CEOによる CMO の評価。信頼度は向上も企業変革への貢献は低評価

記事のポイント
CEOとCMOの関係性は改善傾向にあるが、マーケティングの成果に対する期待とのあいだには依然としてギャップが存在。
企業の変革戦略はまだ道半ばであり、成長・収益性への注力と組織の健全性とのバランスが課題となっている。
AI活用におけるマーケティング部門の地位が後退し、CEOはより戦略的かつ積極的なアプローチを求めている。
CEOとCMOの関係性は改善傾向にあるが、マーケティングの成果に対する期待とのあいだには依然としてギャップが存在。
企業の変革戦略はまだ道半ばであり、成長・収益性への注力と組織の健全性とのバランスが課題となっている。
AI活用におけるマーケティング部門の地位が後退し、CEOはより戦略的かつ積極的なアプローチを求めている。
ボストンのチャールズ川はボート競技で知られているが、この競技にはひとりで漕ぐ種目もあれば、複数人で漕ぐ種目もある。
その結果、チームで取り組んだほうが企業に好影響を与える可能性がある一方で、個人の努力だけでは十分な成果を得にくい場合があることが明らかとなった。
テクノロジー、ヘルスケア、金融、小売などの業界に属する150社のCEOが参加したこの定量的調査によると、CEOとCMOの関係性や信頼度には全体として改善傾向がみられる一方、業務の実行や期待、成果などにおいては依然として大きなギャップが存在していると、自社でCEOを務めるジョン・コナーズ氏は述べている。
「ROI(投資対効果)やデータ、パフォーマンスを重視する傾向は数年前から続いているが、CMOの在任期間は依然として短くなっており、マーケターは守りの姿勢に入り、自らの存在意義やコスト、予算の正当性を証明しようとしている」とコナーズ氏は語る。
「しかし、マーケターにはCEOの戦略実行を支援するという重要な役割もある。この4〜5年という短い在任期間に関する報道を受け、CMOは今こそこの課題に向き合うべきだと考えているはずだ」。
CEOとCMOの関係性の現状
今年の調査では、リーダーシップおよびマーケティングに対するCEOの考え方を深く理解することに多くの時間が割かれた。
その結果、明らかになった懸念のひとつは、パンデミックの影響やAIの登場を契機とする劇的な変化の時代において、87%のCEOが自社の変革戦略をいまだ完全には実現できていないと回答している点である。平均的には、まだ半分程度しか戦略が実行されていないのが現状である。
また、成長と収益性がCEOの優先事項の大半を占める一方で、財務パフォーマンスへの取り組みと組織の健全性に関する課題とのあいだには大きなギャップが存在していた。
CEOは戦略実行の障壁として外的要因を挙げる傾向があり、そのなかには経済状況、競争圧力、金融市場の動向などが含まれている。
明るい兆しとしては、CMOやマーケティング部門との関係性が改善している点がある。
調査に参加したCEOのうち71%が、自社のCMOを「A」または「B」ランクと評価しており、さらに自社CMOを業界最高水準と認識するCEOの割合は、調査初年度の21%から今年は45%へと増加した。ただし、CFOの取り組みとその成果とのあいだには、依然としてギャップが残っている。
「CEOの大半は、戦略目標の達成度がせいぜい半分程度にとどまっていると述べている」と、コナーズ氏は語る。
「ただし、その50%の目標達成にCMOが貢献しているのか、あるいは足を引っ張る存在になっているのかは、CEOに対するCMOのアプローチや支援の姿勢と密接に関係している。CEOは、かつてよりCMOを有用な存在とみなしてはいるが、マーケティングが十分に自社へ貢献できているとは考えていない」。
企業文化とソフトパワーの重要性
また、この調査ではソフトパワーの重要性も浮き彫りとなった。CEOは成長性および収益性を厳しく管理する一方で、企業文化の問題に苦慮しており、ひとたびバランスが崩れると、企業の衰退につながる可能性もある。
今回の調査では、従業員の士気と企業文化がもっとも差し迫った重要課題として挙げられており、全体の65%のCEOがそのように回答している。
「CEOは誰もが、成長性や収益性を高める方法については熟知している。しかし、従業員の支持を得たり、企業文化を良好に保ったりする方法については理解が十分でないことが多い」と、コナーズ氏は指摘する。
「だが、このような要素を軽視し、市場でROIを確保して自身の価値を証明しようとするあまり、従業員や文化をないがしろにするようでは、本当に重要な問題が手つかずのままとなってしまう」。
AI活用に関する課題
AIを業務にどう取り入れるかという新たな課題について、CEOは依然として、マーケティング部門およびCMOが過度に慎重な姿勢をとっていると考えている。
しかし、コナーズ氏によれば、今年の調査でもっとも注目すべき結果は、AI活用分野においてトップとされていたマーケティング部門が、2024年には8位に転落したことである。その背景には、おそらく「ChatGPT」の登場にともなう世間の関心の変化があるとされている。
「人々はAIを、創造性や生産性を代替する下流工程のツールとしてではなく、市場を戦略的に俯瞰し、従来の定量・定性調査では把握しきれないスケールで情報を捉えられるツールとして捉えはじめている」と、コナーズ氏は語る。
さらにコナーズ氏は、ガートナー(Gartner)が2月に発表した新たな調査にも言及し、ボートハウスの調査結果がその内容とおおむね一致していたことを明らかにした。
ただし、ガートナーの調査では、CEOやCFOとCMOとの関係性について、より否定的な評価が示されていた。この調査に参加した125人の回答者のうち、約70%が「CMOは約束していたマーケティング戦略を実行できなかった」と回答していた。
「CMOは、成長戦略における自身の役割を明確にし、主要な戦略との連携を強化する必要がある」と、ガートナーマーケティングプラクティス(Gartner Marketing Practice)でリサーチ担当バイスプレジデントを務めるシャロン・カントール・サーボスト氏は、この調査結果に関するプレスリリースで述べている。
「ステークホルダーの優先事項を正確に把握し、戦略的な洞察力を発揮することで、CMOは影響力を高め、企業全体の戦略に対して、より大きな貢献ができるようになる」。
[原文:CMOs are winning trust but still falling short in transforming companies, according to CEOs]
Michael Bürgi(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:藏西隆介)
