他人のタイピング音や作業音など、無意識のうちに出ている音が周囲のストレスとなる「音ハラスメント(音ハラ)」。この音ハラに関するある調査では、多くの人が他人の様々な作業音を気にしていることがわかった。

【映像】不快に感じる作業音・TOP3

 ニュース番組『わたしとニュース』では、この音ハラをめぐる調査結果や街の声をもとに、弁護士の三輪記子氏とともに深掘りし、音に対する日本特有の文化や心地よく過ごせる環境づくりについて考えた。

■ボールペンのノック音が2位?「音ハラ」対策を意識した商品開発も

 文具ブランドのぺんてるが商品開発に伴って実施した「世代別音ハラスメントの全国意識調査(2021年)」では、「カフェ・コワーキングスペース・図書館などでどのような作業音が気になりますか」と尋ねたところ、1位は「動画や音楽の音漏れ・テレビ会議の音」だった。

 3位には「パソコンのキーボード音」、そして注目すべきは2位の「ボールペン等のノック音」だ。誰もが日常的に使うボールペンの音に対して、意外にも不快に感じている人が多いことが浮き彫りとなった。

 さらに、この調査では「作業音が気になる」という反応だけでなく、「自分がその音を出してしまっているのではないか」と不安を感じる人もいたという。

 こうした音ハラに関する現状について、三輪氏は次のように語る。

「みんなが何に困っているか、気づいていない人もいる。自分の会社にも音ハラを気にしている人がいるのではないかと気づいたり、自分が気にしてきたことが変ではなかったと気づいたりして、少しでもいい職場になっていくのがいい」(三輪氏、以下同)

「いい職場にしていくためのプラクティス(練習)に繋がっていけばいいと思う。『そんなこと気にするな』ではなく、みんなにとってより良い職場を目指しましょうという方向に行けばいい」

■「日本は静かすぎる?」街の声から見えた音への敏感さと寛容さ

 一方で、番組が行った街頭インタビューでは、日本人の音に対する捉え方について、別の視点からの意見も寄せられた。

「海外と比べると、日本は街も学校も人間も静か。静かであることが美徳という文化もある。音ハラは日本独特のものかもしれない」(40代女性)

「日本の会社は静かすぎて作業に集中できなくなる時がある。生まれ育ったブラジルは職場も賑やかだった。日本は周りに迷惑をかけたくないと思いすぎて、逆に音に敏感になっているのでは」(40代男性)

 こうした意見に対し、三輪氏も深く頷きながら次のように語る。

「確かにその通りだと思う。例えば電車の中で友達といても、ひそひそ話すなど気を使っている。大声で話さない限りは話してもいいはずだ。新幹線で賑やかにされている方や、子どもの泣き声がうるさいと言う人もいる。ライフステージや状況によって音の出方も変わるので、『そういう人もいるよね』と思えればいいと思う」

 誰もが無自覚に音を出してしまう可能性があるからこそ、互いの状況を理解し、受け入れる寛容さが音ハラ問題のモヤモヤを晴らす第一歩になるのかもしれない。

(『わたしとニュース』より)