【田窪 綾】15~20万人を集める栃木県小山市のラーメンフェス 小山で大規模集客が定着した理由とは 成功を支える地元の「ラーメン愛」

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栃木県小山市で2018年に始まった「大つけ麺博 Presents 最強ラーメン祭」(以下、最強ラーメン祭)。初開催で約7万5000人が訪れ、現在では15~20万人を集めるラーメンフェスへと成長している。開催期間中には駅利用者がさらに増え、市内や近隣のホテルには出店者やラーメンファンが宿泊。最強ラーメン祭の来場をきっかけに市内飲食店や観光地へと足を運ぶ人もいるという。

大規模な集客が続き、街への人流も生まれている。なぜ小山では大きく定着できたのだろうか。立ち上げから携わる小山市議会議員の福田幸平氏に詳しい話を聞いた。

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全国の人気店と勝負 祭りを支える「地元のラーメン愛」

小山での最強ラーメン祭は、全国各地でフードフェスを手掛けるイベント会社・ブルースモービルが新たな開催地を探していたことに始まる。交通の便が良く、大きな広場があり、ラーメン好きの集客も見込めることが条件だった。そこで、ラーメン店の店主らを通じて福田氏に話が持ち込まれた。

福田氏は約20年前、ラーメン専門のWebサイトを運営していた。当時は地元ケーブルテレビ局に勤務しており、インターネット知識を深めるために始めたものだったが、徐々にラーメン熱が高まり、運営中の4年間で訪れた店は約800軒。関東各地を中心に食べ歩いており、ラーメン店との交流はサイトを閉じた後も続いていた。

その経験から福田氏は、北関東には東京の人気店にも引けを取らない実力店が多いと感じていたという。「実力があるのに、地理的な条件で東京ほどお客さんが来ていない店も多かったんです」と話す。

北関東はものすごくラーメン愛が強い地域

小山でラーメンフェスを行うなら、ぜひその魅力を多くの人に知ってもらいたい。福田氏は当時の市長へ話をつなぎ、ブルースモービル、福田氏、地元ラーメン店などによる実行委員会を立ち上げた。

出店店舗は全国から誘致するが、8店舗のうち2店舗は地元枠に固定。実際に地元店が有名店を客数や売り上げで上回ることもあり、「全国の人気店と食べ比べることで、地元の店の美味しさを知ってもらう機会にもなった」と福田氏は言う。

また、小山周辺には、ラーメンを通じた地域貢献に積極的な店も多いという。福田氏によると、東日本大震災の際には炊き出しに出向いた店があり、児童養護施設の子どもたちにラーメンや餃子を無償で提供するなど、以前から地域への還元に取り組んできた店主もいる。

福田氏は、北関東について「ものすごくラーメン愛が強い地域」と話す。地元店についても「儲けようというところに主軸を置いていない」といい、そうした姿勢が「今も熱が冷めない芯の部分になっているのではないか」とみている。

想定1万人が7万5000人 混雑を改善して定着へ

初開催の2018年は4週にわたる土日の計8日間だった。福田氏は「多くて1万人程度」と見込んでいたが、来場者は約7万5000人に達した。市役所に隣接する芝生広場の会場は人であふれ、周辺では大規模な交通渋滞が起きた。一番人気のラーメン店の列は最長3時間半待ちになったという。

予想以上の来場者数に加え、各店の提供オペレーションも追いつかず、来場者が会場に滞留した。隣接する小学校の校庭も予備駐車場として開放したがそれでも車を収容しきれず、次々と訪れる客で混雑はさらに大きくなった。

そのため翌年からは運営を見直した。電車での来場を積極的に呼びかけ、各店は味を保ちながら短時間で提供できるようオペレーションを改善した。来場者側にも混雑を避ける動きが見られ、朝一番や夕方など人の少ない時間を狙ったり、車に相乗りして訪れたりなどの動きが広がったという。

現在では人気店でも待ち時間は長くて1時間強程度。福田氏によると来場者数は初回より増えているが、交通渋滞は大幅に減り、販売杯数は初回の約2倍になっている。

フェス来場者は駅、ホテル、観光地へ 広がる人の流れ

また、当初は若い市外客が中心だったが、混雑が緩和されるにつれて長時間の行列を敬遠していたシニア層など地元住民も訪れるようになり、最強ラーメン祭は恒例イベントとして定着していった。

開催期間中の人流は鉄道利用に表れている。福田氏は来場者の3~4割程度がJRを利用しているとみており、JR側から「駅の利用者が大きく増えた」と感謝の連絡を受けたこともあったという。

県外から出店するラーメン店のスタッフだけでなく、熱心なファンは週末を通して現地に滞在する人もいる。開催期間中は「小山市内だけでなく近隣市町のホテルや旅館も混み合う」という声が届いている。

最強ラーメン祭では現在のところ来場者アンケートは実施しておらず、来場者が会場外でどこを訪れ、どの程度消費しているかを示すデータはない。だが会場外へ足を延ばす来場者は増えてきている。市内の飲食店や土産物店に立ち寄るほか、コウノトリが自然繁殖する渡良瀬遊水地など、近隣の観光地を訪れるケースもあるという。福田氏の実感では、会場外へ足を延ばす人は、福田氏の実感では全体の1~2割程度だ。

15~20万人の来場者を街へ 地域参加を広げる次の一手

現在、イベント運営はブルースモービルや地元ラーメン店などによる実行委員会が中心となっている。小山市の関与は会場利用の調整や庁舎のトイレ開放などに限られ、地域の事業者がイベントに参加する仕組みもまだ十分には整っていない。

今後福田氏は、最強ラーメン祭をさらに地域の事業者や住民へつなげるべく、商工会議所や商工会青年部などにも参加を呼びかけている。ラーメンを目的に訪れた人に地元の商品や店を知ってもらう機会をつくり、地域のPRにも生かしたい考えだ。

さらに他地域との連携も視野に入れる。小山のイベントを視察した山形や福島、横須賀などとの交流を深め、互いのイベントで地域をアピールできるブースや企画なども構想しているという。

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