シトロエンが原点回帰と電動化を地元パリから発信|新型C5エアクロスとマイチェンしたアミに込められた意味とは?
とはいえ、新しいC5エアクロスの外寸は小さくはない。欧州の認証値で全長4652×全幅1902×全高1660?というボディ外寸で、やはり目を引くのは全幅1902?だが、全長も初代より2代目の方が150?長い。しかしホイールベースは2784?と+60?ものエクステンドぶりで、広々とした室内空間ならびにC5 X並に快適なレッグスペースをもつリアシートと、シトロエンは強調する。そう、じつは新しいC5エアクロスは、シトロエンの新しいフラッグシップモデルと位置づけられているのだ。
全体として非常にクリーンな線でまとめられたC5エアクロスのデザインを、デザイン部門ディレクターのピエール・ルクレルクはこう繙いてみせた。
「C3、C3エアクロス、そしてC5エアクロスの新しい世代のデザインでやろうとしたことは、顧客の期待に応じること。あらゆる調査が示した結論で、今日では多くの人々が安心できることを求めているのです。これはSUVに移行する人々が増えたことと関係しています。守られ、安心できることが必要だからです。ですから外観はシトロエンの強いアイデンティティを備えつつもかなり頑強なものにしました。内装は逆に、とにかくシトロエンらしい快適性、ファブリックやソフトな素材で丁寧に覆っています。前の世代のシトロエンのエクステリアはとても丸かったですが、私は就任した頃からそれを進化させることを求められていました」
それでも、昨今流行りの”スクワークル(スクエアとサークルを合わせた造語、四角く丸的なデザインを指す)”に陥っていないのはなぜか問うと、
「そう感じてもらえるのは嬉しいですね。数年前なら直線をあまり使わないことが流行りでしたが、コンセプトカー”Oli(オールイー、ALL Eの意)”で示したようにシンプリシティを突き詰めた結果、直線的な要素も多々あります。前世代のデザインが成功していた分、変化をもたらすのは容易ではありませんでした。今回はまずボディ自体を引き締めた上で、少しアドオン風の要素が突き出ています。C5エアクロスにおいて空力はとても重要なテーマでしたから、例えばリアコンビランプは薄いブレードをボディに食い込ませ浮いているかのような処理で、整流パーツを兼ねています。これはデザインに寛容なエンジニアと、フランス国内の認証機関のおかげで実現できたものです。またSUVらしくグラフィック的にはポイントを高く見せているのですが、キャビンを絞ることで空力も車内スペースも犠牲にしていません」
また室内で、先代C5エアクロスでは横長だったタッチスクリーンは縦長となり、従来の10インチから13インチにまで拡大されている。
「新たなフラッグシップという性質と昨今のトレンドから、もっと大きくてもよかったのでは?という声もありました。でもセンターコンソールから一体に延びるようなデザインで、手元のコマンド周りのエルゴノミーとはそれこそ、わずかにミリ単位で変えただけでまったく違うものとなります。だから15インチの方が良かった、とは一概には言えないんですよ」
この時代に、プレミアムを標榜するでもなくローコストを掲げるでもない。あくまでパリ発の大衆車ブランドとして、モビリティに貢献し続けることがシトロエンの矜持なのだ。
文:南陽一浩 写真:シトロエン、南陽一浩
Words: Kazuhiro NANYO Photography: Citroën, Kazuhiro NANYO
