欲しいMacBook Proは88万円。「購入して所有」が正しいのか、考え直した方がいいかもしれない
9月9日(日本時間10日午前2時)、Appleは新製品発表イベント「Surprise and shine.」を開催します。「iPhone 18 Pro」「iPhone 18 Pro Max」に加えて、Apple初の折りたたみiPhoneの登場が有力視されています。前回の記事でも書いたように、他社の折りたたみスマートフォンの価格帯を見れば、30万円前後になっても不思議ではありません。

その少し前、8月25日には、M6を搭載した新しい「Mac mini」と、M5 Max/M5 Ultraを搭載した新しい「Mac Studio」が発表されました。発売はどちらも9月22日です。
Mac miniはM6モデルが149,800円~(税込、以下同)、M5 Proモデルが299,800円~。Mac StudioはM5 Maxモデルが419,800円~、M5 Ultraモデルは949,800円~です。どちらも大規模なAIモデルをローカルで動かすことを前面に打ち出した、AI向けの色が強い製品です。
気になるのは、Macへの入口でもあるMac miniです。M4搭載モデルは2024年11月の発売時、16GBメモリー・256GBストレージの最小構成が94,800円でした。6月25日の価格改定で、同じ構成が134,800円に。そして今回のM6モデルでは149,800円です。
構成をそろえて比べると、1年10か月ほどで55,000円、率にして約58%の値上がりになります。AI性能の大幅な向上を考えれば理屈はわかります。それでも「手軽なMac」の入口が15万円になったという事実は重い。
5年目のMacBook Proと、88万円の見積もり
私自身の話をすると、2021年にM1 Maxを搭載した14インチMacBook Proを買いました。64GBメモリー・2TB SSDで475,800円。当時としても、かなり勇気のいる買い物でした。

あれから5年。性能面で困る場面はまだ多くありません。それでも正直、そろそろ買い替えたい気持ちはあります。そこで、現行モデルで、同じ14インチでメモリーとストレージを64GB・2TBにそろえ、M5 Maxを選んでみると879,800円。差額は404,000円です。
世代も性能も大きく違うので、単純には比べられません。それでも、同じメモリーとストレージを選んだMacが約88万円になっているのを見ると、円安やメモリー高騰の影響はここまで大きいのかと思わされショックを受けました。
15万円のMac mini、30万円級になるかもしれない折りたたみiPhone、88万円する自分が欲しいMacBook Pro。そして、いま選べる構成だけでもすべて入れると300万円を超えるMac Studio。こうして数字を並べると、「高いか安いか」よりも前に考えるべきことがある気がしてきます。
そもそも「所有する」という前提を、見直してもいいのではないか。今回あらためてApple製品の買い方を調べていて、いちばん考えさせられたのは、そのことでした。
「所有する」という考え方が変わってきた
これまでの私にとって、製品を買うことは、それを完全に自分のものにすることでした。高いお金を払ったのだから、できるだけ長く持つ。分割払いにしても、最後まで払い終える。それが当たり前だと思っていたのです。

もちろん、一台を長く大切に使うことは、いまでもいちばん有力な選択肢です。気に入ったApple製品を5年、6年と使い続けることには大きな価値がありますし、完全に自分のモノにしたいという気持ちがなくなったわけではありません。
ただ、製品の価格が上がる一方で、分割手数料0%の支払い方法や、下取り、返却を前提にした買い替えプログラムも増えています。そうした仕組みを見ていると、必ずしも「最後まで手元に残すこと」にこだわらなくてもいいのではないか、と思うようになりました。
これは、Apple製品を買わずにすべて借りればいい、という話ではありません。
自分で買っている以上、手元にある間は間違いなく自分のものです。そのうえで、自分に必要な期間だけ使い、まだ価値が残っているうちに手放す。そして、その価値を次の製品へ引き継ぐ。買って終わりではなく、買うこと、使うこと、手放すことを、ひとつのサイクルとして考える。所有そのものが目的ではなく、その時々で使いたい製品を使うための手段に変わってきた。そんな感覚です。
iPhoneは「2年間、使うために払う」
この変化をいちばん実感するのが、iPhoneの買い替えプログラムです。
前回も紹介したように、対象のiPhoneをペイディの36回払いで買うと、24回目の支払いを終えたところで下取りに出して新しいiPhoneへ乗り換えられる。キャリアの返却プログラムと同じ、車の「残クレ」に近い買い方です。
以前の自分なら、買ったものを2年で返すことに抵抗があったかもしれません。ここまで払ったのだから、最後まで自分のものにしたい。返してしまうのは、なんとなく損をしたような気もする。
でも、2年後には新しいモデルへ乗り換えるつもりなら、重要なのは、そのiPhoneを使いたかった2年間、きちんと使えたかどうかです。「自分のものにするために払う」のではなく、「2年間、そのiPhoneを使うために払う」。所有に対する考え方が変わると、同じ仕組みでも見え方は大きく変わります。
米国ではMacにも「リース」という選択肢
一方、日本のApple Storeで販売されるMacには、この「残クレ」的な買い方がありません。Macのペイディ分割払いは最大24回で、途中で返して乗り換える仕組みは用意されていない。Apple公式の買い方に限れば、Macはいまも基本的に「買って、持つ」製品です。

ところが米国では、状況が変わり始めています。Appleは7月28日、「Apple Upgrade」という新しいプログラムを開始しました。分割払いではなく、スウェーデンのあと払い決済サービス「Klarna」が提供するリースです。

iPhoneとApple Watchは12か月または24か月、MacとiPadは24か月または36か月の期間で製品を借ります。終了時には、アップグレード、返却、追加料金を払って保有する、という3つの選択肢があります。Macは月24.99ドルから、iPadは月11.99ドルから。
Mac miniやMacBook Neoなどは対象外で、AppleCare+も別売りです。対象は限られますが、Apple自身がMacやiPadにも「使う期間に対して払う」という選択肢を用意した意味は小さくないと思っています。
日本で利用できるようになるかは、まだわかりません。実現性が高いとも思っていません。それでも、値上げが続くいま、この買い方はひとつの選択肢として欲しいと感じています。
自分の約88万円の見積もりに戻ると、5年使えば年17万円強。動画編集の仕事道具として考えれば、まだ現実的な数字です。日本では、まず「何年使うか」を決め、年あたりのコストで納得できるかを考えて買うことになります。
ただ、もしiPhoneのように36か月のリースを選べるなら、自分の判断は変わるかもしれません。2年ごとに最新のMaxチップへ乗り換え、使い終えたMacは返す。iPhoneで広がりつつある買い方を、Macでも選べるようになるからです。
いましっくりくる買い方は所有とリースのあいだ
一台を壊れるまで使う。2年で返却する。価値が残っているうちに売り、次の製品へ乗り換える。そして米国では、最初から借りることもできる。
「所有するか、借りるか」の二択ではありません。そのあいだには、いくつもの選択肢があります。一台を長く使う人にも、短い周期で乗り換える人にも、それぞれの合理性がある。所有はしているけれど、ずっと持ち続けることを前提にはしない。これが、私がいまいちばんしっくりきている「所有とリースのあいだ」の買い方です。
所有すること自体を否定したいわけではありません。ただ、「買ったのだから、できるだけ長く持たなければならない」と決めつける必要もない。
「買えるかどうか」は、前回でひと通り考えました。今回の問いは、その先にあります。買ったものを、いつまで自分のものにしておくのか。売る選択肢は5年前にもありました。ただ当時は、買うときにそこまで考えてはいなかった。いまは、何年使うのか、いつ手放すのかを、買う前から意識するようになっています。その答えは製品ごとに違っていい。そう思えるようになったこと自体が、値上げの時代に自分が手に入れた、いちばんの変化なのかもしれません。
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