ナイキ やリーバイスよりPBが売れる 米大手JCペニーの「隣に並べる」戦略

記事のポイント
JCペニーではPBが売上の50%超を占め、ナイキやリーバイスを上回る主力事業へ成長している。
インフレ下で「高品質かつ手頃な価格」を求める消費者が増え、PBは「安物代替」から人気ブランドへ進化している。
JCペニーはナショナルブランドとPBを並べて展開し、比較購買を促す売り場戦略で再建を進めている。
JCペニー(JCPenney)ではプライベートブランドが大成功を収めている。もっとも売れているブランドがプライベートブランドであるほどだ。
ナイキやリーバイスを抑え売上1位
JCペニー傘下のプライベートアパレルブランドであるセント・ジョンズ・ベイ(St. John's Bay)は、JCペニーが展開する全ブランドのなかで売上1位にランクインしており、ナイキ(Nike)やリーバイス(Levi's)といったナショナルブランドを抑えている。
また、プライベートブランドのリズ・クレイボーン(Liz Claiborne)は、アパレル、シューズ、ハンドバッグなどの複数カテゴリーにおいて、JCPenneyのレディース部門をけん引するトップブランドのひとつとなっている。
プライベートブランドは全般的に、インフレに疲れた買い物客がより手頃な選択肢を求めるなかで、JCペニーで隆盛を極めている。
JCペニーでは、プライベートブランドの売上浸透率が2019年以降5ポイント上昇したと、CEOのミシェル・ヴラズロ氏はModern Retailに語った。現在、プライベートブランドはJCペニーの総事業の50%以上を占めており、特にプチサイズやプラスサイズで勢いがある。
JCペニーは数十のプライベートブランドを展開しており、ジーンズのアリゾナ(Arizona)、ベッド・バス用品のホーム・エクスプレッションズ(Home Expressions)、女性向けビジネスウエアのワージントン(Worthington)などがある。
1914年から続くプライベートブランド
JCペニーにとってプライベートブランドは目新しいものではない。同社は1914年に初の自社ブランドであるマラソン・ハッツ(Marathon Hats)を立ち上げた。1928年にはビッグマック(Big Mac)のシャツが続き、1930年にはペンコ(Penco)のシーツも登場した。
プライベートブランドは、ガソリン価格の高騰やコスト上昇に直面する今日の資金繰りに苦しむ買い物客のあいだで、特に支持を集めている。より多くの買い物客が価値を優先するなか、JCペニーはプライベートブランドをマーケティングおよびマーチャンダイジング戦略の重要な柱に据えている。
JCペニーは「Yes, JCPenney」や「Really Big Deals」といった最近の広告で、ワージントンのようなプライベートブランドを取り上げてきた。
また、ジェイソン・ボールデン氏をはじめとするセレブリティデザイナーとプライベートブランドで提携し、最近ではリズ・クレイボーンの50周年を記念した限定カプセルコレクションを展開した。
総じてJCペニーは、「予算に関わらず、すべての顧客がスタイルや品質を妥協することなく自信を持って自分を表現できるようにする」ためにプライベートブランドを強化していると、ヴラズロ氏は述べた。
小売各社が競う刷新投資
プライベートブランドに注力しているのはJCペニーだけではない。プライベートブランドの売上に勢いづいた小売各社が、自社ラインの見た目・品質・質感の向上に資金を投じている。アルディ(Aldi)は最近プライベートブランドのパッケージを刷新し、ウォルマートは2026年初めに主力プライベートブランドであるグレートバリュー(Great Value)のリニューアルを発表した。
メイシーズ(Macy's)は2025年に、より大規模なプライベートブランド改革の一環として4つの新しいプライベートブランドを展開した。
プライベートブランドは買い物客のあいだで人気を集めつつある。調査・アドバイザリー会社のガートナー(Gartner)の2025年の調査によると、回答者の77%が、ストアブランドはナショナルブランドと品質面で同等か、それ以上に優れていると答えた。また52%が、同程度の価格のナショナルブランド製品よりも、小売業者のプレミアムブランドまたはプライベートブランドを購入したいと答えた。
「プライベートブランドは魅力的な商品であり、単に安売りコーナーで節約するための日用品ではない」と、ガートナーのシニアディレクターアナリストであるカッシ・ソーチャ氏はModern Retailに語った。
「プライベートブランドが伸び続けているのは、裁量的支出への圧力だけが理由ではない。小売各社がプライベートブランドの刷新に多額の投資を行っていることも理由のひとつだ」。
価格と鮮度を支える自社供給網
JCペニーでは特に、プライベートのアパレルブランドが大人からティーン、子どもまで「年齢層を超えた顧客のお気に入り」だと、ヴラズロ氏は述べた。
JCペニーのプライベートブランドの多くは競争力のある価格で展開されており、セント・ジョンズ・ベイはTシャツを12ドル(約1800円)で販売している。とはいえ、これらのブランドを時代に合った魅力的なものに保つことも重要だと、ヴラズロ氏は語った。
新しいデザインを素早く生み出し、トレンドを先取りするため、JCペニーは自社のサプライチェーンを活用している。たとえばリズ・クレイボーンのデザイナーは、花柄・ストライプ・水玉模様の需要に応えることに注力していると、ヴラズロ氏は述べた。
アパレルは全般的に、プライベートブランド製品にとってより大きな分野になりつつある。ガートナーの2025年の調査では、回答者の20%が衣料品を購入する際にストアブランドをより多く買ったと答えた。さらに40%が、衣料品を購入する際にストアブランドとナショナルブランドを組み合わせて買ったと答えた。
アンソロポロジー(Anthropologie)では、自社ブランドの人気が非常に高く、2025年7月までに事業の71%を占めるまでになった。同社はその後、プライベートブランドのメイヴ(Maeve)の初の単独店舗をオープンした。
「今日の消費社会では、リトルブラックドレスはどこまでいってもリトルブラックドレスだ」と、ガートナーのソーチャ氏は述べた。
「プライベートブランド以外でも成功し続けているブランドはたしかにあるが、普段着に関しては『少しでも出費を抑えたい』と考える消費者が増えている。彼らはそうすることで、ブランド名が真に意味を持つようなアイテムに対して、より慎重で的を絞った買い物ができるようになるのだ」。
ナショナルブランドと並べる売り場戦略
JCペニーは、プライベートブランドを単独で販売しているわけではない。店舗では、自社ブランドを主要なナショナルブランドと並べて展示しており、「顧客がその2つのどちらかを選ばなければならないと感じることが決してないようにしている」と、ヴラズロ氏は述べた。
たとえばテキサス州フリスコのストーンブライアー・センター(Stonebriar Centre)にあるJCペニーの店舗では、メンズのリーバイスのジーンズがプライベートブランドのミューチュアル・ウィーブ(Mutual Weave)の隣に並んでいる。一方、プライベートのアクティブウエアブランドであるザージョン(Xersion)は、ナイキ、アディダス(Adidas)、プーマ(Puma)と一緒に並べられている。
この手法はプライベートブランドの認知度向上に役立つと同時に、顧客がスタイルを自由に組み合わせられるようにしていると、ヴラズロ氏は語った。
2026年に40周年を迎えるセント・ジョンズ・ベイも同様に、カジュアルウエアの分野でほかのブランドと並べて展示されている。JCペニーはセント・ジョンズ・ベイの売上を個別には公表していないものの、このプライベートブランドは「JCペニーのなかで愛され、信頼されるブランド」になったと、ヴラズロ氏は述べた。
顧客は毎年、お気に入りのスタイルの新色を購入する傾向がある。ヴラズロ氏によれば、このブランドの最大の魅力のひとつは「奥行きがあり、汎用性が高い」ことで、「すべての人に何かしらが見つかる品揃え」を備えている点だ。売れ筋にはケーブルニットのセーター、Tシャツ、ショートパンツなどがある。
JCペニーは全体として、成長軌道への回帰をめざすなかでプライベートブランドに注力している。2023年、同社は2025年度までに10億ドル(約1500億円)を事業に再投資すると発表した。その2年後、同社はスパーク・グループ(Sparc Group)と合併し、カタリスト・ブランズ(Catalyst Brands)という新たなファッション小売の企業を設立した。
2026年現在も、JCペニーは再建の途上にある。今年初め、JCペニーは第3四半期の純売上高が前年同期比3.8%減の13億6000万ドル(約2040億円)だったと発表した。
[原文:JCPenney's top-selling brand is a private brand]
Julia Waldow(翻訳、編集:藏西隆介)
