国民を駆り出せば政府の投資額は少なくて済む(C)日刊ゲンダイ

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 政府は7月、成長投資を促進するため家計の金融資産に占める株式、投資信託、債務証券の割合を2040年までに40%にする「新金融戦略」を発表した。

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 26年3月末の日本銀行・資金循環統計によると、個人が保有する家計金融資産は2386兆円。このうち株式、投資信託、債務証券は599兆円で25.1%を占める。

 投資のベースとなる株価は26年上期に過去最高値の6万円を突破し、さらに7万円の節目を超えるなど前年末の5万円から4割以上値上げする突出した上昇率で推移した。先週19日の株価は、前日終値6万7460円から2000円超の下落。乱高下の激しい波乱の展開が続いている。経済評論家の荻原博子氏がこう言う。

「乱高下する株価は投資対象として非常に不安定です。AI関連の株価の動きが大きな要因ですが、その象徴がキオクシアHDで、今年の年明け1万円台の株価が6月に10万円を超え、その1カ月後には3万円台に急落している。6月に1000万円で売り抜けた人はいいのですが、高値で買った人は暴落で大きな損を出したことになる」

 そして、こう警鐘を鳴らす。

投資は先が見えません。とくに乱高下する株式市場に一般の人が出ていく必要はありません。先が見えない時は一般の人は投資をやるべきではありません」

 高市政権は成長戦略で強い日本経済には大規模な投資が不可欠として、AIや半導体など17の戦略分野に370兆円を超える官民連携の投資促進方針を示した。家計資産の投資割合を40%に引き上げるため、政府は国民の資産形成の後押しをするという。官民連携の投資に国民の資産が加われば、政府の投資額は少なくて済むことになるのだ。

 国民の金融資産は2386兆円だが、日銀の資金循環統計では26年3月末の民間・公的金融機関の住宅ローン貸し出しは約244兆円。総務省統計局による国民の住宅ローンの平均残高は約1766万円だ(19年全国家計構造調査)。荻原氏は金利上昇が進むなか国民が最優先すべきは住宅ローンの返済だと強調する。

住宅ローンを借りている人の8割は金利変動型です。金利上昇は支払額が増えますが、金利上昇でも5年ルールで5年間支払額は据え置きです。ただ、この間の金利差額は元本に繰り入れられるため結果的に元本が増え支払期間が延びることになります。金利上昇が予想されるいま、投資より少しでも多くの借金返済を優先すべきです」

 金利上昇は個人だけでなく、企業の財政悪化にも懸念が生じる。賃上げも予断を許さなくなり株価への影響も懸念される。

(木野活明/ジャーナリスト)