「みんなに愛された方」楳図かずおさん死去に地元・吉祥寺から追悼の声「いなくなるって考えたことがなかった」
「漂流教室」や「まことちゃん」などで知られ、ホラーやギャグ漫画の新たな世界を切り開いた漫画家の楳図かずお(うめず・かずお、本名・一雄=かずお)さんが10月28日、東京都内のホスピスで死去した。88歳だった。関係者によると胃がんを患っており、療養中だった。葬儀は関係者で執り行われた。
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長らく東京・武蔵野市に住む楳図かずおさんは、自宅のある吉祥寺を深く愛した。ボーダーのシャツを着て街中を歩く姿は、近くに住む人たちにとっては「普段の風景」だった。
JR吉祥寺駅北口前にある吉祥寺サンロード商店街の安藤孝副理事長(58)も「吉祥寺を愛してくれた方。みんなに愛された方」。地元に尽力した人だったと話した。駅ビルの飲食店で食事する姿を見たこともあり「会釈をすると返してくれる」気さくな人だった。悲報をニュースで知った時は「ずっといる人、いなくなるって考えたことがなかった」と驚いたという。
同商店街では毎年、吉祥寺にゆかりある漫画家の作品を展示しているが、楳図さんは23年7、12月のセール時に名作のキャラクターの絵を提供。商店街中の横断幕やフラッグに加え、セールの特賞景品には楳図さんの描き下ろしTシャツが用意された。
安藤さんは「(楳図さんは)二つ返事でいいよと言ってくれた。先生が前向きだから(企画が)順調に進んだ」と振り返った。楳図さんは展示を喜び、イベントが終わると「自分のフラッグがほしい。地元で展示する機会がある」と生まれ育った故郷に寄贈する予定だったという。(中西 珠友)