落選した現職閣僚、大物議員、萩生田光一氏らが明かす「石破総理」が惨敗した理由
選挙大敗の責任を問うて安倍総理に退陣を迫った男が、今度は自らが惨敗したのに総理の座にしがみついている。石破政権の延命が国民に何をもたらすのか。実は悪いことばかりではなさそうで……。
「すべての失敗の始まり」
「裏金、裏金でやられちゃった。影響は甚大で、どんな政策を訴えても(有権者に)聞いてもらえなかった」
こう嘆くのは、防衛庁長官や衆議院副議長などの要職を歴任した衛藤征士郎前衆院議員だ。
衛藤氏は政治資金の収支報告書への不記載で、半年間の役職停止処分を受けた。処分が明け、自民党から公認されたものの、比例への重複立候補は認められず、今回の選挙で47年間つけた議員バッジを失った。
衛藤氏が続ける。
「重複も認めないというのは本当に、ポピュリズムというか……。それは石破(茂)さんというよりも、小泉(進次郎)選対委員長が決めたと思うんだけど。石破さんはもう少しどっしりした男だったはずだよ。(裏金問題での)役職停止が終わった議員についてはどんどん起用する、と言っていたんですけどね。
石破さんに僕ははっきり言ったんだ。『(解散する前に)予算委員会をやって、しっかり時間を取るべきだ。内閣の実績を積み上げて、来年夏に衆参同日選挙で信を問うべきだ』と。しかし、森山(裕)幹事長あたりが早期解散を勧めたのか、石破さんも解散を焦ってしまった。それがすべての失敗の始まりです」
石破総理が総選挙で大敗を喫した。自民、公明両党で過半数を割り込むのは、'12年に政権に復帰して以来、初めてのことだ。裏金問題に加えて、選挙戦最終盤で『しんぶん赤旗』が非公認候補者の自民党支部に「党勢拡大」を名目に政党交付金を支出していたと報じた「2000万円問題」も与党不利に働いた。
現職の閣僚でありながら、比例復活もできず、議員の身分を失った小里泰弘農水相がこう話す。
「(「2000万円問題」が影響した)実感はあるね。石破さんは一生懸命だし、純粋なんだけど、政治とカネが思わぬ逆風になってしまった。ただ、今は石破さんの他に(総理を)やる人はいないよ。森山幹事長以外に(政局を)回せる人もいないし」
恨み節もどこ吹く風
実際に2000万円が支給され、「ありがた迷惑」とSNSに動画を投稿した萩生田光一元政調会長は当選が決まったあと、囲み取材でこう話した。
「私が選挙区支部長であることは事実なので、(支給に)違法性はありません。ただ、公示後に、選挙中に使えないおカネを振り込まれても、それをどういうふうに使っていいのかわからない。私のところには(自民党の)マニフェストも来ておらず、党勢拡大の期待に応えられないのでお返ししました。
さすがに(2000万円に)どういう意味があるのか、すごく不思議でした。しかも共産党の機関紙に出て、われわれは寝耳に水。そんな大きなおカネが振り込まれて気づかないはずがないと言われましたが、政党交付金は別口座に入るので、その口座の確認もしていませんでした。
私自身はすでに返金したので、党の手続きに瑕疵があったと言うつもりはありません。ただ、(選挙戦に)どういう影響があったのか、それは党の執行部が自ら考えることではないでしょうか」
だが、石破総理はこうした候補者たちの恨み節もどこ吹く風である。
選挙後、早々に続投を明言し、翌28日の会見では「2000万円問題」についてこう釈明した。
「『法的に問題ない』ということは何ヵ所でもご説明してきた通りです。ただ、それが(有権者から)『そうなのか、わかったよ』という反応があったとは私は思っておりません。ご理解いただけるような説明の仕方は、私は反省点として強く持っているところです」
問題はなかったが、説明の仕方が悪く、有権者に理解してもらえなかった、というわけだ。しかし、非公認とした「裏金議員」の選挙区支部に2000万円を支給するのは、どう釈明しても有権者の理解は得られまい。
後編記事『国民民主・玉木代表の高笑いが止まらない!余命5ヵ月の石破政権が丸呑みさせられる「国民民主党が要求するもの」』へ続く。
「週刊現代」2024年11月9日号より