この記事をまとめると

■復活を果たした6代目プレリュードは電動時代の操る楽しさを体現するモデル

■流麗なスタイリングをもちHonda S+ Shiftで走りの高揚感を演出

■今後はカラーバリエーションの充実やホットモデルの展開に期待したい

復活のプレリュードは完全無欠か?

 元祖「デートカー」として一世を風靡した、おなじみのホンダのビッグネームが復活した。2年前の2023年の東京モビリティショーでコンセプトカーが公開され、市販化の計画がある旨が伝えられていたが、ついに現実のものとなった。

 長らく車名が中断している間に時代は大きく変わったが、こうしたクルマが魅力的に見えるのは変わらない。また、かつてほどではないにせよ、2ドアクーペのスペシャルティ市場は比較的活況という。そこでホンダが拡大するハイブリッド市場に向けて、他社にはない電動専用スポーツモデルを投入する運びとなった。

 そんな6代目となる新型プレリュードには、いくつかの使命が与えられている。ひとつはイメージアップだ。じつのところ、もともとホンダがもっていたチャレンジングなイメージは年々薄れていき、年齢層が下がるにつれて好意度が低くなることが社内の調査で明らかになった。そこで、プレリュードのようなクルマを送り出すことで挽回を図ることになったのだ。

 そして、まさしくプレリュードの全盛期だった2〜3代目のころに若くして乗っていた世代が、その後に家庭をもち、やがて子育てが終わり、経済的にも余裕ができて夫婦の時間をもてるようになっている。そんな層の興味を、「プレリュード」という名で引き立たせることだ。

 これらを受けて企画された6代目プレリュードは、電動化時代の「操る喜び」を体現する、新たな価値をもったスペシャルティスポーツハイブリッドとなる。

 スタイリングは、ノッチバックが主体だった歴代プレリュードとの共通性はあまり見受けられないが、とにかくこのクルマを見た人が、乗りたい! ほしい! と思うよう、とにかくカッコよく見えることにこだわったとのことで、スタイリッシュなクーペに仕立てられている。

 流麗なファストバックスタイルで、プレリュードとしては歴代初の3ドアハッチバックとされたのは、夫婦で旅行に出かける際に荷物の積み降ろしがしやすいようにとの配慮による。

 ボディカラーは「ムーンリットホワイト・パール」という新色を含め全4色(初年度限定車はそのツートン)とやや選択肢が少なく、またプレリュードと聞いてイメージする赤系もあるが、そのほかの3色が無彩色というのが少々気になる。ぜひ発売されてから増えることに期待したい。

走りがいいだけによりホットなパワートレインがほしくなる

 走りについては、e:HEVのよさとタイプRのよさを掛けあわせたような内容でなかなか期待できそうだ。パワートレインは、すでにシビックやアコードでも定評のある2モーターハイブリッドシステムのe:HEVのみの設定となる。

 2リッター直4アトキンソンサイクルエンジンは最高出力141馬力/最大トルク182Nm、モーターは最高出力184馬力/最大トルク315Nmと性能的には十分だ。それをプレリュードにふさわしく、よりエモーショナルで操る喜びが感じられるように進化させたとのことで、実際に少し乗ってみた印象も上々だった。

 そうなるとなおのこと、やっぱりMTで乗ってみたいと思わずにいられない人もクルマ好きなら少なくないことだろう。ところがe:HEVは機構的にMTと組み合わせることは不可能だ。

 そこでプレリュードには、e:HEVでもマニュアルシフトを楽しめるようにと新たに開発された「Honda S+ Shift」が搭載されている。パドルシフトにより仮想の8段変速を任意に選択できるとともに、ドライブモードと連動して走りの特性やメーターの表示の変化、アクティブサウンドコントロールシステムによるサウンドや演出が楽しめるようになっている。これの完成度がなかなか素晴らしいことも強調しておきたい。

 それでも、せっかくのスタイリッシュな2ドアクーペだからこそなおのこと、どうしてもHパターン+3ペダルのMTを操って乗りたいという人にとっては物足りないかもしれない。

 そこで、シビックRSのエンジンとMTをプレリュードにも積むというのはどうだろうか。名前は「RS」でもいいが、「タイプS」にすると往年のファンも喜んでくれそうだ。もしくはいっそのこと「タイプR」のパワートレインを移植してしまうというのもやろうと思えばぜんぜんできるはず。それだと本来プレリュードが目指すものとはイメージが違ってしまうというなら、性能は高めながらも見た目は少し控えめにして、「ユーロR」ぐらいにしておくというのもアリだろう。

 実際、プレリュードのシャシーについては、すでにシビックタイプRでも高く評価されている一連の凝ったアイテムが与えられていて、応答性のいいハンドリングとスムースな乗り心地を両立させたうえ、快適性にも配慮してチューニングしているというから、これまた大いに期待できる。

 具体的には、キングピンを最適化できるデュアルアクシスストラットサスペンションや電子制御のアダプティブ・ダンパーシステム、VGRによる高応答ステアリングシステム、等剛性ドライブシャフト、ブレンボ社製の大容量ブレーキなど。さらに、アジャイルハンドリングシステムをブレーキング時まで作動範囲を広げるという新しいことにもチャレンジしている。

 プレリュードの価格を高いと感じた人も少なくないだろうが、じつはそのあたりも大きな理由となっている。そういえば前回のモビリティショーのときには、4WDの考えもあるらしい話を聞いたように記憶しているから、そちらにも期待したい。

 そんなわけで、あれこれ考えずにいられないのも、それだけ華があってときめきを感じさせるクルマだからにほかならない。デートカーとしてもてはやされた当時とはまた違った気もちで、新型も街で見かけるたびにいろいろと思いを巡らせることになりそうだ。