準々決勝での功労者であるエッシェンを累積警告で欠き、さらにバラックが負傷するなど、大一番を前に不安を抱える羽目となったチェルシー。一方のリバプールは、好調クラウチをベンチに置いて、敵地での戦いに臨んできた。

 2年前の準決勝と同じカードとなったイングランド勢同士の対峙。今季、国内リーグ、カップ戦(コミュニティシールド)で3度行なわれた対戦では、リバプールが2勝1敗とリードしているが、いずれも僅差の戦いであり、4度目の今回も、スリリングな戦いが予想されていた。

 慎重な両チームの中で、序盤戦から抜群の存在感を見せつけたのが、チェルシーのドログバ。相手陣内を縦横無尽に駆け巡り、早くもリバプールに脅威を与える。この試合ではバラック不在もあって、チェルシーは、ドログバへロングボールを送るという攻撃パターンが多くなったものの、それでもこのコートジボアール人の技と馬力が、この単調な攻撃を効果的なものとした。

 29分には、最後尾のリカルド・カルバリョからパスを受けたドログバが、そのままボールを持ち込み、右サイドを切り裂いて中央へグラウンダーのパス。ようやく復帰したジョー・コールの初ゴールをお膳立てしたのだった。

 またこの一戦では、両チームのゴールキーパーの技が冴え渡った。試合開始8分にリバプールのレイナがランパードのシュートを防げば、チェルシーのチェフもカイトの一撃をストップする。その後、リーセ、ジェラード、アッガー、ドログバ、ランパードらが、シュートを決定的な放つたびに、頭を抱えることになった。

 時間の経過とともに、チェルシーの粘り強い守備が際立っていった一戦は、結局、1−0でチェルシーの勝利に終わったが、戦前の予想どおり、僅差のスリルに富んだものとなった。

 過去3シーズンを見ると、敗退を喫したラウンドでは、ことごとく1戦目をモノにできなかっただけに、最少得点差とはいえども、チェルシーにとっては大きな勝利。しかし、リバプールも次週には地元アンフィールドでの戦いを残しているだけに、まだまだ可能性は十分に残っている。

 雪辱か、返り討ちか。対決の結末は、現時点ではまったく予想がつかない。