敵地で敗れたとはいえ、0−1という最少失点で第1戦を終えたリバプールは、精神的にも優位を保っていたようだ。大声量渦巻くスタンドに後押しされるように、序盤からリズムをつかむ。迎えた21分、左サイドFKをジェラードが中央へ。これをアッガーが合わせて先制点を奪う。チェルシーDFはジェラードの強烈なミドルの幻影に惑わされ、伏兵をフリーにしてしまった。チェルシーといえども、アンフィールドの独特の雰囲気に飲まれたか。アウェーチームの一瞬の集中力の欠如は、ホームチームをさらに勢いづける結果となった。

後半もリバプールのペース。クラウチ、カイトが決定的なチャンスをつかむが、チェルシーもGKチェフを中心に何とかしのぐ。そしてドログバの鋭い飛び出しなどで反撃を開始するが、リバプールはこれらを強固な守備で封殺していく。
90分間を終えてトータルスコア1−1。決着は延長戦へともつれ込んだが、ここでも流れはリバプール。カイトのネットを揺らす一撃はオフサイドで「幻のゴール」に終わったものの、“赤い躍動”が際立っていた。

運命のPK戦。こうなれば圧倒的にホームチームが有利。リバプールGKレイナがロッベン、ジェレミのキックをストップし、モウリーニョと彼に率いられた選手たちの野望を打ち砕く。リバプールは全員が難なく決めて4−1。ピッチで、そしてスタンドで。爆発的な歓喜とともに、リバプールが2シーズンぶりの決勝の地、アテネへのチケットを手に入れた。