがあるということです。


実際にバランスよく栄養をとれていた人はわずか9.2%。逆に、「脂質」のとりすぎに気づいた人は75.2%にのぼりました。エネルギー(カロリー)そのものは足りているのに、たんぱく質やビタミン、ミネラルといった特定の栄養素が偏って不足している。これがいわゆる「隠れ栄養不足」「新型栄養失調」と呼ばれる状態です。
「新型栄養失調」とは、医学的な診断名でも、正式な用語でもありませんが、厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」でも、働く世代特有の健康課題として触れられていますし、あすけんでも、2016年頃に公式コラムで「新型栄養失調」について取り上げたこともあり、決して新しくはないけれど見過ごされがちな課題です。


■不足ランキング1位「たんぱく質」
今回の調査で、食事を記録してはじめて「不足に気づいた」栄養素のランキングは、男女総合で次の通りでした。
2位 カルシウム 41.6%
3位 鉄 40.7%
4位 食物繊維 36.9%
5位 ビタミンA 35.5%
興味深いのは男女差です。男性は「たんぱく質」がトップで46.0%。一方、女性で最も多かったのは「鉄」で、なんと半数を超える50.4%にのぼりました。


なぜ女性だけ鉄がここまで突出するのか。背景にあるのは月経です。月経のある女性は定期的に鉄を失うため、食事摂取基準でも成人男性や月経のない女性より高い推奨量が設定されています。妊娠・授乳期にはさらに必要量が増えることもあります。同じような食事内容でも、月経のある女性のほうが基準を満たしにくいというわけです。一方、男性は月経による損失がない分、鉄よりも他の栄養素の不足のほうが意識されやすかったのかもしれません。
なお、あすけんの実際の食事記録データ全体で見ると、年代や性別を問わず「食物繊維、ビタミンA、カルシウム」はどの層でも不足している方が多い栄養素です。ランキングの上位にこの3つが顔を出しているのは、決して今回だけの傾向ではないと感じています。
■「なんとなく不調」の正体は?
これらの栄養素が不足すると、具体的にどんな影響があるのでしょうか。
「たんぱく質」は筋肉や臓器、皮膚、髪の毛の材料になるほか、酵素やホルモン、抗体の材料にもなります。不足が長期化すると筋肉量や筋力、体力の低下につながることがあります。働く世代でも、基礎代謝の低下や疲れやすさとして、日中のパフォーマンスに影響することも。
「食物繊維」は便の量を増やし、腸内環境を整える働きに関わるとされます。不足すると便秘の一因になる可能性がありますし、食物繊維を十分にとっていれば、2型糖尿病や循環器疾患などの発症リスク低下につながるという報告もあります。
「ビタミンA」は暗い場所での視覚や、皮膚・粘膜を健康に保つ働きに関わります。重度の欠乏症は稀ですが、脂溶性ビタミンなので、サプリメントなどからの過剰摂取にはむしろ注意が必要です。
「カルシウム」は骨や歯の材料です。不足が長期間続くと骨からカルシウムが取り出される量が増え、骨量減少や骨粗鬆症のリスクに関わってきます。ただしカルシウムだけで骨の健康が決まるわけではなく、ビタミンD・ビタミンKや運動、日照なども関係します。
「鉄」は赤血球のヘモグロビンの材料で、全身に酸素を運ぶために欠かせません。不足が進むと鉄欠乏性貧血につながり、疲れやすさ、だるさ、動悸、息切れ、立ちくらみなどが現れることがあります。ただ、貧血になる前の段階では自覚症状がないことも多いのが厄介なところです。

「なんとなく疲れが抜けない」という感覚には、「ビタミンB群」の不足が関わっていることもあります。ビタミンB1・B2・ナイアシンはエネルギー代謝に、B6はたんぱく質の代謝に、B12や葉酸は血液づくりや神経機能に関わる栄養素です。麺類やパンなど主食中心の食事が続いていると、糖質をエネルギーに変えるためのビタミンB群が不足している可能性もあります。
いずれも、一日だけ目標量に届かなかったからとすぐに症状が出るものではありません。習慣として、どのくらい継続的にとれているかという視点で考えていただきたいと思います。

■栄養素を補いやすい食材1位
こうした不足を補うために、調査で「取り入れている・取り入れたい」と回答が多かった食材は、1位「納豆」、2位「プロテイン」、3位「鶏むね肉・ささみ・サラダチキン」、4位「ヨーグルト・乳酸菌飲料」、5位「にんじん」でした。

どれも理にかなった選択ですが、栄養士としておすすめしたいのは、やはり1位に挙がった「納豆」です。というのも、今回の調査で不足に気づいた人が多かった栄養素のうち、たんぱく質・鉄・食物繊維の3つを、1パックで同時に補えるからです。しかも調理は不要、価格も手頃で、スーパーやコンビニで買ってすぐに食卓に加えられる。忙しい働く世代が「今日から」取り入れやすい点でも、納得の1位だと感じています。


もちろんプロテインも、たんぱく質を補う目的では便利な選択肢です。ただ、基本的にはたんぱく質に特化した食品であり、食物繊維や幅広いビタミン・ミネラルまで十分に補えるとは限りません。食事の代わりというより、必要に応じた「補助」として考えるのが適切です。
鶏むね肉・ささみ・サラダチキンもたんぱく質はとりやすいのですが、市販のサラダチキンは製品によって食塩量が異なるので、栄養成分表示を確認する習慣もあるとよいと思います。ヨーグルトや乳酸菌飲料はカルシウムやたんぱく質の供給源になりますが、乳酸菌飲料は製品によってカルシウムや糖類の量が大きく異なるため、ヨーグルトとは分けて考えたほうが正確です。にんじんは体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンを含む緑黄色野菜ですが、ピーマンや水菜、ブロッコリーなど他の野菜と組み合わせることも大切です。
いずれにしても、これらの食品単品で栄養不足を解決しようとするより、主食・主菜・副菜をそろえる中で、どう取り入れるかを考えることが基本になります。
■牛丼など「単品ランチ」が続く人へ
物価高もあって、ランチを牛丼やラーメン、うどんといった炭水化物中心のメニューで済ませる方も増えているのではないでしょうか。炭水化物は体を動かすための大切なエネルギー源ですから、こうしたメニュー自体が悪いわけではありません。ただ、単品で食べる機会が続くと、野菜や豆類、乳製品、果物をとる機会が減り、食物繊維やビタミン、ミネラルが不足しやすくなったり、脂質や食塩のとりすぎにつながったりすることがあります。

大切なのは、主食・主菜・副菜がそろうよう「足し算」で工夫することです。うどんに卵や肉、わかめ、野菜を加える。牛丼にサラダやおひたしを一品添える。ラーメンなら具を増やし、スープを飲み干さない。丼ものに冷奴を一つ追加するだけでも、たんぱく質がプラスされます。冷蔵庫に納豆やヨーグルトを常備しておくのも手軽な方法です。毎食完璧にそろえる必要はありません。一食で偏ったと感じたら、次の食事や一日全体でバランスを戻せばいいのです。
■サプリメントは「あり」だが…
「足りない栄養素はサプリメントで補えばいいのでは?」という声もよく聞きます。これについては、一律に否定はしません。妊娠を計画している方の葉酸のように、国がサプリメントからの摂取を推奨しているケースもあります。食事だけではとりにくい栄養素を、上手に補助として活用する方法のひとつだと考えています。
ただし、「サプリメントをとれば食事の偏りをすべて解決できる」わけではありません。食品には複数の栄養素に加えて、フィトケミカルや食物繊維など、サプリメントだけでは補いきれない要素も含まれています。まずは普段の食事を振り返るのが基本で、どうしても補いにくい栄養素があれば、サプリメントを補助的に使う、という順番で考えていただきたいと思います。

サプリメントは手軽にとれる分、とりすぎには注意が必要ですし、複数の商品を併用すると同じ成分を重ねてとってしまうこともあります。パッケージの目安量は必ず確認してください。妊娠・授乳中の方や持病、服用中の薬がある方は、事前に医師や薬剤師に相談していただくと安心です。
「隠れ栄養不足」は、誰にでも起こりうる身近な問題です。完璧なバランス食を目指す必要はありません。まずは自分の食事を記録して振り返ってみること、そして「今日は野菜が足りなかったから納豆をプラスしよう」といった足し算の工夫を続けること。それが、忙しい毎日を送る働く世代にとって、いちばん続けやすい栄養対策だと思います。
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多田 綾子(ただ・あやこ)
あすけん栄養士
AI食事管理アプリ「あすけん」栄養士。化粧品ブランドに14年間勤務後、からだの内側からも美容や健康をサポートしたいという思いから栄養士の資格を取得。現在は「あすけん」栄養士としてサービス開発やコラム執筆のほか、セミナー講演、オンライン栄養カウンセリング等を担当。
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(あすけん栄養士 多田 綾子、AI食事管理アプリ『あすけん』)
