「中国の間接的な圧力」で、台湾唯一の国際発信プラットフォームが存続の危機という事態に

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ナラティブが競い合う世界での台湾に不可欠な「声」

権威主義国家が世界の人々の認識を形成するため、莫大な資金を投入してグローバルなメディア網を構築している今日、台湾唯一の国際向け英語ニュースチャンネル「TaiwanPlus」が、皮肉にも台湾内部の理由から存亡の危機に直面している。

中国寄りの国民党を中心とする野党は、TaiwanPlusへの政府補助金のほぼ全額を削減しようとしている。これは単なる財政支出の精査ではない。政治的偏向に基づく近視眼的な動きであり、北京が台湾海峡をめぐる認知戦や偽情報工作を強化しているまさにその時に、台湾が世界に直接語りかけるための主要なプラットフォームを沈黙させかねないものである。

筆者自身、TaiwanPlusには対面およびオンラインでそれぞれ出演した経験がある。同局は、台湾が国際社会に向けて発信する唯一の本格的な英語ニュースサービスである。中国のCGTN、トルコのTRT、ロシアのRT、パキスタン・テレビカタールのアルジャジーラなど、国家の支援を受けたメディアが積極的に海外での影響力を拡大するなか、TaiwanPlusはインド、米国、フィリピン、カナダ、シンガポールなどの主要な民主主義国で、着実に存在感を築いてきた。

さまざまな制約のもとで運営されていることを考えれば、その成果はなおさら注目に値する。しかし、その実績が評価されるどころか、TaiwanPlusは野党議員から批判の矢面に立たされている。しかも、残念なことに、そうした議員たちは、しばしば中国側の主張に同調する傾向を見せている。

最近の一例は、この問題をよく示している。ある国民党議員は、TaiwanPlusがインドを頻繁に取り上げていることを公然と批判した。しかし、その批判は、インドが世界人口の約7分の1を占める巨大国家であることを理解していない、あるいは認めようとしていないかのようである。

台湾とインドの貿易・経済関係は急速に拡大している。製造業を経済の柱とする台湾にとって、インドは受託生産やサプライチェーンの多角化という観点からも、世界最大級の市場を提供している。

さらに重要なのは、インドが長年にわたり中国から大きな軍事的・外交的圧力を受け続けてきたことである。その結果、中国人民解放軍の資源の一部がインド方面に振り向けられ、台湾だけに集中することを防ぐ要因にもなっている。したがって、台湾とインドの関係を報道することは決して周辺的なテーマではない。戦略的に極めて重要なのである。

井の中の蛙からの脱却に一助

TaiwanPlusが誕生する以前、台湾のメディアが中国語圏以外の国々で持続的な存在感を示すことはほとんどなかった。海外における台湾報道は主として中台関係や台湾海峡の緊張に限定され、台湾国内のメディア――政府の支援を受ける中国語放送局を含め――は、国内政治に過度に集中していた。

その結果、国際社会における台湾のイメージは、「紛争の火種」とでもいうべきステレオタイプなものになりがちだった。TaiwanPlusは、少なくとも一定程度、その状況を変えたと言える。同局は、台湾社会、イノベーション、民主主義、文化などについて、従来の固定観念にとらわれない多様な物語を海外の視聴者に届けてきた。

その結果、海外の報道機関、映像ドキュメンタリー制作者、旅行番組などが台湾を訪れ、先住民族の文化や言語、環境保全への取り組みなど、台湾各地のこれまであまり知られてこなかった側面を取材・紹介する動きにもつながっている。

同様に重要なのが、TaiwanPlusが真の対話のための場を作り出したことである。同局が招いてきた海外の研究者、安全保障・戦略問題の専門家、オピニオンリーダーの数は前例のないものであり、しかも、こうした議論はすべて英語で行われている。数多くの日本人も出演している。

TaiwanPlusの開局以前、台湾のメディアが海外の専門家に組織的かつ継続的に働きかけ、台湾側の専門家と対等な立場で議論する場を定期的に提供することはほとんどなかった。かつての「井の中の蛙」的な発想から脱し、世界の外交・安全保障コミュニティと台湾側の識者が対等な立場で意見を交換できる場が生まれたのである。そこでは、実に多様な見解が提示されている。情報の分断とナラティブをめぐる競争が激化する時代において、このような交流の意義は大きい。

中国が積極的に展開する偽情報工作と認知戦を考えれば、独立した英語の公共メディアはもはや「ぜいたく品」ではない。必要不可欠な存在である。

TaiwanPlusは「盾」であると同時に「手段」でもある。台湾の民主主義、国際的地位、そして台湾の日常の現実について流布される誤ったナラティブに対抗するとともに、主として英語でニュースを受け取る海外の人々に正確な情報を届けている。

インドをはじめインド太平洋地域には、英語の情報源に依存する人々が数億人規模で存在する。ソフトパワーは、政府首脳や外交官によるハイレベル外交だけによって発揮されるものではない。一貫性と信頼性のあるストーリーテリングを積み重ねることによって形成されるものである。TaiwanPlusは、その役割を効率的に果たしている。

もっとも、与党の一部からもTaiwanPlusに対して、視聴者への浸透度、業績評価指標、番組構成、編集方針、さらには公的資金投入に対する成果などについて批判が出ていることは指摘しておく必要がある。これらは正当な問題提起であり、十分に検討されるべきである。

しかし、TaiwanPlusはまだ非常に若い組織である。正式なオンライン開局から5年にも満たず、このように重要な使命を担う組織であれば当然のことながら、自らの方向性を確立し、本来の力を発揮するまでにはなお時間が必要である。この点において、民進党からの批判と国民党からの批判との間には、明確な違いがある。

台湾の国際的活動空間を維持する役割

問題は単なるメディア政策にとどまらない。

TaiwanPlusへの資金供給が断たれ、規模縮小、さらには消滅を余儀なくされれば、台湾は自らの物語を世界に伝えるための主要かつ独立した手段を失うことになる。国内の党派対立に集中する台湾メディアだけが残れば、国際的な情報空間の大部分は事実上、対抗する者のいない状態となる。

「台湾は単なる反逆的な一省にすぎない」「台湾の民主主義は混乱している」「台湾の人々は中国との統一を望んでいる」といった北京のナラティブに対し、有効な反論を提示する機会が減少する。その空白のなかで、台湾の国際的な活動空間はさらに狭まっていくだろう。

台湾海峡の平和と安定に安全保障と繁栄が不可分に結びついている日本にとって、これは決して遠い国の問題ではない。

民主主義諸国のパートナーと効果的に意思疎通を図り、権威主義国家による影響力工作に対抗し、多角的な国際関係を維持できる台湾の存在は、より広範な「自由で開かれたインド太平洋」を強化する。レジリエンスがこれまで以上に重要となっている現在、TaiwanPlusを沈黙させることは、その能力を弱体化させることにほかならない。

台湾の民主主義は、世界に向けて台湾自身の立場から発信できる、専門性を備えた英語公共放送という稀有な資産を生み出した。

党派的な予算政治によってそれを解体させることは、台湾自身を傷つける行為である。

TaiwanPlusは単なるメディア事業ではない。その存続は、情報をめぐる競争がますます激しくなる国際環境において、台湾が「見える存在」であり続け、信頼性を維持し、世界とのつながりを保つことができるかどうかに直結している。

だからこそ、TaiwanPlusを守ることは不可欠なのである。それは台湾のためだけではない。自由で開かれた地域を重視するすべての人々にとって重要なのである。

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