治療アプリの開発に動き出した佐竹氏は20年にスマホで動作する疾患治療用プログラム医療機器(治療アプリ)として、禁煙治療領域において世界初の製造販売承認取得と保険適用を実現。22年には高血圧治療領域でも治療アプリを実現させた。


治療アプリを新たな収益源に


 一方、ジェネリック医薬品事業で「販売数量、シェア共にナンバーワン」(木村氏)を自負する沢井製薬だが、ジェネリック医薬品を巡る厳しい環境に直面している。ジェネリック医薬品を巡っては、もともと政府が医療費削減の手段として普及を促進し、22年に数量シェアが8割を超えた。しかし、21年以降、同社を含むジェネリック大手が品質に係る行政処分を受け、感染症の流行なども相まって供給不安が長期化しているのだ。

 ジェネリック医薬品は先発薬とは違い、少量多品種生産のため収益性が低い。1つの品目に複数の企業が参入するため、各社の製造量は低い水準にとどまる。また、「1つの品目の製造が終了すると、その製造ラインの洗浄作業を行った後、すぐに次の品目の製造を開始するといった製造スケジュールで、年間の綿密な製造計画に沿って製造ラインをフル稼働させている」(関係者)。そのため、「急遽需要が増加しても増産が難しい」(同)。

 沢井製薬の親会社であるサワイグループホールディングスの25年3月期の営業利益率は2.1%に過ぎず、先発薬メーカーの中外製薬(24年12月期で46.3%)や第一三共(25年3月期で17.6%)と比べても大きく見劣りしている。

 そんな中での沢井製薬の治療アプリの投入はアステラス製薬が開発中であることを除き、大手先発薬メーカーより先を走ることになる。新薬の開発では開発費が1件当たり数千億円とも言われるが、治療アプリの開発コストは低い。さらに冒頭の木村氏の発言のように、医師との接点が増えれば、新たなジェネリック医薬品を売り込む突破口にもなり得る。同社は4月に「デジタル医療機器推進室」を社内に新設し、専任MRの配置にも取り組んでいる。

 佐竹氏は「沢井製薬はジェネリックという一昔前ではなかった概念を世の中で当たり前のものにした確かな実績がある」と指摘し、「治療アプリという新産業をつくる」という点で期待感を示す。24年度の医療費は約48兆円で過去最高を更新し、4年連続で増加。ジェネリック医薬品の使用割合は9割を突破し、薬剤費の抑制は進んでいる。

 ただ、中長期的には高齢化で医療費は増加の一途。新たな治療手段としての治療アプリをどれだけ一般的な治療法として根付かせることができるか。沢井製薬の腕の見せ所となる。

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