強豪ドジャースがどのように若手捕手を育てていくのか 近鉄OB佐野慈紀氏の考察「キャッチャーはやっぱりピッチャーに寄り添うことが前提」

ラッシングの成長がチームの求めるピースともなっている(C)Getty Images
野球評論家の佐野慈紀氏が現在の野球界を独自の視点で考察する「シゲキ的球論」。今回は捕手問題が注目を集めているドジャースをクローズアップする。
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最近のチームでは若き捕手、ダルトン・ラッシングを巡る投手との「コンビネーション」がチーム課題となっている。
正捕手のウィル・スミスが首痛のためIL入り、復帰時期が不透明になっている中、大谷翔平の登板試合となった現地24日のツインズ戦では、投球のストライク判定(ABSチャレンジ)を巡って意見が合わないなど、バッテリー間のズレを見せ、不協和音かと話題を呼んだ。
この「バッテリー問題」について、佐野氏は「大谷自身は大したことじゃないと思っているはず」と冷静に受け止める。
2人のバッテリーはスミスの欠場により、ここまで3試合のみとそこまで多く組んでいないことを踏まえつつも、「ラッシングの場合はまだまだ若いですし、いろんなことを経験して吸収していかないといけない」と25歳とまだ若く、成長過程にあると指摘。
ただ、捕手の基本姿勢として「ピッチャーが判定を要求した時に、やっぱり自己判断で要求しないというのは、よっぽど自信がないとやるべきではなかった」ときっぱり。
同試合ではボール判定に対し、大谷がラッシングに「ABSチャレンジ」を要求したが、首を振る場面があったことを踏まえて、今後は投球の判断には慎重に取り組むべきとした。結果として大谷のチャレンジが実り、ストライク判定ともなった。
その上で佐野氏は「キャッチャーはやっぱりピッチャーに寄り添うことが前提」と、自分が前に出るのではなく、あくまでいかに投手に心地よい環境を作ることが大事と説く。
すでにデーブ・ロバーツ監督含めチームをあげてラッシングに育成を促す姿勢も見せているとあって「呼吸が合わなかっただけで、相性が悪いということにはならない」と今後も一歩ずつ進んでいく必要があるとした。
実際、当該のツインズ戦ではサイン違いがあった3回以降は大谷が自らサインを出して、ラッシングを導く場面もあった。
これも大谷がどう投げたいのかをラッシングが理解する素晴らしい学びの機会となった。世界最高峰の舞台で、この教訓を糧にした若き司令塔が日々どのように成長していくのか。目指す世界一3連覇に向け、大事な1ページとなりそうだ。
【さの・しげき】
1968年4月30日生まれ。愛媛県出身。1991年に近鉄バファローズ(当時)に入団。卓越したコントロールを武器に中継ぎ投手の筆頭格として活躍。中継ぎ投手としては初の1億円プレーヤーとなる。近年は糖尿病の影響により右腕を切断。著書「右腕を失った野球人」では様々な思いをつづっている。

