映画館が「昼寝サービス」、ホテルのライバルに-中国メディア
中国のニュースサイト・観察者網に9日、中国で映画館がホテルのライバルになりつつあるとの記事が掲載された。
記事によると、陝西省西安市のシネマコンプレックスでは近隣の会社員を対象に、平日の昼12時から午後2時半まで映画館の劇場で昼寝ができるサービスを提供している。料金は1人月額39.9元(約910円)、2人だと59.9元(約1300円)。専用の2つの劇場には計76席があり、照明を暗くした上で、リクライニングできる革張りの座席を利用できる。無料の充電設備のほか、コーヒーなども用意されている。アイマスクや耳栓は5.9元(約130円)で購入できる。女性は完全に横になれる休憩室もあり、男性はマッサージチェアのある劇場を利用することが多いという。
記事によると、このサービスは2025年春に始まったが、最近になってSNSで注目を集めた。2つの劇場は平均して5割以上の利用率があり、3カ月連続で更新している会社員もいる。一方、満席になっても月の収入は約2000元(約4万5000円)程度にとどまり、映画館は現時点で「昼寝サービス」の劇場を増やす予定はないという。
西安市での人気を受け、山東省済南市や河南省鄭州市の映画館でも同様のサービスを開始した。SNSでは「近所の映画館もやってほしい」との好評がある一方、「同じ劇場で大勢が寝るのは嫌」「座席の衛生面が心配」「座って寝るよりベッドで横になる方が快適」といった否定的な意見も出ている。
映画館が昼寝サービスに乗り出した背景には、映画市場の低迷がある。中国国家電影局によると、2026年上半期の映画興行収入は173億5400万元(約4000億円)で、前年同期比で40.6%減少した。一方、2025年末の全国の映画館チェーンの劇場数は9万3187に達し、前年から2219増えた。観客が減る中で劇場の数が増え、平日の昼間には空席が目立つため、映画館側は映画以外の用途を模索している。
映画館の昼寝サービスはホテルにとっても無視できない動きだ。一時的な休憩サービスを提供するホテルもあるが、ホテルは客室単位で提供するため、清掃や寝具交換などのコストもかかる。39.9元という料金ではホテルが対抗するのは難しい。昼間はチェックアウト後の清掃とチェックインの準備が集中する時間帯でもある。
一方で、昼寝の需要そのものは増えているという。映画館のほか、マッサージ店、理髪店なども短時間の休憩サービスを提供している。
記事は、「ホテル側にとって重要なのは、映画館と低価格で競争することではなく、睡眠需要を客室以外でも取り込むこと」と指摘。「小規模な会議室を昼休み用の休憩スペースに改装したり、高級ホテルならジムやSPA、健康的な食事と組み合わせたりする方法が考えられる。近隣企業と提携して従業員向けの昼休みプランを提供することも可能だ」と提案した。
そして、「映画館の昼寝サービスの人気が示しているのは、これまでホテルの宿泊料金に含まれていた『睡眠』というサービスは、より短い時間と小さな空間に分けて販売することが可能ということだ」とし、「ホテルが睡眠を客室だけに限定し続ければ、競争相手は今後さらに増えていくことになる」と結んだ。(翻訳・編集/北田)

