劣勢の日韓戦で「確かに笑ってましたね」 残り0.2秒で劇的逆転3P…20歳の司令塔が笑ったワケ――女子バスケ日本・田中こころ
三井不動産カップ2026
バスケットボール女子日本代表(世界ランク10位)は14日、東京・有明アリーナで韓国代表(同15位)との強化試合「三井不動産カップ2026」を戦い、78-77で逆転勝利を収めた。田中こころ(ENEOS)がチーム最多タイの18得点。残り14秒から2本の3ポイントシュート(3P)を沈め、劇的な逆転勝利に導いた。20歳のポイントガード(PG)は、緊迫の場面で笑みさえ浮かべる強心臓ぶりを見せた。
最大14点差を一度も覆せぬまま、54-61で迎えた第4クォーター。逆境の中、田中はプレー中にもかかわらず、思わず笑った。
「確かに笑ってましたね(笑)。1点差、2点差、緊迫した状況が自分にとってすごく楽しかったんです。相手とバチバチやり合えている時間がすごく楽しくて、自然と顔に出て笑顔になったのかな」
残り4分48秒。果敢にリング下に切り込むと、ディフェンスの激しい当たりにも負けずにレイアップを沈めて67-67の同点に。さらにアンドワンのフリースローも決め、この日初めてのリードを日本にもたらした。
再び逆転を許すが、田中の時間は続く。残り14秒。ドリブルで相手のバランスが崩れた一瞬のスキを逃さなかった。すぐさま放った3Pがリングを射抜き、75-76。韓国はすさかずタイムアウトを取った。
タイムアウト明け。時間がない日本はファウルゲームに持ち込む。韓国が1本目のフリースローを決め、75-77。2本目は落ち、馬瓜ステファニーがリバウンドを確保する。「自分がやらなきゃいけない。絶対決めたい」。田中はすぐさまボールを受け取りに行くと、あっという間にコートを駆けた。5秒、4秒、3秒……。必死で食らいつく韓国のディフェンスを鮮やかなドリブルとサイドステップで振り切った。
「リングしか見えてない」
迷わず打ち抜いた3P。高い放物線がリングに吸い込まれると、8956人の悲鳴にも似た歓声が有明アリーナ中に響いた。78-77。時計は残り0.2秒を示していた。
司令塔としての強い使命感「勝ち負けは絶対にガードの責任」
「自分でもシュートが入って、鳥肌が立ちました。皆さんの歓声もすごく上がって、これがバスケットの面白さだよな、って実感しました」
会見で浮かべた屈託のない笑みに、ようやく20歳らしい初々しさが滲んだ。
身長173センチのPG。桜花学園高で2021年に全国高校総体(インターハイ)、ウインターカップ優勝を経験し、日本代表では昨年のアジアカップに19歳で出場。準優勝に貢献した。今年4月の米女子プロバスケットボール(WNBA)のドラフト会議で、バルキリーズから3巡目(全体38位)指名を受けたが、ENEOSを通じて「今シーズンはWNBAではプレーせず、ワールドカップとWリーグに集中することになりました」と発表していた。
23分30秒の出場で、18得点、3アシスト。強化試合のMVPに選ばれたが、内容には満足していない。「シュートにつながる前のミスが今日はすごく多かった」。なんとか勝ちを掴んだものの、敗戦まであと少しと追い込まれた。司令塔としての使命感は強い。
「試合の勝ち負けは絶対にガードの責任だと思っているので、ここでこんな終わり方をしちゃダメだなと思いました。大事な時間でミスをしてしまった部分もあったので、そこは本当に責任を負わないといけない。もっともっとパスをさばいて、周りの選手がシュートを打てるチャンスももっとあった。ガードとして修正していきたいと思います」
本番は9月4日にドイツ・ベルリンで始まるFIBAワールドカップ。肝の据わった20歳の若き司令塔が日本を牽引する。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

