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-[その判決に異議あり!]-

名古屋地裁は6月、女子児童を盗撮した画像を交流サイトのグループチャットで共有したなどとして、名古屋市立小学校の元教諭に懲役3年6月の実刑判決を言い渡した。生成AIで加工した画像の所持も児童買春・ポルノ禁止法違反と認定した初のケース。
“白ブリーフ判事”こと元裁判官の岡口基一氏は、「児童ポルノディープフェイク事件訴訟」について独自の見解を述べる(以下、岡口氏の寄稿)。

◆司法はテクノロジーの劇的進化に、まったく追いついていない!

 テクノロジーは日進月歩で華々しい進化を遂げている。一方で、新たなテクノロジーが登場するたび、それを悪用する者も後を絶たない。だから捜査機関は、新しいタイプの犯罪が起きると、早急に封じ込めようと「見せしめ」の意味で素早く検挙に動く。

 ただ、新たなテクノロジーを使った犯罪は、どういった部分が法に抵触するか十分に議論が尽くされていないことも多い。そのため捜査機関は、時に見切り発車的に“暴走”してしまうことがある。

 例えば、かつて映画にもなった「Winny事件」がそうだ。ファイル共有ソフトという当時は聞き慣れない仕組みが、クリエイターの著作権を侵害しているとして開発者が逮捕起訴された。本来なら、Winnyに使われたP2P技術を徹底的に解析する必要があったが、捜査機関も、そして裁判官も理解するには及ばなかったのだ。その結果、地裁・高裁はこの開発者を有罪としてしまい、最高裁で逆転無罪になるまでに、実に7年という長い年月を要した。

 今回取り上げる事件は児童ポルノの所持等に係る刑事事件だが、これはAIの劇的な進化がもたらした負の側面と言えよう。すでにAIを使った児童ポルノの生成は大きな社会問題になっているものの、難しいのは現行法で禁止されているのが18歳未満の実在する男女(児童)のわいせつな写真を所持等すること、と定義付けされている点だ。

 条文上、所持等が禁止されるのは「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう)が露出され又は強調されているもの」だ。そしてここでいう「児童」とは、実在する児童を指す。

 しかも対象は、写真と動画に限られており、絵画は含まれない。どんなに精巧な手描きでも、絵であれば処罰されないのだ。では、顔だけ実在児童の写真で、体は本物そっくりの絵ならどうか。これも、体はその児童の姿態ではなく、性的な部位が露出しているわけでもないから、所持は禁止されない。