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 ◇SMBC日本シリーズ第1戦 ソフトバンク5―3DeNA(2024年10月26日 横浜)

 「SMBC日本シリーズ2024」が26日に開幕し、ソフトバンクが5―3でDeNAに先勝した。18年から続く日本シリーズ記録を更新する13連勝とした。先発の有原航平投手(32)が7回4安打無失点でシリーズ初勝利。開幕戦、交流戦、CSに続く“開幕投手”に4戦4勝は史上初となった。2回には決勝の先制2点打を放ち、投手がシリーズで勝利打点を挙げるのは86年広島との第5戦の西武・工藤公康以来38年ぶりで、球団史上初となった。 

 投げて、打っての活躍だった。2回、エース有原がバットで魅せた。「とにかくバットに当てようと思っていた。奇跡です。まさか打てるとは思ってなかった」。

 8番・甲斐が申告敬遠され、巡ってきた2死満塁の好機。ジャクソンがカウント1―1から投じた直球を捉えた。一、二塁間をしぶとく破る先制の2点適時打を放った。ベンチは大盛り上がり。日本シリーズで投手が勝利打点を挙げるのは86年第5戦の西武・工藤公康以来、38年ぶり9度目の快挙となった。

 早大時代は東京六大学リーグで計101打席に立ち、打率・222、1本塁打、6打点。日本ハム時代の16年に日本シリーズに出場した際は、DHのある試合での先発で打撃の機会はなかった。シリーズ初打席で初安打初打点をマーク。プロ初打点でもあった。

 エースらしい堂々の投球だった。開幕戦、交流戦初戦、CS初戦と節目の“先陣”を託され、全て勝ち星を挙げてきた。初回2死一、二塁のピンチで宮崎をスライダーで二ゴロに打ち取ると、しり上がりに調子を上げ、3回以降は二塁を踏ませなかった。どの球種も抜群で7回を4安打無失点に抑えて日本シリーズ初白星を飾った。

 普段はマウンド上でポーカーフェースを貫くが、要所では気迫を前面に出し、ピンチを脱出すると熱い思いを解放して雄叫びを上げる。日本ハム時代に投手コーチだった現ロッテ・吉井監督にアドバイスされたのがきっかけだ。「投げている時に熱くなるタイプなんですが、マイナス方向にいくことも多かった。“うまくコントロールできた方がいいよ”と話してもらった。そこから意識して続けている。その方が冷静な判断ができるので」。

 大一番でも自分の心をコントロール。冷静に0を並べた。イニング間にはバッテリー賞を受賞した捕手・甲斐と綿密な打ち合わせを重ねた。第2戦以降の流れも意識した投球を掲げ、6回にオースティンに対して内角に厳しくツーシームを多投するなど、随所で徹底した攻めを見せてDeNA打線を封じた。

 チームは日本シリーズ13連勝。「拓也(甲斐)がいいリードをしてくれた。粘り強く投げることができました」エースの奮闘で4年ぶりの日本一へ好発進した。(木下 大一)

 ≪投手の勝利打点は38年ぶり≫

 ○…有原(ソ)が2回に決勝の2点右前打。日本シリーズで投手の勝利打点は86年広島第5戦の工藤公康(西)以来38年ぶり、先発では73年南海第3戦の堀内恒夫(巨)以来51年ぶり3人目。第1戦では史上初となった。また、有原はシリーズ初打席初安打初打点。パ・リーグの投手では16年広島第6戦のバース(日)以来8年ぶり2人目で日本人初。ソフトバンク投手が日本シリーズで打点を挙げたのは、66年巨人第3戦の渡辺泰輔以来58年ぶり5人目だ。

 ○…ソフトバンクが先勝で18年第3戦から継続している日本シリーズの最多連勝記録を13まで伸ばした。20年に9連勝で従来の記録を破り、更新し続けている。また、過去74度の日本シリーズで先勝チーム(△○を含む)の日本一は46度あり、V確率は62%。うち、敵地で先勝は過去31度で23Vとなっており、V確率は74%までアップする。