通勤手当を「月5000円」受け取っています。2ヶ月前から「完全在宅勤務」になったのですが、通勤手当は払われたままです。そのまま受け取っているのですが、あとで「返金」を求められるでしょうか?

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コロナ禍以降、在宅勤務を選べる会社が増え、入社時は出社していた人が途中から完全在宅勤務になるケースも見られます。 その場合、支給されていた通勤手当は、在宅勤務に変わるとなくなるのでしょうか? 仮に支給されたままだとしたら、返金しなければならないのでしょうか? 本記事では、完全在宅勤務に変わった場合の通勤手当の支給の有無と、支給された際の返金対応の必要可否について解説します。

完全在宅勤務の通勤手当の支給について

完全在宅勤務の雇用形態で入社した人には、もともと通勤手当が支給されていません。
通勤手当がないため、会社は出社時の交通費について次のように対応する方法が一般的です。

・出社の必要があるときだけ実費支給をする
在宅勤務手当を一定額支給し、出社時の交通費は手当分から出す

これまで出社していたものの、途中から勤務形態が完全在宅勤務へと変わった人も、今後はこのような対応になると考えられます。
その際は、毎月の通勤手当は支給対象外となります。また、定期券を購入した人は時期によっては払い戻しと返金対応が求められるかもしれません。
例:JR東日本の定期券払い戻しのケース
定期券の有効期間が1ヶ月以上あるときは、すでに使った月数分の定期運賃と手数料220円を差し引いた残額にて払い戻し対応が行われます。

・定期券払い戻しの計算

払戻額=定期券発売額-(使用済月数×定期運賃)-手数料220円

使っている定期券の種類や交通会社、有効期間などによって対応は異なります。払い戻しの際は確認が必要です。
また、払い戻しによって手元に戻ったお金の返金が必要か否かは、必ず会社へ確認しましょう。払い戻しの際の受領証などは払い戻しの証拠となりますので、捨てないでください。

通勤手当が受給されたままでは、不正受給に該当する?

通勤手当の不正受給には、「会社に届け出た経路以外の方法で通勤して定期代を浮かせる」「自動車通勤や自転車通勤、徒歩通勤を隠して定期券を買わない」などのパターンがあります。
今回の「完全在宅勤務に変更したものの通勤手当が引き続き払われている」状態は、故意に起こしたものではないため、返金対応が必要か、そのまま支給したままにするかは会社側の判断に委ねられます。
会社によっては、通勤しないことで使用しなかった分の通勤手当を、そのまま「在宅手当」として自宅の電気代などの各種支払いにあてられるよう支給するところもあります。
しかし、完全在宅勤務で出社不要なのに支払われている通勤手当は、会社側のミスとはいえ本来は支給されない手当です。場合によっては、完全在宅勤務以降に支給された通勤手当の返金を求められる可能性もあります。
「もらえてラッキー」で済ませずに、支給されている通勤手当をどう扱えばよいか、会社へ確認しましょう。
また、通勤手当に関する事項は職務規定に記載されています。自分の会社の規定が気になる人、自分が不正受給に該当するかもしれないと不安な人は、職務規定を確認してください。
通勤手当の対応や定期券の変更、出社日の交通費精算など、まだ制度が整備されていないまま勤務形態を変更する会社は、コロナ禍以降増えてきました。
もし職務規定への記載がない場合は、今後のトラブル防止のためにも早めに制度を整えるよう、上司や担当部署へ相談するのをおすすめします。
 

出典

JR東日本 きっぷの払いもどし
執筆者:田中美有
2級ファイナンシャル・プランニング技能士