それでも、昨今流行りの”スクワークル(スクエアとサークルを合わせた造語、四角く丸的なデザインを指す)”に陥っていないのはなぜか問うと、

「そう感じてもらえるのは嬉しいですね。数年前なら直線をあまり使わないことが流行りでしたが、コンセプトカー”Oli(オールイー、ALL Eの意)”で示したようにシンプリシティを突き詰めた結果、直線的な要素も多々あります。前世代のデザインが成功していた分、変化をもたらすのは容易ではありませんでした。今回はまずボディ自体を引き締めた上で、少しアドオン風の要素が突き出ています。C5エアクロスにおいて空力はとても重要なテーマでしたから、例えばリアコンビランプは薄いブレードをボディに食い込ませ浮いているかのような処理で、整流パーツを兼ねています。これはデザインに寛容なエンジニアと、フランス国内の認証機関のおかげで実現できたものです。またSUVらしくグラフィック的にはポイントを高く見せているのですが、キャビンを絞ることで空力も車内スペースも犠牲にしていません」

また室内で、先代C5エアクロスでは横長だったタッチスクリーンは縦長となり、従来の10インチから13インチにまで拡大されている。

「新たなフラッグシップという性質と昨今のトレンドから、もっと大きくてもよかったのでは?という声もありました。でもセンターコンソールから一体に延びるようなデザインで、手元のコマンド周りのエルゴノミーとはそれこそ、わずかにミリ単位で変えただけでまったく違うものとなります。だから15インチの方が良かった、とは一概には言えないんですよ」

この時代に、プレミアムを標榜するでもなくローコストを掲げるでもない。あくまでパリ発の大衆車ブランドとして、モビリティに貢献し続けることがシトロエンの矜持なのだ。

文:南陽一浩 写真:シトロエン、南陽一浩
Words: Kazuhiro NANYO Photography: Citroën, Kazuhiro NANYO