Googleが自社製品に使ったオープンソースの開発者名を勝手に削除してライセンス表示もしていなかったことが発覚

オープンソースソフトウェアはソースコードを自由に使用・調査・再配布・改変できるソフトウェアであり、現代ではさまざまなソフトウェア製品やツールにオープンソースのコードが含まれています。ところが、Googleがリリースした製品に含まれるオープンソースソフトウェアを開発したスタートアップが、「Googleが勝手にコードからオリジナルの開発者名を削除した」と指摘しました。
I expected better from Google | minitap
アメリカのカリフォルニア州に拠点を置くMinitapは、AIを使ったモバイルアプリのテストサポートツールを開発するスタートアップです。Minitapはかつて、AIエージェントがスマートフォンと確実にやり取りできるかどうかを検証するために、「mobile-use」というAIエージェントをオープンソースで開発しました。
GitHub - minitap-ai/mobile-use: AI agents can now use real Android and iOS apps, just like a human. · GitHub
https://github.com/minitap-ai/mobile-use

mobile-useは自然言語でAndroidやiOSデバイスを制御するAIエージェントであり、Minitapのチームは2026年2月まで開発に取り組んだとのこと。その後、Minitapはmobile-useのより強力なクローズド版の開発に注力しており、クローズド版はMinitapのツールの品質保証を支えているそうです。
そんなある日、Minitapの共同創業者兼CEOを務めるニコラス・デハンドショーヴェアッカー氏は、Googleが「Artemis」というツールをリリースしたことを耳にしました。Artemisは、自然言語による指示でAIエージェントがAndroidデバイスを操作できるようにする自動化ツールです。
Artemisのリポジトリを開いたデハンドショーヴェアッカー氏は、ArtemisがAndroidデバイスに接続するためのコードの一部が、Minitapが開発したmobile-useの実装と完全に一致していることを発見。さらにコードだけでなく、ツールに含まれている「Hopper」というエージェントの名前や説明も一言一句違わなかったと指摘しています。
以下が、デハンドショーヴェアッカー氏が例示したArtemisのコードの一部。

デハンドショーヴェアッカー氏が示したmobile-useのコードがこれ。クリーム色になっている部分を見比べると、確かにArtemisのコードに流用されていることがわかります。

Artemisに含まれているエージェント・Hopperの説明文が以下。

mobile-useに含まれているHopperの説明分は、Artemisに含まれるものとまったく同一です。

さらに、mobile-useのリポジトリでWhatsApp内にエージェントを保持する例として挙げた「アリス、ボブ、チャーリーに新年のあいさつメッセージを送る」というタスクは、Artemisのリポジトリでもまったく同じコメントとクリーンアップ手順で説明されていたとのこと。
デハンドショーヴェアッカー氏がArtemisの以前のパッケージファイルを調べたところ、しっかり「Pierre-Louis Favreau」「Jean-Pierre Lo」「Nicolas Dehandschoewercker」という3人の開発者名が記されていました。

ところがそれを置き換えた新たなバージョンでは3人の名前が削除され、別の開発者に書き換えられていたことが判明。

また、デハンドショーヴェアッカー氏が調査した時点では、READMEのライセンス欄にもmobile-useに関する記述がありませんでした。

デハンドショーヴェアッカー氏は、オープンソースソフトウェアを利用した場合に帰属を表示することは確立されたエンジニアリング慣行だと主張。また、mobile-useではApache 2.0ライセンスによって再配布時の著作権表示および帰属表示の保持、そして変更点の特定が義務づけられています。
利用したオープンソースソフトウェアの帰属を表示することは、後からプロジェクトに関わる人が元のメンテナを見つけたり、設計上の重要事項を理解したり、バグを報告したりするのに役立ちます。帰属表示が消されると、オープンソースソフトウェアとの関係性がわからなくなるだけでなく、オープンソースの開発者が意欲を失ってしまう可能性もあります。
デハンドショーヴェアッカー氏は、「オープンソースコミュニティの現状に失望しています。彼らはもっと良い扱いを受けるべきです。人々は、他の人がそこから学び、発展させられるように、自分の成果を公開しているのです。その成果を生み出した人々やプロジェクトは、今後も注目されるべきです」と主張しました。
なお、記事作成時点ではArtemisのREADMEのライセンス欄に、「このプロジェクトはMinitapが開発したソースコードを含みます」というコメントが記載されています。
