玉城デニー知事(写真:時事通信)

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9月13日に投開票を迎える沖縄県知事選。いよいよ終盤に入ったが、各紙の報道では、現職の玉城デニー沖縄県知事(66)と自民党など複数政党から公認を得ている古謝玄太氏(42)の一騎打ちとなりつつある。

「2人の戦いは拮抗しており、SNS上では支持者による激烈なバトルが繰り広げられています。なかには誹謗中傷としか言えないような投稿も数多いですね。生成AIを使った動画などもたくさん流れ、問題視されています。X上では玉城デニー氏がロードローラーに轢かれる動画などが確認できます」(政治部記者)

近年問題視されるようになったSNSと選挙の関係性。実際、中傷動画が県知事選に影響を与えることはありうるのだろうか。ノンフィクションライターの石戸諭氏はこう語る。

「中傷するような動画、誹謗中傷にあたりかねない動画が流布しているのは事実ですが、SNS等での動画制作を直接規制できるのかと言えば、現状はかなり難しいのではないでしょうか。

高市早苗首相の総裁選での中傷動画のときにも話題になりました。高市さんが動画を作ったとされている松井健氏に指示したという明らかな証拠は確認されていませんでしたが、仮に確認されたとしても、それはダメだという法的な規制は今はないのです」(石戸氏・以下同)

こうした動画がネット上で問題になることが、実際の選挙戦に影響するのだろうか。石戸氏は「しないでしょう」と言い切る。

「選挙で、投票先を動画を見て決める人はごくわずかだろうと考えています。米国でフェイク動画が問題になったことがありましたが、あれは“なりすまし” です。例えばオバマ大統領が言ってもないことを言っていると誤認させるとか。玉城デニーさんのなりすましAIが存在して、主張してない内容を語っていれば話は別ですが、わかりやすい誹謗中傷動画はあまり影響しないと思います」

動画の性質上、有権者の投票行動を劇的に変えるものではないと同氏は分析する。

「大前提として、選挙のときにこういう品のない動画を作るべきではないです。非難に値します。しかし、問題は玉城知事に決めている、古謝さんに決めているという人が、中傷動画を見て『やっぱり変えよう』と思ったことがあるのかないのか。『私はこうした動画に影響を受けて投票する!』と断言する人はすごく少ないんじゃないかと思うんです。『私』が影響を受けないものは、他の人も影響を受けないと考えていいです。『私』は特別な存在ではありません。強いて問題点をあげるとすると、現職である玉城知事に対するなんとなくの不信感が増幅するといったことでしょう」

動画の強烈さは話題になりやすいが、実際の選挙情勢はどのような局面を迎えているのか。

「古謝さんが優勢という見方が強まってきました。情勢調査はかなり正確です。それを見ていると古謝さんに風が吹きつつあるのかなという気はしています。各社の情勢調査を見ていくと、今回の傾向がはっきりとわかってきます」

選挙戦の争点が、過去の知事選から大きく変化しているという。

「基地問題を重点政策にあげる人の割合が、2018年、玉城知事初当選のころと比べてかなり減っているんです。40%ぐらいから15%まで減ったというデータもあります。他方、経済活性化だと答える人たちが増えている。経済政策が大事だと思っている人たちは、古謝さんを支持する傾向が高いのも見て取れますし、8年前は割れていた沖縄財界も今回は総力を上げて古謝さん支持です。基地問題を重視する岩盤支持層を玉城知事は抱えているわけですが、そもそも基地問題を大事だと思っている絶対数が減っているの。この影響で現職の伸びがいまいちになっているのだと思います」

玉城陣営がこの流れを巻き返すのは容易ではないと同氏は予測する。

「玉城知事陣営が巻き返すには、自身の実績ベースで経済を語るという方向なんでしょうが、これはジレンマです。経済政策を語れば語るほど、国とのパイプはどっちが太いのかという話になります。すると、自民党から公認を受けている古謝さんになってしまう。若年層の、とくに経済が大事だと思っている人たちを取り返せるかというところでいうと、なかなか難しいのではないでしょうか。現職陣営に当然、焦りはあるでしょう」

はたして県民はどんな選択をするのか--。