28日のレンヌ戦の後、車でスタジアムの駐車場を出るところを5〜6人の暴漢に囲まれ、あわや乱闘に巻き込まれそうになったナントのGKファビアン・バルテズが30日午後、ラジオ局「フランス・アンフォ」に退団の意向を明らかにした。

 バルテズは、「奴ら(暴漢)は俺をくたばらせようと待ち構えていた。そう口に出していた。俺を車から降ろそうとし、ロックをかけていなかったので、ドアを開けられた。誰かの蹴りが飛んできた。恐怖を感じたので身を守った(バルテズが相手を殴ったと報じられている)。すると後ろから警官隊が走り寄ってきた」と“事件”の模様を語った。バルテズはこの後、高速道路の入口までパトカーにエスコートされて無事帰路についた。

 “事件”にショックを受けたバルテズは、翌日の練習にも参加せず、ナントの家から荷物をまとめ、家族とともにトゥールーズの実家に向かった。「身の安全が感じられなくなった。もうナントでプレーすることはない」と4試合を残しシーズン途中での退団を決意している。

 「試合中ずっとブーイングを浴びたこと、この5ヶ月間クラブ内で起こったさまざまなことは仕方がない。それはサッカーの一部だからだ。しかし今回起こったことはスポーツの枠を越えている。これさえなければ、最後までナントに残っただろう」と退団の理由を説明し、2部落ちがほぼ決定的になったことや、伝えられるチームメイトとの“不仲”が原因ではないことを強調した。

 バルテズと親しいマルセイユのエモン監督はこの報に触れ、「とても悲しい。しかし彼はこれまで偉大なキャリアを築いてきた。そのことは誰にも打ち消しようがない。世界でもっとも偉大なゴールキーパーのひとりだった。ブラボー、ファビアン・バルテズ」と言葉少なに語った。