自己資金を大きく用意せず、条件をクリアすれば報酬を得られる--。近年、日本でも徐々に知られるようになってきた「個人向けプロップファーム」。一見すると、「少ない資金で大きく稼ぐための仕組み」にも見える。

 プロップファーム「Fintokei」で金融教育アドバイザーを務める川口一晃氏は、長年にわたり投資教育やマーケット分析に携わり、ファンドマネージャーとしての運用経験も持つ。そんな川口氏は、プロップトレードについて「“稼ぐ”という部分だけが伝わってしまうと少し違う」と語る。

 では、通常のFXやCFDとは何が違うのか。なぜデモ環境でのトレード結果に対して報酬が支払われるのか。全3回の第1回では、プロップトレードの仕組みと、本来の向き合い方について聞いた。


FX・CFDとの最大の違いは「明確なルール」


 通常、自分のお金でFXやCFDをする場合、どれだけリスクを取るのか、何回取引するのか、どこまで損失を許容するのかは、基本的に自分自身の判断に委ねられます。


 「ここはチャンスだ」と思えば思い切ったトレードもできます。それは自己資金で投資する魅力の1つです。


 一方で難しいのは、自分がやっているトレードが本当に正しいのかを客観的に判断することです。


 一度大きく勝ったとしても、その手法がずっと通用するとは限りません。反対に一時的に負けたからといって、やり方そのものが間違っているとも限らない。


 自分だけで自由に取引していると、その判断は非常に難しいんです。プロップトレードとの大きな違いは、そこに明確なルールや評価基準があることです。


 損失についても上限が決められている。その中でトレードすることで、自分の手法やリスク管理がどこまで相場で通用するのかを確認できます。


 ある意味、自分のトレードスタイルを客観的に評価できる環境だと思います。



自己資金を直接失うリスクとは性質が違う


 もう一つ大きいのは、自己資金で取引する場合との違いです。


 普通のFXなら、自分のお金を入れて取引しますから、損失が出れば当然、自分の資産が減ります。


 一方、Fintokeiのようなプロップファームでは、実際の取引資金を自分で用意して運用するわけではありません。参加料を支払い、デモ口座で取引するため、自己資金を入れて大きな損失を被るのとはリスクの性質が異なります。そのため、基本的に参加者が負う金銭的な損失は参加料の範囲に限られます。


 ただし、「自分のお金ではないから気軽に取引していい」ということではありません。


 むしろ、決められたルールの中で、自分がどこまでリスクを管理できるのか、自分のトレード手法がどこまで通用するのかを確認しながら経験を積んでいく。


 そういう意味では、私はプロップトレードを「トレードを練習する環境」の一つだと考えています。



なぜデモ取引なのに報酬が出るのか


 「実際のお金を運用していないのであれば、なぜ成果に対して報酬が出るのか」と疑問に思う人もいるでしょう。


 Fintokeiの場合、私はこれは「データ提供料」という考え方だと認識しています。一定のルールに従って取引し、継続して成果を出す。


 その人がどういう手法を使い、どういう考えで取引しているのか。そうしたトレードデータに価値があるということです。


 「会社から何千万円という資金を預かって、それを運用して利益を分けてもらう」というイメージとは少し違います。


 トレーダーの取引データが評価され、その提供に対する対価として報酬を受け取る。この点は、参加する前に理解しておいた方がいいと思います。