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少ないモデルに集中投資

フォルクスワーゲン・グループが、同社史上最大規模の事業再編計画を発表した。製品ラインナップを半減し、約5万人の人員削減を行い、最大4つの工場を閉鎖する。また、2029年までにスペイン車ブランドの『セアト』を廃止する可能性もある。

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この「将来計画2030(Future Plan 2030)」には、開発および生産業務の抜本的な改革や、投資の大幅な削減が盛り込まれている。今回、株主や労働組合代表を含む20名のメンバーで構成されるグループ監査役会によって満場一致で承認された。


フォルクスワーゲン・グループが経営再建のための大規模な改革に乗り出した。

フォルクスワーゲンはこの計画を、同社の歴史上「最も戦略的に意義深い改革プログラム」と表現している。

改革の中心となるのは、広範な製品ラインナップの見直しだ。2035年までに、10ブランド全体で展開するモデル数を約50%削減する計画である。少ないモデルに投資を集中させ、それぞれの生産台数を増やすことで、コスト削減とスケールメリットの拡大につながるという。

フォルクスワーゲン・グループの各ブランド間で、現在よりもプラットフォーム、電子アーキテクチャー、ソフトウェア、部品の共有をさらに進めることを目的としている。

これは、過去数十年にわたり同社が追求してきた拡大戦略からの大幅な転換となる。これまでは世界各地のあらゆるセグメントをカバーするためにモデル数を増やしてきたが、今後は収益性の高いモデルや市場セグメントに投資を集中させることになる。

ブランド/モデルの統廃合を実施

事業再編に関する公式声明では明言されていないが、セアトブランドは廃止される可能性が高い。セアトは76年の歴史を持つスペインの代表的な自動車ブランドだが、その派生ブランドである『クプラ』に販売台数で追い抜かれており、存続が危ぶまれていた。

フォルクスワーゲン・グループは、他にどのブランドやモデルが廃止されるかについてはまだ明らかにしていないが、ラインナップを50%削減するということは、今後10年間で大幅な統廃合が行われることを示唆している。


スペイン車ブランドのセアトは廃止となる可能性が高い。

車両の内部構造にも影響が及ぶ。今後のEV開発においては、主要な電気・電子アーキテクチャーを「ソフトウェア定義車両(SDV)」アーキテクチャーと「中国電子アーキテクチャー(CEA)」の2つに統合する方針だ。欧州および北米向けの内燃機関車については、別のアーキテクチャーが計画されている。

今後導入予定のSSPプラットフォームも簡素化される。計画されていた8つのバリエーションが4つに削減され、各バリエーション間の部品共有が拡大される。モデルと基本構造を減らすことで、開発コストを削減したい考えだ。

追加で約5万人の人員削減へ

技術開発にもメスが入り、複数のブランドで使用されるシステムの開発について、主力ブランドにより大きな責任が委ねられることになる。この「ワン・フォー・オール」のアプローチにより、技術開発の重複を減らし、開発期間の短縮を目指す。同時に、AIの活用を拡大し、技術開発業務の規模を縮小する。

グループのソフトウェア子会社であるカリアドも再編の対象となり、その責任範囲は大幅に縮小される。AUTOCARが入手した内部情報によると、2026年末までに詳しい計画が示される予定だ。


フォルクスワーゲン・ゴルフGTI

こうした削減の一方で、グループは今後数年間、新製品、技術、将来の成長分野に大規模投資を行うとしている。新たな目標は、2027年から2031年にかけて研究開発費として1350億ユーロ(約24兆5000億円)を投資することだ。

しかし、これは以前の計画に比べて大幅な削減となる。今後5年間で以前の投資および研究開発費から約500億ユーロ(約9兆円)を削減する予定だ。

既存の製品群全体に開発リソースを分散させるのではなく、より少ない製品に投資を集中させる狙いだ。この見直しに伴い、従業員数もさらに削減される見込みである。既存の削減計画に加え、管理職を含め、世界全体で約5万人の雇用が削減されると予想されている。グループは現在、世界中で約66万3000人を雇用し、111か所の生産拠点を運営している。

存続が危ぶまれる4つの工場

経営体制も再編が進められる。新たな業績評価・ボーナス制度の導入と併せて、よりスリムな管理構造の導入と意思決定プロセスの短縮化を目指す。

また、グループは欧州において年間50万台分以上の余剰生産能力があることも認めている。その結果、ドイツ国内のエムデン、ツヴィッカウ、ハノーファーの各工場、およびアウディのネッカーズルム工場の将来性は不透明になっている。


ドイツ国内の4工場は閉鎖の可能性が示唆されている。

現時点では、エムデンとツヴィッカウについては2031年以降、ハノーバーは2032年以降、ネッカーズルムは2034年以降、生産の割り当てを確保できないとしている。ただし、これら4工場の閉鎖はまだ確定していない。

フォルクスワーゲング・ループは2027年6月末までに新たな欧州生産体制を構築すると表明しており、これら4工場については、兵器や軍用車両の生産など代替用途も検討されている。

内部情報によると、生産コストを十分に削減できれば、これらの工場でも生産を継続できる可能性があるようだ。

これは、ドイツ国内の産業基盤に対するアプローチの大きな転換を意味する。将来の生産割り当ては、個々の工場のコスト競争力にますます依存することになる。

中国をグローバルな生産拠点に

中国もまた、グローバル戦略において異なる役割を担いつつある。フォルクスワーゲン・グループは中国を単に巨大市場として捉えるのではなく、技術開発・生産拠点に活用する意向であり、これにより中国生産モデルが欧州で販売される可能性がある。

同社は、中国市場全体の成長に対する期待値の低下に対応しつつ、「グローバル・サウス」地域への輸出を拡大していくと述べている。


中国向けに開発されたID. UNYX 09

2030年までに中国で生産したモデルを年間25万~30万台、東南アジア、オセアニア、中東、アフリカ、南米などの市場へ輸出することを目標としている。この計画により、同年までに年間15億ユーロ(約2700億円)以上の追加収益を見込む。

一方、北米事業では、SUVやピックアップトラック、『スカウト』ブランドの耐久性の高いモデルなど、絶対的な利益が大きい市場セグメントに注力する方針だ。

販売台数目標は年間900万台

将来の事業規模に関する見通しは保守的だ。グループはパンデミック前に達成した販売台数への回復に頼るのではなく、2030年までに年間900万台の販売を目指している。しかしながら、財務面での目標ははるかに高い。同年までに営業利益率9%を達成したいと考えており、これは営業利益で約310億ユーロ(約5兆6000億円)に相当する。

参考までに、フォルクスワーゲン・グループは2025年に900万台を販売し、売上高3219億ユーロ(約58兆円)、営業利益89億ユーロ(約1兆6000億円)を計上した。営業利益は前年の191億ユーロ(約3兆4000億円)からの減少となる。


北米向けに展開するスカウトブランド

このことから、「将来計画2030」は、グループをさらに大きくすることよりも、今の規模での生産性を向上させることに重点を置いていると言える。

オリバー・ブルーメCEOは、「全従業員、パートナー、そして世界中の産業関連の雇用に対して責任を負っています。今後数年間で、当社は数千億ユーロ規模の資金を投じ、象徴的なブランドをさらに魅力的で、強靭で、競争力のあるものにしていきます」と述べた。