新型「パジェロ」が注目を浴びる理由

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新型「パジェロ」が注目される理由とは?

 三菱自動車工業が2026年5月末に行った新中長期ビジョンで正式に復活が宣言された「新型パジェロ」のワールドプレミアが、2026年9月2日に東京にて開催されました。
 
 新型パジェロの世界初披露とあって、会場には日本だけでなく、パジェロが活躍するタイ、オーストラリア、ベトナム、メキシコ、ウルグアイからもメディアを招待。さらに会場前には新型パジェロの登坂性能を示すデモランも実施されるなど、大々的なイベントとなりました。
 
 なぜ復活のパジェロが多くの人たちから注目されているのか、その秘密に迫ります。

 最初に、少しパジェロの歴史を紐解いてみましょう。

【画像】超カッコイイ! これが三菱「新型パジェロ」です! 画像で見る(30枚以上)

 初代モデルは1982年に登場し、「ジープ」のような高い悪路走破性を受け継ぎつつ、オンロードの走行性能と快適な乗用性能を兼ね備えたオールラウンダーな四輪駆動車として誕生しました。多彩な仕様が展開され、日本のSUVの原点といえる存在でした。

 爆発的なヒットとなったのはバブル真っ只中の1991年に登場した2代目で、歴代モデルで最もバリエーションも豊かで、車両の進化が加速したモデル。まさに近代パジェロの源流といえます。

 その象徴が、シリーズ初のフルタイム4WD「スーパーセレクト4WD」の採用でした。使い勝手の高まったパジェロはレジャー愛好家やファミリー層、都会派のユーザーまで幅広く愛用されることになりました。

 またダカールラリー(旧:パリ・ダカールラリー)参戦のホモロゲモデル「パジェロエボリューション」では、シリーズ初の4輪独立懸架を採用したのも大きな話題に。

 1999年登場の3代目では、新たな挑戦としてビルトインラダーフレームのモノコックボディに進化させ、軽量化とボディの強化を両立。さらにエボリューションに先行投入した独立懸架を採用し、4WDシステムも「スーパーセレクト4WD-II」に進化。オンロードを含む走行性能と乗用性能にも磨きが掛けられました。

 そして先代となる4代目は2006年に登場。3代目の魅力を全面的にアップデートしたモデルであり、特徴であるビルトインラダーフレームのモノコックボディの強化や軽量化のためのアルミ製ボンネットの採用、スーパーセレクト4WD-IIの進化が図られました。

 当初はガソリンエンジンだけでしたが、後にクリーン化を図ることで、ディーゼルエンジンも復活させています。

 しかし残念ながら、国産SUVではスズキ「ジムニー」シリーズ以外で唯一だった3ドアのショートボディの国内向け製造が2018年2月に終了。さらに主力の5ドアロングボディに関しても、翌年となる2019年7月、国内向けモデルを9月の生産終了することを発表。

 海外向けについてはしばらく継続生産が行われていましたが、それも2021年7月をもって終了し、パジェロの歴史に幕が閉じられました。

 しかし、パジェロシリーズとしては弟分となる「パジェロスポーツ」が、今日まで継続生産されており、その伝統が受け継がれてきました。

 以前からも、ファンやクロカン好きからはパジェロの復活に期待する声があり、特に2023年末に日本再導入が発表されたピックアップトラック「トライトン」に試乗し、その進化に驚いた人も多く、彼らの想いは募るばかりでした。

復活した新型パジェロはかつての「スーパーエクシード級」モデル

 国内で7年ぶりの復活を果たす新型パジェロが注目される理由は、その基本構造も大きな要因でしょう。

 3代目以降のパジェロは、近代クロカンとしての着実な進歩を果たしてきましたが、その一方でコアなファンからはクロカンの伝統的構造が失われたことを惜しむ声も聞かれました。そのひとつがラダーフレームです。

 厳しい悪路走破を支えるラダーフレームへの信頼は高く、クロカンファンにはその点を重視する人も少なくありません。

 ただ、誤解しては欲しくないのは、現在のビルトインラダーフレームのモノコックボディ車もラダーフレーム車に負けない性能を有しており、英国ランドローバーのクロカン「ディフェンダー」は、現行モデルでモノコックボディを採用しています。

 今回のラダーフレームの採用には、三菱にはラダーフレームがマストとなるトライトンがあるため、最新のラダーフレームと生産可能な工場を有していたことが大きいでしょう。

 実際に、ダカールラリーでの輝かしい結果を残した世界的な“ラリースト”である三菱自動車工業の増岡 浩さんも、「三菱自動車の最新ラダーフレームは、技術の進歩により、ビルトインラダーフレームのモノコックボディと比べ手も優位性がある」と話します。

 もちろん新型パジェロではトライントンのラダーフレームに改良を加え、パジェロ用へと磨き上げを行っていますのでご安心を。これにより足回りも、後輪リジットサスペンションが復活。

 リジットサスは、片輪が浮いた場合でも反対側のタイヤの設置性が高まるメリットに加え、構造がシンプルでメンテナンス性に優れる点も挙げられます。

 もちろん、リアサスもトライトンと共通ではなく、乗用性能を考慮した新開発の5リンク式が採用されています。

パジェロファンを沸かせるつくりこみに

 パワーユニットも、クロカンファンに人気が高いディーゼルエンジンを搭載。三菱自慢の最新2.4リッター直列4気筒クリーンディーゼルターボを搭載。なんと、こちらも専用開発を行い、ターボチャージャーをシングルのVGタイプに変更。

 タイ仕様のスペックでは、最高出力204ps/3500rpm、最大トルク480Nm/1750~2500rpmとされ、トライトンよりもトルクが10Nm強化されていますが、数字よりも注目すべきはターボチャージャーによる効果です。

 トライトンの大小の異なるターボユニットを組み合わせた「2ステージターボチャージャー」に対して、シングル化しただけでなく、可変ノズルを持つ「VGターボ」を採用している点です。これによりシングルでも、幅広い回転数領域でターボチャージャーの強みを活かせ、レスポンスにも優れています。

 トランスミッションもトライトンのものとは異なる新開発の8速ATで、伝統のスーパーセレクト4WD-IIも車両運動統合制御システム「S-AWC」を組み合わせ、性能を磨き上げています。さらにドライブモードも、7モードまで拡大されています。

 そしてファンの心を掴んだのが、「3連メーター」の復活でしょう。かつては、油圧計、電圧計、車両傾斜計の3点でしたが、デジタル化により、高度計、方位計、温度計、車体の前後左右の傾き、AYC制御量など多彩な表示を可能とし、ドライバーをサポート。

 さらに新たな先進機能として「3Dマルチアラウンドモニター」を搭載することで、悪路やタイトな道での運転をサポートしてくれます。クロカンらしい機能も現代化してしっかりとおさえているのです。

 三菱のフラッグシップモデルとなるだけに、上質な空間に仕上げるだけでなく、遮音ガラスを用いた高い静粛性や広く快適なシートレイアウト、心地よいサウンドで移動時間を楽しませてくれるプレミアムオーディオシステム「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」など快適性にも磨きが掛けられています。

 まさにパジェロに相応しい基本性能を有するだけでなく、三菱のフラッグシップモデルに相応しい最新機能も満載されています。

 これはバブル期に人気だったパジェロの最上級グレード「スーパーエクシード」を彷彿させます。かつてパジェロを所有していた人や思い出を持つ人には、理想的な一台といえそうです。

 新型パジェロは10月1日より予約を開始。詳細な仕様やグレード構成などは明かされていませんが、既に販売店に対するセールストレーニングも終えているとのことなので、購入検討者は、店頭に赴くことをお勧めしたいと思います。