球団オーナーvsプロ野球選手会 史上初「異例」の直接会談に透けて見える“バーター取引”
「本日、私たちは一歩を踏み出しました」
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プロ野球選手会の近藤健介会長(ソフトバンク)が文書でこうコメントした。
28日、12球団オーナー会議の代表者と選手会が東京都内で協議。両者直接会談の場を持つのは史上初とあって、「極めて異例だ」と、各メディアは報じている。
今回は選手会が要望を出して実現し、選手側は各球団の選手会長を始め、30人が出席。オーナー側からは議長のDeNA南場オーナー、巨人山口オーナーらが参加した。
双方が話し合いの席を設けた裏側には、様々な思惑があるという。
「選手会としては、自らの発言力を上げたい。近藤会長は『球界として、何を、どう決めていくのか。意思決定のあり方そのものを変えなければならない』と訴えた。昨年12月の近藤新体制発足時にも、『NPBとの交渉においてもシーズン中やオフを問わず、現役選手が会議に参加できる仕組みづくりを協議していくこととなりました』と発信している。これまで球界における決まりごとの多くは実行委員会を挟む形で行われ、オーナー側まで選手の声が直接届かないケースがあった。『物事が決まってから聞かされる側』から脱却したいのが本音です」(NPB関係者)
オーナー側が直接会談の要望を受け入れた裏には、野球くじに関して選手の協力を仰ぐ必要があった。
「会談直前の7月16日のオーナー会議では過去に2度も頓挫した野球くじの導入を再検討。実現に向けて、選手側から賛同を得たかった。今回はわざわざ巨人の山口オーナーが選手側にレクチャーしたほど。くじの形式が勝敗を予想するものではなく、サッカーのBIGのような機械がランダムにクジを選ぶ『非予想型』であっても、試合を商品にして金銭が動けば、八百長疑惑、誹謗中傷、選手への圧力が増す可能性がある。そんな中、近藤会長が『ベッティングに関しては反対』と明確に線を引いたことで、オーナー側が目指す『非予想型』の導入に一定のお墨付きを得たとみていいでしょう」(同)
野球くじを実現させるためには、スポーツ振興投票法の改正、関係する政令・文部科学省令の改正などの法整備が必要となる。
「仮に選手会が公然と反対すれば、法整備の過程で行う国会審議はもちろん、世論の形成にも影響しかねない。オーナー側には、制度設計の初期から選手会を巻き込み、後から『選手不在』と批判される事態を避けたい。選手会側としても、野球くじによる新たな収益源が確保され、選手の待遇やプレー環境が改善されるに越したことはありません」(同)
今回の会談で具体的な決定事項はないにせよ、お互いの利害をすり合わせるための場だと考えれば、「史上初」の「異例の直接会談」が実現したことにも納得がいく。
