山形放送

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木曜特集です。超小型の人工衛星を宇宙に打ち上げようという取り組みが進められています。山形から宇宙へー。プロジェクトの現状を取材しました。

片手で持てるほどの小さな物体。

「これは超小型人工衛星。これ、空を飛びます」

一辺がわずか10センチ。現在、開発が進められている超小型人工衛星です。宇宙への打ち上げに向けたプロジェクトを山形大学などが進めています。

プロジェクトの中心メンバー「前回よりも構造、重量ともかなりうまく作れるようになった。変形や緩みに対して考察してもらえると」

夢は世代や立場を超えて広がってきています。

山形大学大学院生「旅行でどこ行くとなった時に宇宙が挙がるくらい宇宙旅行が一般的になれば」
企業経営者「宇宙用工具のメーカーに14年後にはなっていたい」
プロジェクトの中心メンバー「山形を〝宇宙県”にしたいという思いを強く思っている」
タイトル「山形発超小型人工衛星プロジェクト」

プロジェクトが発表されたのは去年6月。山形大学の教授らが中心となって立ち上げました。その名も「ベニバナ・サット」プロジェクト。超小型人工衛星を開発し、1号機を2年後の2028年度までに打ち上げることを目指しています。
プロジェクトの中心メンバーで最年長の柴田孝さん(79)。NEC米沢に勤めていたおよそ40年前、当時は画期的だったノートパソコンの開発をけん引しました。その後、山形大学の教授として県内のものづくり企業などの経営支援にも取り組んできました。

「ベニバナ・サット」プロジェクトプロジェクトマネージャー柴田孝さん「広がりは無限大。宇宙は。宇宙と農業、林業をどう組み合わせるかで新しい産業が起きると思う。私としては間もなく80歳になるし、残していきたい、財産として」

JAXA宇宙航空研究開発機構によりますと、超小型衛星は2012年以降の6月末現在、国際宇宙ステーション「きぼう」から381機が宇宙に放出されました。通信実験や技術の実証などを目的に開発が活発化しています。
「ベニバナ・サット」もその1つです。現在、打ち上げの前段階である地上試験に向けて開発が進められています。一辺が10センチの内部に通信機器などを搭載した上で重さを1.33キロ以下に抑えなければなりません。
県内企業も技術を生かして開発に関わっています。

ソアー佐藤伸之 執行役員「ロケットに搭載して宇宙に持っていくのでその振動に耐えうるような設計をしている。元々我々の会社は車載機器をやっていた。そのノウハウを宇宙にも生かそうと」
タムス・ファームウェアー鈴木直志 取締役「ソフトウェア全般の開発を担当している。衛星がどういった状態で飛んでいるか、電池の状態とか、あと宇宙空間なので温度がどのくらい上がっているとか。時系列で分析できる」

寒河江市で精密部品加工などを手がける企業では、衛星の骨格にあたるフレームの製作に挑んでいます。

マイスター伊藤哲也 取締役「アルミのブロックから削り出してこの形を作っていく。薄くなるので材料の変形とか加工した際の精度をきっちり出すのが難しい。こういった難しい加工に挑戦することは意義のあること」

6月、プロジェクトの中心メンバーと開発を担当する企業とのミーティングが開かれました。振動や熱への耐久性などを確認する地上試験が9月に迫っています。

プロジェクトの中心メンバー「振動環境にさらされると斜めに変形する。そうした時にPC104のコネクターに斜めにはがすような力がかかると思う。コネクターが分離すると衛星がひとたまりもなく機能喪失してしまうと思う」

搭載する機器が振動で外れないよう入念に固定することを確認しました。

設計を担当するソアー「この六角を回すことでモジュールを下方向に押しつける。あとはワッシャーとスプリングワッシャーを使えばがたが出るようなことはない」
プロジェクトの中心メンバー「浮き上がりが出ないように押しつけ力がいくらあればいいか管理、設計したほうがいい」

プロジェクトは、山形大学の支援に向けて設立された一般財団法人「森の学校」の寄附講座として実施されています。若者の県内定着につなげたい考えです。

森の学校佐藤広志 理事長「2028年に1号機を上げる。その後も1年に1機を打ち上げて、その1機1機がいろいろな目的を持って打ち上げていけばどんどん裾野も広がる。人口の流出も少なくなると期待している」

プロジェクトの輪を広げようと定期的に開かれている研究会。企業のほか学生の参加も増えてきました。この日は参加者1人1人が「宇宙で実現したい夢」をテーマに発表しました。

山形大学学生「人工衛星からリアルタイムで。クマによる被害が増えているので、リアルタイムの画像をAIによって検知させる」
山形大学大学院生「夢を実現するために一番必要だと思ったのが宇宙エレベーター。ロケットを毎回打ち上げる費用がかからずに済む」
会社員「銀河列車ができたらおもしろい。私の夢、会社の夢はそういった技術に携われたらおもしろい」

プロジェクトの中心メンバーで最年長の柴田さんも熱っぽくこう訴えました。

「ベニバナ・サット」プロジェクトプロジェクトマネージャー柴田孝さん「私の夢は、最後の力を振り絞ってやろうとしているのは、山形を“宇宙県”にしたい。山形大学に宇宙システム工学科を作りたい。僕、自信がある。新しいものを作っていく自信があって絶対負けないと強く思っている」

宇宙、そしてその先の夢へ。小さな人工衛星は多くの人の努力や思いを乗せながら打ち上げに向かって進んでいます。