くる病や骨軟化などのリスク要因となるビタミンD欠乏 魚を週2回以上食べて買い物程度の外出を推奨する「ビタミンD貯金」提唱 大塚製薬栄養素カレッジで
ビタミンD研究の第一人者とされる⼤阪公⽴⼤学⼤学院⽣活科学研究科の耼原晶⼦(くわばら あきこ)教授は7月30日、都内で開催された大塚製薬栄養素カレッジ主催のメディアセミナーに招かれ、くる病や骨軟化などのリスク要因となるビタミンD欠乏の実態とその対処法を明らかにした。
ビタミンDは日光(紫外線)を浴びて体内で生成されるほか、食事からもとり入れられる。
近年の酷暑化による屋外活動の著しい減少やビタミンDを多く含む魚食から肉食へのシフトなどのライフスタイルの変化により、日本人のビタミンD摂取量は減少傾向にあることからセミナー開催の運びとなった。
日本人の90%以上がビタミンD不足に陥っているというデータもある(参照元:The Journal of Nutrition · Volume 153, Issue4, April 2023, 1253-1264)。

ビタミンDの基本的な役割は、腸管からのカルシウム吸収促進にある。
耼原教授は「腸管からのカルシウム吸収促進が血中カルシウム濃度の低下を抑制する。血中にカルシウムが放出され、それが骨につき骨の形成につながる」と説明する。
ビタミンD欠乏によりリスクが高まる疾患には、胎生期では低体重児の出生、小児期ではくる病、成人期から高齢期にかけては骨軟化症や骨粗鬆症、2型糖尿病、心血管疾患などが挙げられる。
ビタミンDには皮膚バリア機能や免疫機能を調節する働きがあることから、その欠乏により皮膚バリア機能破綻や免疫異常を引き起こしアトピー性皮膚炎の重症化を招く恐れもある。
「ビタミンDは妊婦さんのビタミンD栄養状態が赤ちゃんにも影響し、全てのライフステージにおいてビタミンD栄養状態がさまざまな疾患に関わる」と語る。
ビタミンD栄養状態は、食事や日光曝露(にっこうばくろ)の積み重ねを反映。
血中25(OH)D濃度は、過去のビタミンD摂取・産生の履歴を反映する残高指標となる。
「例えば今日、お魚をたくさん食べた、日光をたくさん浴びたから(ビタミンD栄養状態が改善された)と1日だけで動くものではなく、日々の積み重ねで血中25(OH)D濃度は決まってくる」と指摘する。
近年のビタミンD栄養状態の評価は、20ng/mL(ナノグラム・パー・ミリリットル)未満が欠乏、20ng/mL以上30ng/mL未満が不足、30ng/mL以上が充足と定められている。
ビタミンD栄養状態は血液検査で測定できる。欠乏や不足の自覚症状はなく、手軽に把握できるものとして大塚製薬の情報サイトでは耼原教授監修のビタミンDチェックシートを公開している。
尿で測定する仕組みも完成されつつあるという。
ビタミンD栄養状態を充足させるには、魚を週2回以上食べて買い物程度の外出を推奨する「ビタミンD貯金」を提唱。
日光曝露については「いろいろな外的要因や本人の要因があり、(日光曝露時間の推奨について)何分と言い切れない。皮膚がんリスクとの線引きを考えると、むやみに日光を浴びなくてよく、お買い物にちょっと行く程度の日光を浴びる機会を作ったほうがいい」と述べる。
日光曝露には様々な要因に左右されることから、ビタミンD貯金には食事での摂取のほうが確実とみる。「少量をコツコツ入れることが重要。お魚を週2回以上は食べてほしい。日本人のビタミンD摂取源の約8割が魚介類であり、お魚を食べるか否かでビタミンDの摂取量は非常に大きく左右される」と説明する。
きのこ類からもビタミンDを摂取できるが「きのこ類に含まれるのはビタミンD2で、有効性があるのはお魚に含まれるビタミンD3」とみている。
魚介類の中では、サケを筆頭に、イワシ、カレイ、ウナギなどを薦める。
推奨の調理法については「ビタミンDは油に溶けやすいビタミンのため、油と一緒に調理していただくと吸収が高くなるというのはデータでも証明されている」と語る。
ビタミンDを含む食品は限定的であるため、ヨーグルトや牛乳、菓子類などのビタミンD強化食品や低用量のサプリメントの活用にも重きを置く。
サプリメントの活用については「日光を浴びるような仕事をされている方は、そんなに気にしなくてもいい」との見方を示す。
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