「フレンド(友達)」と「エネミー(敵)」を掛け合わせた造語「フレネミー」。もともとは海外で広まっていた言葉だが、SNSで関連動画が大バズりしたことで日本でも若者の共感を呼び、JC・JK流行語大賞の2026年上半期コトバ部門で1位の「ワホー」に次いで2位にランクインするなど注目を集めている。

【映像】実際にあった「フレネミー」怖すぎる体験談

 ニュース番組『わたしとニュース』では、このフレネミーの実態を調査。専門家の解説を交え、イラストエッセイストの犬山紙子氏とともに深掘りした。

■「友達なのに裏では悪口」若者たちが語るフレネミーの実態

 街の若者たちにフレネミーについて話を聞くと、次のような声が聞かれた。

「友達なのに、遠回しに自分の悪口を言ってくる」(学生10代・Aさん)

「裏ではお互いの悪口を言いまくっているのに、表では『すごい大好き』とか、すごいハグとかしちゃってめっちゃ仲良くしている。でも裏ではめっちゃ蹴落とし合うって感じの関係。(Q.どんな悪口?)『弱者男性キラー』とか。彼氏を奪ったりしているんですよ」(学生10代・Bさん)

「(SNSの)BeRealで事故顔をそのまま確認も取らずにあげちゃうような子は“フレネミー”だと思います。抜けていたり半目だったり口が半開きだったり…」(学生10代・Cさん)

「高校で好きな人ができたのを友達に相談した時に、その友達が私の好きな人とつながって、私と好きな人をつなげないように、めっちゃ私の悪口を好きな人に言っていたのが一番かな」(学生10代・Dさん)

 その他にも、「言われた時間に会場に行ったらまだ開いていなくて、それを友達に伝えたら『長く居られていいね』と言われた」「明らかに合わないメイクを『似合ってる』と勧めてきた」といった声もあった。

■なぜ今「フレネミー」?専門家が語る若者の気質と「ただの敵」との違い

 なぜ今、若者の間でフレネミーという言葉が広がっているのだろうか。

 早稲田大学文学学術院の石田光規教授は、「SNSも関係していると思うが、どちらかというと今の若い人の気質の方が関係している感じがする。基本的に友達関係というのは、『あまり悪いことは言わない』『ケンカはしない』など、なるべく相手のことを立てて、とがったことを言ってしまうとあまりよろしくない事態になってしまう。そのとがった事態をうまく言葉として収めるためには、『フレネミー』なんて言葉が都合がいい」と説明した。

 では、フレネミーな人と見られやすいのはどのようなタイプなのか。「例えば、空気を読まない人間。そういう人たちは少なからずフレネミーと呼ばれてしまう要素は持っていると思う。ある意味、ずけずけ言ってしまう人はフレネミーと見られがち。表面的にはあまり悪口を言わないが、影ではそういうことを言っていたとか」(石田教授、以下同)

 「フレネミー」と「敵」とは何が違うのだろうか。「印象として、フレネミーの場合はライトに使われがち。もうちょっと深刻になると友達じゃなくなってしまう。フレネミーというのは、あくまでもまだ友達の範囲の中に留まっている感じ」。

■「あなたのためを思って」というオブラートに包まれた悪意の正体

 犬山氏は、フレネミーについて「『あなたのためを思って』『友達だから言うよ』と巧みにコーティングして嫌なことを言ってくる感じ。言葉自体は最近聞くようになったが、昔からこういう人は絶対にいたし、自分も昔やってしまったかもしれない。若者の間だけでなく大人にもあるだろう」との見方を示す。

 その厄介さについて、「言われた側が『あれ、私が悪いのかな?』と思わされてしまう。それで距離を置こうとすると、今度は『私が逆にいじめていることになるの?』と悩んでしまう。そう思わせるのもフレネミーの巧みさ」と分析する。

 さらに、この問題は若者の間でより深刻になりやすいと指摘する。「学校という場に行かなければならず、毎日嫌でも会わなきゃいけない。大人なら『この人、無理だ』と思ったらある程度距離を取れるが、子どもはなかなか距離を取るのが難しく深刻化しやすい」。

 また、大人における同様の関係性として「ママ友」を挙げる。「ママ友も『友』とついているが、子どもがクラスでつながっているから変なことはできず、逃げられなかったりする。そこで悩んでいる人の悩みと近いのではないか」とした。

 嫌いなら離れてくれればいいのに、なぜ離れてくれないのか。犬山氏は「自分の心に欠けているものを人を使って埋めようとしているのだろう。こちらをコントロールして満たそうとしているからこそ執着してくるのではないか」との見解を示した。

 これは、相手を少し下げて自分の優越感や承認欲求を満たそうとする「マウント(マウンティング)」や、犬山氏が名付けた「クソバイス」にも通じるという。

 「クソバイスとは、クソみたいなアドバイス。『あなたのためを思ってアドバイスするのよ』という体で、めちゃくちゃ上から目線な持論を押し付ける。例えば『早く結婚しないとまずいよ』『子ども一人だとかわいそうだよ』『女なんだからもっと愛嬌が大事だよ、もっと笑わなきゃ』といったもの」と説明し、友達という殻をかぶった敵意や悪意が、人々を苦しめていると語った。

(『わたしとニュース』より)