東京・新宿の歌舞伎町で、ビル跡地に献花し手を合わせる植田安子さん=8月31日午後10時ごろ

 44人が死亡した2001年の東京・新宿の歌舞伎町ビル火災は、1日で発生から25年となった。「あの場所で働くことに反対していれば」。当時ビル内にいた娘2人を亡くした植田安子さん(74)が言葉を絞り出す。ずさんな防火管理が明らかになり、対策強化につながったが、大阪・北新地のビル火災など繰り返される悲劇。後悔や自責の念を抱えながら、今年も現場で思いをはせた。

 惨事はテレビのニュースで知った。長女愛子さん=当時(26)、次女彩子さん=当時(22)=が現場ビルの飲食店で勤務していることを知らなかった植田さん。「あのビルに愛ちゃんと彩ちゃんがいる」。次女の友人からの電話で、日常が暗転した。

 彩子さんの携帯を鳴らすと、男性が出た。消防隊員だった。その後、警視庁から2人は4階の窓側で2メートルほど離れた場所で倒れていたと説明された。面倒見が良かった愛子さん、明るい性格の彩子さん。「彩はお姉ちゃんの近くに行こうとしたのかも」。

 ビルは既に取り壊され、当時の面影はない。それでも毎年8月31日に現場に足を運んでいる。